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遠隔利用センサ評価プラットフォームの開発

MEMS技術の進歩により、モーション制御からバイオメトリクスまで、あらゆる領域でさまざまな用途に新しいセンサが多数利用できるようになっています。センサを組み込むプロジェクトでは、センサを選定するための調査を最初に行います。調査の際、Digi-Keyのセンサ製品セレクタがセンサの選定に役立ちます。センサが決まれば、通常、次のステップはテストと評価です。率直に言えば、ワークベンチでセンサのテストを行うことは出発点に過ぎません。それでも通信や機能の確認はできますが、センサを使用する実環境でテストする方が望ましいと言えます。

図1:Digi-Key Electronics社ビルに設置したセンサ評価プラットフォーム(画像提供:Digi-Key Electronics)

このプロジェクトの目的は、多数のセンサに容易に対応できる柔軟性のある評価プラットフォームを開発し、テストデータをワイヤレスでユーザーに送り返すこと、そしてDigi-Keyに在庫があるすぐに入手可能なハードウェアを使うことでした。ワイヤレスデータ通信用にはZigbeeプロトコルを選択しました。これはネットワーク上で複数の独立した無線が使用可能で、メッシュ機能により広範囲をカバーでき、ネットワークの回復力が優れているためです。評価プラットフォームのテストプロジェクトには、屋外環境センサを使うことにしました。これは、当地(ミネソタ州北西部)では、さまざまな気象条件を経験できるからです。

センサ評価プラットフォーム

Digi-KeyのXbee3 Zigbeeモジュールが、このプラットフォームのインテリジェントコントローラです。Xbee3を選択した理由は、単体で組み込みコントローラとして動作可能であること、Zigbee無線通信機能を備えていること、リモートアップデートのためのFOTA(Firmware Over The Air)に対応していることです。組み立てを簡単にするため、使いやすいXbee3 I/O~Groveコネクタを備えたXbee Grove開発ボードにXbee3を接続しています。

図2:センサ評価プラットフォーム(画像提供:Digi-Key Electronics)

このZigbee無線用ハードウェアを保護等級IP65のエンクロージャPN-1323-CMB Budに取り付けて、プラットフォームを屋外環境に設置できるようにしました。I2Cバスおよび5V電源への外部接続用には、TE Connectivity社のM8パネルマウントコネクタを使用しました。外部アンテナへの接続には、Amphenol社の336320-12-0250 u.FL~RP-SMAパネルマウントアダプタを使用しています。

環境センサ搭載プラットフォームの設置

テスト設置用に選択した環境センサは、TE Connectivity社のMS8607で、圧力、温度、湿度を測定します。TE社は、このセンサ評価プラットフォームに非常に簡単にインターフェース接続できるGrove MS8607評価ボードを提供しています。アプリケーションのソースコードなどのプロジェクト全体の詳細は、Digi-KeyのeeWikiサイトにあるXbee3 Zigbee Outdoor MS8607 Pressure Temperature Humidity(PTH)Sensor(Xbee3 Zigbee屋外PTH(圧力温度湿度)センサMS8607)のプロジェクトページに記載されています。図3に、センサおよびZigbee無線プラットフォーム間の電気接続および配線図を示します。

図3:Xbee3屋外Zigbee PHTセンサプロジェクト - 電気接続と配線図(Digi-Key Scheme-it®で作成)

BOM(部品表)の全リストとプロジェクトの詳細は、下のDigi-Key Scheme-it®プロジェクトで確認できます。

このテストプロジェクトでは、センサプラットフォームをDigi-Key Electronics本社ビルの屋上に設置しました。図4に、2020年2月に本プロジェクトのPTHセンサで収集した圧力、温度、湿度のデータを示します。

図4:圧力、温度、湿度のデータ(画像提供:Digi-Key Electronics)

実環境におけるFOTAの利点

センサプラットフォームを当社本社ビルの屋上に設置した後、MS8607の温度データが、同じ環境で動作している他メーカーのセンサのデータと相関していないことに気付きました。以前、筆者の机で室温でテストしたときは、両方のセンサの測定値は似た値でしたが、屋外に設置すると低温では大きな差があったのです。データシートを確認した後、低温時の2次補正式をMicroPythonのアプリケーションコードに実装していなかったことがわかりました。Digi-KeyのZigbee Xbee3モジュールは、ファームウェアとアプリケーションファイルシステムのFOTAに対応しているため、快適な自分の机の上でアプリケーションコードを修正し、無線で更新することできました。再プログラミングのために、雪の中をとぼとぼ歩いてセンサプラットフォームを回収して室内に戻るようなことはせずに済みました。FOTAのおかげで、ユーザーは無線ファームウェアとMicroPythonによるアプリケーションの両方を同一ネットワーク内の他のZigbeeノードからリモートで更新できるのです。Xbee3のFOTAの実装と使用例に関する情報は、eeWikiプロジェクトXbee3 Firmware Over The Air(FOTA)update using XCTU(XCTUを使用したXbee3のFOTA(Firmware Over The Air)更新)にあります。

まとめ

Digi-Key製無線ZigbeeモジュールのXbee3は、センサ評価プラットフォームのインテリジェントコントローラとして良好に動作しました。このプラットフォームは柔軟性が高く、他のセンサ用に修正したり現場で更新したりすることが容易にできます。Zigbeeを使用すると、センサデータ用の信頼性が高く、拡張が容易な無線ネットワークを実現できます。

著者について

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Scott Raeker氏は、Digi-Key Electronicsの主任アプリケーションエンジニアです。2006年以来、同社に在籍し、ワイヤレス分野でのお客様を支援を主な仕事としています。彼はエレクトロニクス業界で35年以上の経験を持ち、ミネソタ大学で電気工学の学位を取得しています。余暇には、歴史的な農家の修復を楽しんでいます。

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