Heliumとは何か、そしてその仕組みは?
Heliumマイナーを立ち上げました!とてもワクワクすることなのですが、最初から話をする必要があります。筆者は暗号資産が大好きなのです。BitcoinとEthereumの成長を数年間追ってきました。その間には、それらの裏付けとなっているブロックチェーン技術についても学びました。そこで、ブロックチェーン技術を使った新しいLoRaWANネットワークについての調査を始めて、興味をひかれたのです。
簡単に復習をすると、LoRaWANとは低電力のワイドエリア(LPWA)ネットワークプロトコルであり、IoT機器をインターネットに無線接続するために設計されたものです。これはセルラー技術(Cat-MおよびNB-IoT)の代わりになるものです。農業、工業および他の商用IoTアプリケーションで勢いを増しつつあります。LoRa Allianceのウェブサイトは、LoRaWAN技術の詳細についての優れた情報源です。

LoRaWANが登場してしばらく経ちますが、何が変わり、Heliumはそこに何をもたらすのでしょうか。Heliumのウェブサイトには、「Heliumは、LoRaWAN対応のIoT機器向けに公衆無線で長距離をカバーするホットスポットのグローバルな分散ネットワークです。ホットスポットは、Heliumブロックチェーンのネイティブな暗号資産であるHNTを生産し、HNTで対価を得ます」とあります。
これをかみ砕いて説明しましょう。LoRaWANの運用者が直面する主な課題のひとつが、その公衆ネットワークインフラの物理的な構築です。これには資本が必要であり、投資家は投資利益率(ROI)が見合ったものになると予想して初めてそれを提供します。また、ネットワークの構築には、ホットスポットを建物や街灯などに設置する許可および承認を受けるための時間と労力も必要です。
Heliumのブロックチェーンは、物理的な非集中型無線ネットワークの作成を奨励するために開発されたオープンソースの公開ブロックチェーンです。Heliumはネットワークを自ら構築する代わりに、個人に対してLoRaWANのホットスポットを運用する対価の支払いを暗号資産で行っています。すばらしいアイデアですね!ホットスポットのホストには、Heliumネットワークトークン(HNT)で支払いが行われます。世界中の個人にネットワークの構築と運用をしてもらうことにより、Heliumは上で述べた産みの苦しみを排除しました。これは、ブロックチェーン技術を使ってグローバル無線ネットワークをサポートする非常にクリエイティブな方法です。そして、このビジネスモデルはうまく機能しているのです。この記事の執筆時点で、世界中に55,000個のホットスポットがあり、1日に1,000個以上増える急成長を遂げています。
詳しく知るための最良の方法は、取り組みを始めて、Heliumマイナーを購入することだと考えました。私は、自分が住んでいる地域でLoRaWANの対象範囲を提供することにより、HNTのマイニング(暗号資産の獲得)をするつもりです。DigiKeyは、Pi SupplyのNebra HNTマイナーをいくつか扱っています。ただ残念なことに、在庫がありませんでした。DigiKeyの製品ページには、「一時的な供給制限のため、現時点では繰越注文をお受けできません」という注記があります。うまく行けば、この状態はまもなく変わるでしょう。DigiKeyは、他のHeliumマイナーのメーカーとも製品の再販売の交渉中です。
Heliumのウェブサイトで認定マイナーを見てまわったところ、(価格とリードタイムの面から)最もお買い得な製品はBobcat Miner 300のようでした。Heliumマイナーに対する私の考え方は、強化版の家庭用Wi-Fiルータというようなものです。その一部は家の周りに数マイル範囲のホットスポットを生成するLoRa無線機であり、残りの部分はコンピュータです。Bobcatの場合は、クワッドコアARMプロセッサ(Rockchip PX30)および64GBのフラッシュストレージです。これは、トランザクションの処理、ブロックチェーンとの同期、および暗号ウォレットの維持用です。また、約5Wという低電力使用にも魅力を感じました。ここで、約200KユニットのHeliumマイナー用バックログがあることに注意してください。OEMの典型的なリードタイムは、出荷まで8~10週間です。私は3月23日にBobcat Minerを購入しましたが、納品されたのは6月7日でした。
セットアップは簡単なので、詳細を書いて読者を煩わせるのはよしましょう。多くのYouTube動画で、作業の詳細やトラブルシューティングのヒントが紹介されています。しかし、私が遭遇した1つの問題には触れておく価値があります。セットアップの初期段階に、私のホットスポットが「リレー」されているという旨のメッセージが表示されました。これは、そのマイナーがHeliumネットワークではなく、インターネットに接続されているという意味です。これは、私の所有しているVerizon製Fiosルータのファイアウォールの問題であることが判明しました。Heliumのウェブサイトおよびルータメーカーの指示に従って、TCPポート44158番の有効化とオープンができました。このポートフォワーディングでうまくいきました。このマイナーは、Heliumブロックチェーンとの同期に2日を要しました。これは想定より少し長かったのですが、有線Ethernet接続を使用したためです。後にWi-Fiに移行し、マイナーを家の周りで自由に移動させて最適な場所を見つけられるようにしました。現在は、1階のホームオフィスの窓台の上にあります。
私のマイナーである「Crazy Currant Mallard」が、Helium Explorerにアクティブとして表示されるようになりました。マイニングを開始して、HNTを稼ぎだすことにワクワクします。どれくらい速くマイナーのコストを回収できるかが興味の的です。数週間後には、マイニングの状況について最新情報を提供するつもりです。
2021年8月30日更新

私のマイナーは、1ヶ月以上申し分なく稼働しています。マイナーが毎日24時間稼働しているのは素晴らしいことですが、私は1日1ドルしか稼げていません。このままでは、赤字を解消して、マイナーのために支払った金額を取り戻すまで1年以上かかります。いろいろなブログを読むと、アンテナをアップグレードすることで改善される可能性があるようです。
私はペンシルベニア州のハリスバーグ郊外に住んでいます。家は小売店や商業施設から数キロ離れたところにあります。Heliumエクスプローラを確認すると、私の家の近くにはあまりホットスポットがないことに気づきました。カバレッジを証明するためには、より強力な屋外アンテナにアップグレードする必要があることが分かったのです。幸いなことに、特定の状況に応じて最適なアンテナを選択するのに役立つ記事がいくつかあります。Phoenix Contactのアイラ・シャープ氏は、アンテナの理論と選択の基礎をまとめた非常に優れたホワイトペーパーを提供しています。また、LoRaWANやHeliumマイナー用に特別設計されたアンテナに焦点を当てたYouTube動画も多数あります。
最終的には10dBiのアンテナを選択し、地上約20フィートの高さに設置することができました。家の壁面で屋根に近い部分に、アンテナを設置できる場所を見つけたのです。これは、DigiKeyで入手可能なLoRaWANアンテナのリストです。米国では915MHz、欧州では868MHzの適切な周波数を選択してください。新しいアンテナのおかげで、収益は1日あたり約0.5HNTまで増加しました。これは、現在の交換レートで約12ドルに相当します。50ドルでのアップグレードにしては悪くないですね。
これに関連して、DigiKeyはSeeed TechnologiesのSenseCAP M1マイナーを販売することになりました。この製品は、2021年9月初旬から順次展開される予定です。DigiKeyのサイトで予約注文が可能です。なお、お客様のクレジットカードへの請求は、製品の発送準備が整った時点で行われます。最新情報については、TechForumにあるSenseCAP M1のスレッドを参照してください。DigiKeyでは、Heliumネットワークと完全に互換性のあるSenseCAP IoTセンサも取り揃えています。詳細はこちらをクリックしてください。それでは、次回までHNTマイニングをお楽しみください。
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