ソリッドステートアイソレータが光ベースのリレーを超える優位性を実現

電子アプリケーションの部品を選ぶとき、試行錯誤に頼りがちになります。既存の選択肢に慣れている、古い技術の方がコストが安い、あるいは新たな統合の課題に挑戦することをためらっていることが、新たな選択肢を採用する際の妨げになる可能性があります。しかし、新しいソリッドステートアイソレータ(SSI)技術を代替品と比較検討する場合、製品設計者は「先手を打って問題を小さくするか、後で大きな問題に対処するか」の方程式も考慮する必要があります。

2024年の初めに、Infineon Technologiesは、ソリッドステートアイソレータ(SSI)の新製品ファミリ(図1)を発表しました。この製品は、コアレストランスフォーマ技術を使用し、20倍のエネルギー伝達、より信頼性の高い回路スイッチング、および光ベースのソリッドステートリレー(SSR)では実現できない保護機能を備えています。また、電磁リレー(EMR)に比べ、ターンオン電力が40%低いなどの利点もあります。

図1:Infineonのソリッドステートアイソレータの1つであるiSS120R02Hは、コアレストランスフォーマ技術をベースにし、ソリッドステートリレーに使用されています。(画像提供:Infineon Technologies)

これらのSSIにより、開発者は1000V、100A以上の負荷を制御できる堅牢なカスタムSSRを作成することができます。アイソレータは、ゲート駆動用の絶縁バイアス電源が無くても、絶縁バリアをまたいだエネルギー伝達が可能なため、大型MOSFETや絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を駆動することができます。

SSIの長期的な利点と信頼性は、オプトカプラやEMRを使用することで得られる節約分を相殺する可能性があります。これらのデバイスをアプリケーションに組み込むには、初期学習曲線が必要かもしれませんが、それはどんな技術の進歩にも共通することです。

より分かりやすい電源設計と長期的な信頼性は、顧客満足に不可欠な要素であるため、技術者は長期的なコストと部品表とのバランスを考慮する必要があります。Infineon SSIの優れた性能と電流および温度保護機能は、より高い信頼性を提供し、全体的な所有コストを下げることができます。

EMRの特徴である可動部品がなく、光ベースのSSRよりも高速なスイッチング速度と低消費電力を提供するInfineonのSSIは、電子アプリケーションに性能、信頼性の向上と優れた熱効率を提供し、ヒートシンクの必要性を最小限に抑えます。光ベースのSSRのLEDは時間の経過とともに劣化する可能性がありますが、SSIは長期的な信頼性を高めるために設計されたコアレストランスフォーマ技術を使用しています。

Infineon SSIの入力側は3.3V互換で、統合された電源バッファコンデンサが内蔵されています。電源はダイオード構造を手本にしたシャントレギュレータをベースにしています。外付けのバッファコンデンサは必要ありませんが、取り付けは可能です。最大18Vの高電圧出力が可能で、ゲート駆動に必要とされる直列または並列構成は必要ありません。

Infineonによれば、その出力電圧(VOUT)は、InfineonのCoolMOSTMおよびOptiMOSTMシリーズのパワーMOSFETやIGBTのTRENCHSTOPTMファミリを含むMOS制御トランジスタを駆動するのに十分です。アプリケーションは、高速ターンオン、高速ターンオフ、過温度保護、過電流保護などの高度な出力制御機能を利用できます。同ファミリの全デバイスは、IEC 60747-17およびUL1577認証を取得するよう設計されています。

Infineonのデバイスは、産業機器から電力網や再生可能エネルギーに至るまで、幅広い高電圧および大電流アプリケーションのカスタマイズSSRに利用できます。配電、電源、自動テスト機器、ロボティクス、計測システム、高度なバッテリ管理、その他多数のアプリケーションに組み込むことができます。

InfineonのSSIファミリには、iSSI30R12Hがあり、これはDSO-16-33パッケージに収められ、温度センサを内蔵したCoolMOS™ S7 T-SenseパワーMOSFETと使用するために調整されています。アイソレータの入力は3.3V対応で、通常の動作時の電流は16mAです。

外付けPTC抵抗器を使用するためのファミリの他の部品には、以下のものがあります。

InfineonはSSIファミリのデバイスの評価ボードも提供しています。たとえば、Eval-iSSI30R12H(図2)には、2つのCoolMOS™IPT60T022S7MOSFETをACスイッチ構成にしたiSS130R12Hが搭載されており、少なくとも25mAの適切な駆動能力を持つパルスジェネレータ、マイクロコントローラ、またはその他のデジタル回路に接続できる制御インターフェースを備えています。

図2:EVAL-iSSI30R12Hは、Infineonのソリッドステートアイソレータ製品ラインによるスイッチングをテストするための複数の評価キットの1つです。(画像提供:Infineon Technologies)

まとめ

Infineonのソリッドステートアイソレータの製品ラインは、顧客のSSRの製造において、性能、信頼性、熱管理の面で重要な優位性を提供します。可動部品がなく、電磁リレーや光ベースのSSRよりも大きなエネルギー伝達が可能なソリッドステートアイソレータは、初期学習曲線を正当化する以上の、より高性能で長寿命のアプリケーションを実現するためのオプションを提供します。

著者について

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Pete Bartolikはフリーライターで、20年以上にわたってITとOTの問題や製品について研究し、執筆してきました。それ以前は、IT管理専門誌『Computerworld』のニュース編集者、エンドユーザー向け月刊コンピュータ誌の編集長、日刊紙の記者を務めていました。

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