FPGAを使用した最先端イノベーション

人工知能は、結局のところクラウドに置いておくだけではもったいないということが分かってきました。スマートデバイスがインターネットに接続せずにインテリジェンスを必要とする機会が増えてきたことから、ローカルAI処理に対する需要が高まっています。エッジAIに注目が集まっていますが、Terasicも例外ではありません。実際に、この夏に同社が開催するInnovateFPGA設計コンテストのテーマは「エッジAI」です。

FPGAの特長(画像提供:Terasic)

現在、世界各国のチームが、プロジェクト企画書を提出して、人工知能の利用方法をアピールしています。地域レベル、世界レベルで、最優秀プロジェクトにさまざまな賞金とTerasic開発キットが授与されます。また、各地域の上位3チームには、2019 International Conference on Field-Programmable Technology(フィールドプログラマブルテクノロジー国際会議2019)のグランドファイナルで設計のプレゼンテーションを行うために、中国天津への旅行も用意されています。

審査基準の1つは、IntelのFPGAの3つの特長が実証されているかどうかという点です。この3つの特長とは、FPGAがプロセッサシステムにもたらすメリット、つまり、性能の強化、変化への適応、そしてI/Oの拡張です。ニューラルネットワーク、マシンビジョンなどのアプリケーションでよく使用されるマトリクス演算では、FPGAの性能が従来のプロセッサをしのぐようになっていることから、AIというテーマとともに性能についても同様に大きな注目が集まるでしょう。

今年のコンテストでは、革新的なFPGA設計を構築するための基盤として、開発者はIntelの2つのCyclone V SoCプラットフォームから選ぶことができます。昨年のコンテンストの中心的存在だったDE10-Nanoキットが今年も登場し、今年は新たにOpenVINOスターターキットが付属しています。これは、ロジックエレメントがDE10-Nanoのほぼ3倍あるPCIeカードです。参加者は、IntelのOpenVINOディープラーニングツールキットを使用することもできます。このツールキットは、偶然にもTerasicの同名のスターターキットと非常にうまく連動します。

OpenVINOスターターキットのブロック図(画像提供:Terasic)

プロジェクトの応募は6月に完了し、第1回目の投票は終了しましたが、10月9日から23日までの期間、地域ごとの決勝戦が始まっています。 まだ登録されていない方は、コンテストのウェブサイトでコミュニティメンバーとして登録してください。コミュニティメンバーとして登録すると、気に入ったプロジェクトに投票したり、参加者に質問やフィードバックを残すことができます。コミュニティに積極的に参加した方への特典として、Terasicから、投票期間中、毎週抽選でDE10-Nanoキットが2名様にプレゼントされます。

今年は、交通管制システムから脳波を読み取る装置まで、さまざまなプロジェクトの応募がありました。地域の最終選考に残ったプロジェクトの中で、私が個人的に気に入っているものがいくつかあります。

(画像提供:Innovatefpga.com

  • AS026 - iOwlT:このプロジェクトは、暗闇の中で音を使って獲物を自動追尾するメンフクロウにヒントを得ています。しかし、iOwlTは獲物を捕るのではなく、銃声を感知する技術にメンフクロウのメカニズムを利用することを目的としています。現在の目標は、都市部や禁猟区域でのセキュリティ強化です。このようなシステムは、他の音源の位置を特定することにも一般化できます。

(画像提供:Innovatefpga.com

  • AP053 - EEG車いすインターフェース:電動車いすは、身体に障がいのある人に移動性と自立性を提供しますが、通常、操作には手を使う必要があります。このプロジェクトの目的は、人間の思考(脳波)を使って車いすを制御し、手の不自由な人でも車いすを利用できるようにすることです。

(画像提供:Innovatefpga.com

  • AP047- リアルタイム手話翻訳:手話の翻訳といえば、コンピュータビジョンを真っ先に思い浮かべるかもしれません。人間であれば視覚で手話を解釈するためです。このプロジェクトでは、IMUと筋肉から発生する電気的活動(EMG)を用いてジェスチャを分類し、5つの言語に翻訳するという異なるアプローチをとっています。出力は、スピーカから音声で受け取ることも、携帯電話にテキストで送信することもできます。

コミュニティメンバーとして登録し、プロジェクトを見るには、InnovateFPGAポータルにアクセスしてください。うまく投票して、お気に入りのプロジェクトが勝利できるようにしましょう!

著者について

Image of Taylor Roorda DigiKeyのアソシエートアプリケーションエンジニアであるTaylor Roorda氏は、2015年に組込みシステム、プログラム可能ロジック、および信号処理に主に関心を持つ分野に参加しました。ノースダコタ州立大学で電気工学の学士号を取得し、余暇にはギターを演奏したり、作曲したりしています。
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