完全なWi-Fi/Bluetoothコンボモジュールを使用したIoTコネクティビティの簡素化
技術の進歩と製品の進歩の間には正のフィードバックループがあります。つまり、技術の進歩が市場の製品需要を高め、その需要がさらなる技術進歩を後押ししています。このサイクルが繰り返されることで、高価で希少な部品や製品が瞬く間に低価格の日用品になっていくのです。パソコン、スマートフォン、薄型テレビを考えれば、おわかりいただけるでしょう。
これと同じことが、ワイヤレスIoT(モノのインターネット)コネクティビティでも起きています。ワイヤレス機能の設計と製造は、たとえ少量のアプリケーションであっても、だいたい少数のRF「魔術師」の手中にあります。魔術師というのは、数百メガヘルツで動作する回路を設計できる専門家や、それを比較的高いコストで製造する企業です。しかし、最近は驚くことに、完全なギガヘルツ(GHz)帯のRF ICもすぐに入手できるようになりました。このICを使用すれば、低コストで小型フットプリントながら、驚異的な機能を備えた高度なワイヤレスコネクティビティをすばやく実装できます。
ご承知のように、「完全」の解釈はベンダーとユーザーでよく異なります。すべてのアクティブデバイスには電源と、おそらくいくつかのバイパスコンデンサが必要です。そして、設計者はデバイスを動作させるために、さらに能動部品や受動部品を追加する必要があるかもしれません。したがって、「完全」とは、どの部品をいくつ使用するかによります。
完全なモジュールで規制遵守を簡素化
RF関連機能にとって、デバイスの完全性は単なる利便性ではありません。完全なRFソリューションにより、RF設計の最大の課題の2つを取り除くことができます。
• 回路がサポートするワイヤレス規格の複雑な機能要件への確実な準拠。
• 帯域外(OOB)エミッション、電磁干渉(EMI)、無線周波干渉(RFI)に関する多くの厳しい規制に対応し、製品認証プロセスを合理化。
ワイヤレスリンク回路や機能が、多くのWi-Fi規格群(IEEE 802.11xx)のように、1つの規格内の複数のバージョンに対応する必要がある場合、このような設計上の問題はより複雑になります。Bluetoothなど、異なる規格をサポートする必要がある場合は、さらに困難になります。熟練した設計者であっても、単一の業界標準を満たすためにフル機能のRFリンクを開発することには慎重です。1つのチップで複数のワイヤレス規格を満たすことは、さらにリスクの高い提案です。
モジュールによる完全なソリューション
これらすべての問題を回避するための1つの選択肢が、Murata ElectronicsのType 2BZ(LBEE5XV2BZ-883)、デュアルバンド2.4GHz/5GHz Wi-Fiワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、およびBluetoothトランシーバモジュールです。このコンボソリューションは、Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac(2×2マルチ入力、マルチ出力(MIMO))と、Bluetooth 5.2 Basic Rate(BR)、Enhanced Data Rate(EDR)、およびLow Energy(LE)をサポートします。物理層(PHY)のデータレートは、Wi-Fiが最大866メガビット/秒(Mbps)、Bluetoothが最大3Mbpsです。
対象アプリケーションには、IoTノード、ハンドヘルドワイヤレスシステム、ホームオートメーション、ゲートウェイなど、FCC/CE/IC/TELEC規格に適合しなければならない小型の電力に敏感なデバイスが含まれます。完全に遮蔽された面実装モジュールの重量はわずか0.36g、フットプリントはわずか11.4 x 8.9mm、高さは1.4mmです(図1)。
図1:完全に遮蔽されたLBEE5XV2BZ-883は、Wi-FiとBluetoothのコンボトランシーバモジュールであり、ワイヤレスコネクティビティの実装を簡素化します。(画像提供: Murata Electronics)
LBEE5XV2BZは、Infineon TechnologiesのAIROC CYW54590システムオンチップ(SoC)をベースにしています。CYW54590には、トランスミッタRFパワーアンプ(PA)とレシーバ低ノイズアンプ(LNA)が含まれます(図2)。このモジュールは、RFマッチング、フィルタリング、アンテナインターフェースの重要な問題に対応しています。そのため、RF回路と関連ソフトウェアの作成と認証に関連する多くの課題を取り除くことができます。
図2:Type 2BZモジュールは、オンボードのPAとLNAを備えたCYW54590 Wi-Fi 5およびBluetooth 5.1コンボSoCをベースにしています。(画像提供:Infineon Technologies)
このモジュールは、最大3本のアンテナ(Bluetooth用1本とWi-Fi用2本)をサポートします。また、BluetoothとWLANの受信信号経路を共有することで、BluetoothとWi-Fiの両方で優れた感度を維持しながら、外部電源スプリッタの必要性を排除できます。
CYW54590は、完全なRF機能以上のものを内蔵しています。そのWLAN部は標準的なSDIOインターフェースをサポートし、Bluetooth部は高速4線式ホストコントローラインターフェース(HCI)、UART、オーディオデータ用パルス符号変調(PCM)をサポートします(図3)。
図3:Type 2BZモジュールは、ホストプロセッサとWi-FiおよびBluetooth機能用の最大3本のアンテナ間に完全なインターフェースを実装できます。(画像提供: Murata Electronics)
同じく重要なのは、組み込みのオペレーティングファームウェアです。CYW54590は、Wi-FiとBluetoothの同時接続を最適化するために、高度な協調的共存ハードウェア機構とアルゴリズムを実装しています。
別モジュールであるMurataのLBEE5XV1XA-540は、2.4GHz帯と5GHz帯の2つのWi-Fiネットワークを同時にサポートするRSDB(Real Simultaneous Dual Band)機能を備えています。InfineonのAIROC CYW54591RKUBGT SoCをベースにしたLBEE5XV1XA-540は、ビデオ/オーディオストリーミングやゲートウェイアプリケーションのレイテンシを短縮します。
これらのモジュールの完全性は、必要な外付け部品の数が最小限であること(つまり、数個の標準的なバイパス/デカップリングコンデンサと、数個のSDIOデータライン用プルアップ抵抗)によって実証されています。必要な電源レールはわずか2つで、1つは動作用の3.3V(公称)電源、もう1つはI/Oライン用の1.8Vまたは3.3V電源です。この要件も、デザインインを簡素化します。
まとめ
精巧なマルチバンド、マルチフォーマットのWi-FiおよびBluetoothインターフェースを組み込むために、RF回路やシステムの高度なスキルはもはや必要ありません。Murata ElectronicsのType 2BZ Wi-Fi/Bluetoothトランシーバモジュールは、CYW54590コンボSoC、RFマッチング、フィルタリング、アンテナインターフェースを備えており、規制要件と機能要件を満たすドロップインソリューションを提供します。
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