Thonnyを使ったXRPロボットのプログラミング

SLAMブログシリーズのパート1では、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とは何か、そしてロボットがナビゲーションのためにSLAMをどのように利用できるかについて説明しました。パート2では、ロボットナビゲーションのために未知の領域の地図を作成するSLAMアルゴリズムで使用される3つの主要な技術について説明しました。このブログでは、初心者に優しいロボット、XRP(体験型ロボティクスプラットホーム)と、それに代わる方法であるThonnyを使ったプログラミング方法について説明します。

XRP(体験型ロボテックプラットフォーム)について

XRPは、オープンソースのロボットプラットフォームで、プログラミングやロボット工学の基礎を学ぶのに役立ちます。入門レベルのロボットプラットフォームであり、よく文書化されており、コミュニティによるサポートも充実しています。XRPはRaspberry Pi Picoベースのロボットです(図1)。

図1:XRPロボット。(画像提供:SparkFun)

Thonnyを使う理由

ThonnyはオープンソースのPython IDE(統合開発環境)で、Pythonプログラミングや基本的なゲーム開発に使用されています。従来、XRPコードと呼ばれるウェブインターフェースを使用してXRPをプログラムしていました。XRPコードは、Google ChromeとMicrosoft Edgeの両ブラウザで動作します。Thonnyを使用することでいくつかの利点があるため、Thonnyを使用したXRPコードの代替方法を見つけようとしています。ThonnyによりXRPへのMicro Pythonライブラリのインストールが容易にでき、特にUbuntu OSでのXRPプログラミングの経験を向上させます。Ubuntu OS上のブラウザベースのXRPコードの不具合を考えると、Thonnyは良い代替方法となります。

XRPプログラミングのためにThonnyをセットアップするには3つのステップがあります。

ステップ1:XRPファームウェアのインストール(オプション)

ロボットにXRPファームウェアをまだインストールしていない場合、以下の手順に従ってファームウェアをダウンロードし、インストールしてください。そうでない場合、すでに実施済みの場合は、このステップを飛ばしてステップ3に進んでください。

1.以下のURLから最新のXRPファームウェアをダウンロードする

URL:Releases · wpilibsuite/xrp-wpilib-firmware (github.com)

  • 「.uf2」ファイルをダウンロードするか、 「.uf2」ファイルを含むファームウェアZIPファイルをダウンロードして解凍する

2.XRPをノートパソコンのUSBポートに接続する

3.BOOTSELボタンを押しながら、RESETボタンを押して放す(図2)

図2:XRPコントローラボード。(画像提供:SparkFun)

4.XRPは一時的にコンピュータから切断され、USBストレージデバイス「RPI-RP2」として再接続される

5.ダウンロードした「.uf2」ファイルをRPI-RP2 ドライブにコピーする

6.コピーが終了すると、ドライブは自動的に切断され、XRPをPCから抜くことができる

ステップ2:XRPコードエディタを使ってファームウェアのインストールを検証する

Thonnyを使う前に、まずXRPコードエディタを使用してインストールされたファームウェアを検証します。

  1. Google ChromeまたはMicrosoft Edgeを使って以下のURLにアクセスし、XRPコードエディタを開く XRPコードURL
  2. USBケーブルを使ってXRPをPCに接続する
  3. 「CONNECT XRP」ボタンを押して、XRPロボットをXRPコードに接続する

ステップ3:Thonnyを使ってXRPをプログラミングする

  1. Thonnyをダウンロードしてインストールする
  2. URLThonnyのウェブサイト

  3. XRPをThonny IDEに接続する
    • インストール後、アプリケーションを開き、USBケーブルでXRPをPCに接続する
  4. Thonny IDEの設定
    • Tools(ツール)>Options(オプション)>Interpreter(インタプリタ)に進む(図3)

図3:Thonny IDEの構成。(画像提供:Thonny.org)

  • 次に、ドロップダウンリストから 「Micro Python (Raspberry Pi Pico)」を選択する(図4)
  • ポートドロップダウンリストで、Try to detect port automatically(自動的にポートを検出 )を選択し、接続用の COM ポートを自動的に検出する(図4)

図4:Thonny IDEの構成。(画像提供:Thonny.org)

テスト

すべてがうまくいったことを検証するために、XRPハードウェアのデフォルトプログラムにアクセスしてみましょう。

  • File(ファイル)> Open(開く)...>に進み、ポップアップウィンドウから「Raspberry Pi Pico」を選択する(図5)

図5: XRPファイルにアクセスするThonny IDE。(画像提供:Thonny.org)

  • これで、すべてのデフォルトファイル、またはXRPに保存したファイルが表示される(図6)

図6:XRPコードファイルを表示するThonny IDE。(画像提供:Thonny.org)

  • XRPExamplesを開き、任意のコードを実行する
  • 図7に示されるような出力が表示される

図7:実行中のコードのThonny IDE出力ウィンドウ。(画像提供:Thonny.org)

おめでとうございます、これでThonny IDEを使ったXRPのプログラミングは成功です。

まとめ

XRPコードの代替方法としてThonnyを使うことにはメリットがあります。主な利点は、ThonnyによりXRPへのMicro Pythonライブラリのインストールが容易にでき、特にUbuntu OSでのXRPプログラミングの経験を向上させることです。このブログで説明されているステップに従うだけで、XRPをプログラムして実行することができます。

著者について

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Aswin S Babu氏はロボット工学とAIを専門とするソフトウェアエンジニアです。彼はこれらのスキルを社会貢献のために活用することに情熱を注いでいます。ホームオートメーションの社会的起業家からロボット工学のエンジニアまで幅広い経験を持っています。また、ロボットの位置特定のための単眼ビジュアルオドメトリシステムなど、革新的なプロジェクトに取り組んできました。さらに、さまざまな年齢の学生にロボット工学やAIを教えた経験もあります。趣味はパブリックスピーチ、養蜂、ガーデニング、社会貢献のためのボランティア活動です。

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