持続的な冷却
1日が間違いなく台無しになる原因の1つ、それは大きなトラブルにつながるキャビネット内の過剰な熱を見過ごすことです。なぜなら、熱を放置すると部品の平均寿命が大幅に短くなり、作業が中断する原因にもなり、従業員に危険が及ぶ可能性さえあるからです。そんな悲惨な事態を引き起こさないために、温度が制御不能にならないようキャビネットを守るのに役立つ話をしましょう。
エネルギーの保存
まずはエネルギーの保存についての話から始めるのがいいでしょう。
識者曰く:あらゆるエネルギー源から所定の決まった領域(例:エンクロージャまたは特定のコンポーネント)に流れ込む総エネルギーが、その領域から流出する総エネルギーと等しい場合に限り、安定した温度が保たれます。システム部品の温度は、定常状態動作時にこのような状態になるように変化します。
私曰く:基本的に、入り込むエネルギー(ここではエンクロージャ内で使用されるワット電力)は出て行くエネルギー(サーマルソリューションで発散される熱)と同じになる必要があります。そこで、システムの部品は温度の上昇または下降いずれかの変化に反応して、熱平衡を得ようとします。火花が散り始めるより低い温度平衡が望ましいと言えます。
低い温度平衡がとても重要な理由
識者曰く:アレニウスの法則によると、エレクトロメカニカルプロセスや他のプロセスは、温度が10°C上昇するごとに約2倍加速します。
私曰く:(しばらくまばたきを続けて)どういうこと?理解するにはコーヒーをもう1杯…。
冗談はさておき、これによって部品はどうなるかというと、温度が上昇することによって、電解コンデンサや電池などの部品の耐用年数が短くなるのです。とすれば、デバイスの容量や定格を考慮することは非常に重要です。なぜなら、それらは性能や寿命などの特性をとかく制約する要素になるからです。
図1:(画像提供:www.istockphoto.com)
話を進める前に、分かりやすいように熱管理の用語をいくつか確認しておきましょう。
伝導
識者曰く:伝導とは、系内で物理的につながっている2つの構成要素間で熱が伝わることです。
私曰く:熱い金属片が別の金属片につながると、熱はその2つが同じ温度になるように金属片間で移動します。
対流
識者曰く:対流は、空気または流体の循環による熱の伝達です。
私曰く:すごく熱い物体が、空気(または他の流体)を経由してその熱を他の物体に伝え、それらが同じ熱さになることです。
放射
識者曰く:放射とは、ある物体から別の物体へ、エネルギー粒子がその物体間の空間を通って移動し吸収されることです。
私曰く:トースターを想像してみて。
熱的モデリング
識者曰く:熱的モデリングは、電子アプリケーションで基本的な熱分析を計算するプロセスです。
私曰く:こちらのリンク、見てください!(EEwiki記事)
クローズド冷却システムとオープン冷却システム
通常、キャビネットの冷却には2つの従来方式が用いられています。クローズドシステムとは、キャビネット内部からキャビネット外部への冷媒(空気または流体)の動きがないことを意味します。あらゆる冷却は伝導によって行われます。どんなに優れた決定にもみられるように、そこには長所と短所があります。いくつか考えてみましょう。まず、クローズドシステムにはフィルタリングが不要なのでメンテナンスの手間がかかりません。これは微粒子が多く存在する環境にうってつけです。また、パネル内部にある機器がより長くきれいな状態に保たれます。当然ながらこれは、伝導プロセスには限界があるため、温度が上昇していくことにもなります。熱はまずエンクロージャの壁面を通って移動してからでないと、周囲の空気に放出されません。高温の環境では、これは非常に大きな問題を引き起こす場合があります。なぜなら、このプロセス自体は熱を大量に発散するには適さないからです。しかし何らかの対策も考えられます。たとえば、閉ループの冷却システムをパネル内に追加して、そのシステム内で封入された液体を攪拌して部品から熱を引き出すこともできるでしょう。
もう1つのオプションはオープンシステムです。このシステムでは、フィルタリングシステムを使うことで空気または流体をキャビネットに流入させ、対流を利用してそれをキャビネット内で循環させます。これにより、通常はキャビネットをクローズドシステムよりも低い温度で運用できます。ただし、メンテナンスが必要になります。フィルタリングシステムを使う場合、気流が妨げられ結果的に部品の劣化につながるのを防ぐために、フィルタの定期的な交換が必要です。オープンシステムには制約があります。必要な流体(通常は空気)の流量は、冷却用流体の熱容量、吸入と排出の温度、許容される部品の温度によって左右されます。また、キャビネット内部の温度が排気温度よりも引き続き高くなることにも留意すべきです。
その他の情報と便利なリンク
ファンの選択とアプリケーションガイド:パラメータ特性のナビゲート(EEwiki記事)
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