Texas InstrumentsのLaunchPadを使用したインサーキットプログラミング
Texas Instrumentsの16ビットマイクロコントローラMSP430ファミリの登場は、1992年までさかのぼります。ちなみにその年には、ジョージ・ブッシュ(初代)がアメリカ大統領になり、スペースシャトル「エンデバー」が初めて打ち上げられ、MicrosoftがWindows 3.1を発表しました。言うまでもなく、MSP430は由緒正しい長寿命のマイクロコントローラなのです。組み込みデバイス向けの混合信号・低電力16ビットマイクロコントローラとして設計され、長年にわたり数多くの製品に使用されてきました。
その1992年から、私が研究室で製品設計に取り組んでいる際にMSP430シリーズと初めて出会った2017年まで時を進めます。最終的に、私が自分の設計にMSP430G2553IPW20(図1)を選んだ理由は、低コストと低消費電力、複数のA/Dコンバータ(ADC)とタイマ、16MHzの性能、多数の汎用入出力ピン(GPIO)、ユニバーサル非同期レシーバ/トランスミッタ(UART)、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)、集積回路間通信(I2C)などの幅広い機能でした。
図1:MSP430G2553IPW20の機能ブロック図には、その機能の多くが示されています。(画像提供:Texas Instruments)
しかし、正直に言えば、最初にそれを使用したいと思ったのは、MSP430G2553用エミュレータ/プログラマを提供するTexas InstrumentsのMSP-EXP430G2(現在は廃番)LaunchPadキットを数年前に購入していたためでした。そのキットは私の研究室で埃をかぶっていましたが、1度は試してみようと思ったのです。
私の期待が裏切られることはありませんでした!さて、私はTexas Instrumentsのファンだと非難されていますが、ユーザーガイドが700ページ以上あるにもかかわらず、MSP430G2553IPW20は非常に強力で理解しやすいと感じました。
LaunchPadとTexas Instrumentsの無料のCode Composer Studio統合開発環境(IDE)を使用して、あっという間に私の製品用のファームウェアを生成することができました。また、MSP430製品ラインをサポートするEnergiaと呼ばれるオープンソースIDEもあります。Energiaは、ArduinoのIDEに非常によく似た開発環境を提供し、直感的に操作できるようになっています。
最初はMSP430G2553のプログラミングをMSP-EXP430G2 LaunchPad(廃番品)で行いましたが、その後はMSP-EXP430G2ET(図2)へアップグレードしました。USBインターフェースをUSB MiniからUSB Microに変更し、5V電源を追加し、ベンチで支えるための支柱を改良した以外、2つのプログラマはほとんど同じです。どちらのプログラマも、MSP430G2553マイクロコントローラ用の20ピン・デュアルインラインパッケージ(DIP)ヘッダを備え、14-DIPまたは20-DIPパッケージのMSP430G2xx2、MSP430G2xx3、MSP430F20xxデバイスをサポートしています。
図2:MSP430マイクロコントローラのプログラミングを簡略化するMSP-EXP430G2ET LaunchPad(画像提供:Texas Instruments)
MSP430G2ETをインサーキットプログラマとして使用
MSP-EXP430G2ETプログラマは、オンボードDIPヘッダに配置されたマイクロコントローラをプログラミングする際に簡単に使用できますが、インサーキットプログラマとして使用することも可能です。Texas Instrumentsは、MSP430専用にSpy-Bi-Wire(SBW)と呼ばれるプロトコルを開発しました。SBWは、Joint Test Action Group(JTAG)プロトコルの2線式実装です。MSP-EXP430G2ET LaunchPadのSBWプロトコルに関連する2つのピンは、RSTピンとTESTピンです。
上記のサポートされたMSP430ファミリのいずれかを設計で使用する場合、プログラマからVcc、RST、TEST、GND(MSP430G2x13およびMSP430G2x53、20ピンデバイスのピン1、16、17、20)を設計上の露出ヘッダに接続することで、MSP-EXP430G2ETをインサーキットプログラミングに使用できるようになります(図3)。設計が自己給電型であれば、Vcc接続は必要ありません。
MSP430のプログラミング時にはRSTピンがHIGHにプルされるので、その電流を制限するために4.7kΩの抵抗を直列に配置することをお勧めします。このSBWアプローチを私の何百もの製品に使用してきましたが、魔法のような働きをしてくれました。
図3:MSP-EXP430G2ETは、設計上の露出したMSP430ヘッダに接続することで、インサーキットプログラマとして使用できます。(画像提供:ダグ・ピーターズ氏)
まとめ
MSP430G2xx2シリーズは、その古さから、ある分野では時代遅れとみなされるかもしれませんが、次回の設計では見落とさないようにしましょう。このシリーズには、多くの機能と、何十年にもわたって現場で実証されてきた確かな使用方法があります。オンラインサポートは充実しており、直面する問題のトラブルシューティングに役立つサンプルも多数用意されています。MSP-EXP430G2ET LaunchPadを忘れずに入手すれば、優れたインサーキットプログラマも手に入れることができるのです!
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