3Dプリントでアルミ製エンクロージャのエンドキャップをカスタマイズ
私は少量生産の製作者(兼愛好家)として、製品やプロジェクトの収納にアルミ製エンクロージャを使うことがよくあります。押し出しアルミケースの耐久性と強度が気に入っていますし、万が一大きな放熱面積がヒートシンクとして必要になった場合でも、アルミ構造自体から放熱面積を得ることができます。私はこれまでHammond Manufacturingの押し出しアルミケース1455C802シリーズを使ってきましたが、その品質には非常に満足しています。
アルミケースの感触は好きなのですが、様々なバインディングポストやコネクタに合わせてプラスチック製のエンドキャップに穴をあけ、切削してポートを作成するのは非常に難しいとともに、作業手順に統一性がないと感じています。穴をあけること自体は非常に簡単です。良いドリルプレスとテンプレートさえあればよいからです。しかし、丸くない穴をあけるとなると、途端に厄介になります。私の製品やプロジェクトの多くは、様々なコネクタ(USBポート、ボードヘッダ、LCDパネル)を露出させるために、正方形や長方形、さらには不均一な幾何学形状をも必要としています。このようなカット作業を行うのに、私はX-ACTOナイフ、ダイアゴナルカッター、ニッパーなど、さまざまな工具を使っています。指はまだ1本も失っていないのですが、X-ACTOナイフを使うときに何か起こるのは時間の問題だと思っています。
3Dプリントは安全性と効率で優るだけでなく、より本格的に見える製品を製作可能
前述の工具を使ってぶっつけ本番のプロジェクトやプロトタイプを作成することもできますが、私の場合は、出来上がったものが素人臭い物になってしまうことが多いのです。また、私のように年間数百台ものユニットでこのようなカット作業を手動で行うと、非常に時間がかかります。この問題を解決するため、メーカーから提供されるプラスチック製のエンドキャップを廃棄し、代わりに私の仕様に合うものを新たに3Dプリントすることにしました(図1)。
図1:Hammondのケース1455C802(右)に合わせて3Dプリントしたエンドキャップの例(左)(画像提供:Doug Peters(ダグ・ピーターズ)氏)
3次元積層造形プロセスは、習得するのに少し時間がかかりますが、一度マスターすれば、想像力次第で様々なものを造形できるようになります。
このプロセスには、基本的に3つのステップがあります。まず、CADファイルを作成し、出力をSTL(Standard Tessellation Language)ファイルとして保存する必要があります。STLファイルを生成するためのCADソフトとしては、無料・低価格のものが多数あります。私は、設計には、TinkerCadという無料のウェブベースのアプリケーションを使っています。
次に、STLファイルを3Dプリンタ用の一連の数値命令に変換する必要があります。このファイルは新しい形式であり、Gコードと呼ばれ、生成するには、STLをGコードファイルに変換するための「スライサ」と呼ばれるものを使います。私はCuraというソフトウェアパッケージの無料版を使っていますが、他にもいろいろなものがあり、そのほとんどが無料です。最後に、Gコードの生成後、それを愛用の3Dプリンタに送信すれば、新しいウィジェットの出来上がりです。
私の個人的な3Dプリントのニーズには、CrealityのENDER-3 S1 Proを使っています(図2)。ENDER-3 S1 Proの品質とスピードは、特に価格比で優れていると思います。もちろん、プリント時間は設計の複雑さに応じて異なりますが、私のケース、Hammond 1455C802の例では2つのエンドキャップをプリントするまでに約25分かかりました。1回のプリント作業でエンドキャップ2個を2セットまとめてプリントするようになってからは、40分ほどで出来上がるようになりました。
図2:Shenzhen Creality 3D Technology Co, Ltd.のENDER-3 S1 PROを使用すると、Hammond 1455C802エンクロージャのエンドキャップ2個をプリントするのに約25分かかりました。(画像提供:Shenzhen Creality 3D Technology Co, Ltd.)
3Dプリントの際に選択できるフィラメントには、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)など様々な種類があります。YouTubeで検索すると、ありとあらゆるフィラメントの長所と短所を説明した膨大な量の動画がヒットします。Flashforge USAは、いろいろな種類の中でも特にPLAフィラメントを多くの色で提供しています(図3)。
図3:PLAフィラメントの豊富なカラーバリエーション例(画像提供:Flashforge USA)
まとめ
3Dプリントは、私のスモールビジネスにおいても趣味のニーズにおいても、エンクロージャのエンドキャップの製作に関係する完璧なソリューションであることが分かりました。3Dプリントのおかげで、電子機器の設計に集中できると同時に、完成品の品質や見栄えを高めることができるようになったのです。また、ラボを中心に3Dプリンタを使い回して、便利なガジェットをたくさんプリントしています。
個人的には、エンクロージャのエンドキャップ製作に3Dプリンタを使用することで、3Dプリンタを購入して間違いではなかったことを証明する以上の効果があり、それを使用することで指も失わずに済んだのかもしれません!
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