電子機器用エンクロージャの仕様を決める際の10のヒント
2024-05-30
新しいプロジェクトを始める際に考慮すべきことは多数ありますが、特にユーザーのコンポーネントを収納するエンクロージャは重要です。エンクロージャは消費者の目に触れ、消費者が手に取るものです。また、ユーザーは、エンクロージャが目的のアプリケーションに必要な品質をすべて備えていることを求めています。
エンクロージャメーカーとしてのHammond Manufacturingの経験を基に、エンクロージャを選択する際に留意すべき一般的かつ重要な10の基準を紹介します。
1.サイズ
理想を言えば、エンクロージャはPCBを設計する前に選択されるべきです。そうすれば、基板を望ましい正確なサイズにできます。エンクロージャに取り付け用のポストがある場合は、取り付け用の穴を正しい位置にすることができます。ただし、時にはこれが逆になることもあり、ユーザーは基板をいずれかのボックスに合わせなければなりません。
PCBの大きさはどのくらいでしょうか?横置きでしょうか、それとも縦置きでしょうか?多くのプラスチックエンクロージャでは、側面に直接垂直に取り付けるためのスロットが成形されているか、または水平に取り付けるためのPCB取り付け用ボスが上部と底部に成形されています。押し出しアルミエンクロージャには、通常、側面に水平のPCB取り付け用全長スロットがあります。インジケーター、スイッチ、コネクタ、ケーブルエントリ、および同様のコンポーネントのために外面にスペースが必要な場合は、どの程度の面積が必要でしょうか?基板の取り付け部品や複数の水平基板に必要な高さはどのくらいでしょうか?
図1:Hammond 1591Tシリーズのプラスチックエンクロージャ。内部にカードガイドが成形されています。(画像提供:Hammond Manufacturing)
図2:Hammond 1455シリーズのプリント基板スロット付き押し出しアルミエンクロージャ。(画像提供:Hammond Manufacturing)
2.設置環境
製品はどこで使用しますか?屋内、屋外、またはその両方でしょうか?屋外に設置する場合、プラスチックエンクロージャでは紫外線耐性が問題になる可能性があるため、ポリカーボネートがデフォルトの選択肢になります。道路や鉄道など、移動を伴うアプリケーションでは衝撃や振動が懸念されるでしょうか?水分や粉塵が侵入する危険性はありますか(下記のポイント5を参照)?油や化学物質などの汚染物質が存在する可能性はありますか?衝撃に対する耐性が問題になる可能性はありますか?極端な高温または低温は予想されますか?
ABSは屋内や携帯での使用に最適です。ポリカーボネートは、耐熱性、紫外線耐性、衝撃への耐性が優れており、屋外や産業用途に適した素材です。アルミダイカストなどのメタルは、耐衝撃性と耐熱性に優れています。
図3:Hammond 1554シリーズの透明なふた付きポリカーボネートエンクロージャ。(画像提供:Hammond Manufacturing)
3.素材
エンクロージャが小型である場合は、通常、プラスチック(ABSやポリカーボネートなど)とメタル(ダイカスト、折り曲げまたは押し出しのアルミやスチールなど)のどちらかを選択します。ポリカーボネートは、ABSよりも日光による劣化や変色を起こしにくいため、通常は屋外向きとされています。
アルミエンクロージャは耐衝撃性に優れ、本質的に導電性があります。ただし、エンクロージャ全体の導通を保つには塗装仕上げやアルマイト仕上げで嵌合部を覆ってはなりません。押し出し成形エンクロージャの設計の中には、複数のフィンなどの機能を備え、表面積を増やして熱放散を向上させているものもあります。アルミダイカストのハウジングは、強靭で堅牢です。腐食せず、導電性があり、本質的に高水準の電磁波減衰特性を備えており、マシニングが容易です。衝撃に対する保護が重要なアプリケーション、EMCが問題になりそうなアプリケーション、高温、粉塵、水分が予想されるアプリケーションでは、ダイカストエンクロージャが低コストの選択肢として最適です。
4.EMC(電磁両立性)
プラスチックエンクロージャには1つ特有の欠点があり、EMCを減衰させることができません。収容されたエレクトロニクスから放出される電磁干渉(EMI)やRFI、あるいは外部電場への脆弱性が潜在的な問題となる場合、遮蔽製がないことは懸念材料となります。プラスチックエンクロージャの内面にはさまざまな材質の内部コーティングを施すことができるため、プロジェクトの要件に応じてさまざまな減衰効果を得ることができます。さまざまな厚さの素材によって、最も費用対効果が高く、技術的に適切なソリューションを実現できます。
メタルエンクロージャの場合、上部、底部、および取り外し可能なパネルの間に電気的導通があるように設計すれば、そのEMCは通常、大半の商用アプリケーションで求められる水準を上回ります。エンクロージャの2つの部分を電気的に接続するには、導電ガスケットが使用されます。
5.環境シーリング
エンクロージャは水分や粉塵などの環境リスクにさらされますか?関連する国際規格はEN 60529です。この規格で定義されている等級は「IPXX」と表記されます。1桁目が固形物に対する保護、2桁目が水の浸入に対する保護を表しています。
一般に、IP54の定格を備えたエンクロージャは、汎用での使用に適しています。エンクロージャを粉塵や水分のある環境に設置する場合は、通常IP66、67、68が指定され、これにはガスケットが使用されます。最高の等級はIP69Kです。この等級は高圧のスチーム洗浄にも耐えます。北米では、環境に対するエンクロージャの密閉性は通常、NEMA(National Electrical Manufacturers Association)番号で定義されています。また、NEMA規格では、氷結条件下での機能性、ケーブル接続用のノックアウトなど、IP規格が対応していない製品の機能や試験も要求されます。
図4:この1551SNAPシリーズのケースのように、環境センシングのようなアプリケーション向けとして要素を取り込むように設計されたエンクロージャもあります。(画像提供:Hammond Manufacturing)
6.ハードウェア
エンクロージャのパネルとカバーは、対応する嵌合部に固定する必要があります。プラスチックとダイカストのエンクロージャには主に2つの方法があり、セルフタッピンネジを底部の素材に直接固定するか、または底部にあるスレッドインサート(ブッシング)に小ネジをはめ込みます。装置の耐用期間に開閉を繰り返すことが予想される場合は小ネジが望ましく、設置後そのまま放置しておくタイプのアプリケーションの場合はセルフタッピンネジで十分です。
図5:Hammond 1591シリーズの真鍮インサートなしのエコノミープラスチックエンクロージャ(左)と真鍮インサート付きの難燃性プラスチックエンクロージャ(右)。(画像提供:Hammond Manufacturing)
7.外観
美的感覚は確かに主観的なものです。しかし、ユーザーは製品の外観と雰囲気について少なくとも大まかな好みは持っているはずです。プラスチックエンクロージャは、さまざまな色の不透明や半透明の素材から選択できます。また、プラスチックエンクロージャは軽量で、多くはメンブレンキーパッドやディスプレイ用の凹みがある蓋が付いています。押し出し成形エンクロージャはスタイリッシュな陽極処理仕上げで、カラフルなプラスチックベゼルのようなアクセサリと組み合わせることで、ポップな外観になります。アルミダイカストエンクロージャは、さまざまな色に塗装でき、ギターのペダルのような高度にカスタマイズされた製品で好まれます。ユーザーの中には、頑丈で未塗装のダイカストエンクロージャがよいという人もいます。
図6:Hammond 1590シリーズの塗装された「ストンプボックス」のアルミダイカストエンクロージャ。(画像提供:Hammond Manufacturing)
8.製品およびサポートの可用性
エレクトロニクス/電気産業用の標準的なエンクロージャは、多くの専門メーカーによって、多種多様なサイズ、スタイル、タイプのものが製造されています。成型、押し出し、ダイカストのエンクロージャは一見単なる箱のように見えますが、実際には幅広い設計ノウハウの結晶であり、さまざまな用途や環境での使用に適した、機能の豊富なハウジングです。ディストリビュータは標準的なエンクロージャの在庫を多く確保しています。最近の傾向として、ディストリビュータはメーカーに倣って顧客に技術サポートを提供し、設計段階から顧客と協力してアプリケーションに最適なエンクロージャの選択を支援するようになっています。
9.ダウンロード可能な図面とサポート資料
高い評価を得ているエンクロージャのメーカーやディストリビュータは、技術情報を提供する総合的なライブラリを自社のウェブサイトに用意しています。ダウンロードできる標準的なリソースには、設計や改変の要件、技術的な詳細情報、主要な製品属性をサポートするためのPDFやCAD形式の寸法図面が含まれます。
図7:すべてのHammondエンクロージャの寸法図面をダウンロードできます。(画像提供:Hammond Manufacturing)
10.カスタム化
すべてのエンクロージャは、コネクタ用の穴を追加したり、ラベルやロゴを印刷したりするなど、何らかの加工を施さなければ使用できません。Hammondでは、少量の注文から社内でのマシニングと印刷サービスを提供しています。このタイプのエンクロージャでは、ユニークなカスタマイズを利用することができます。たとえば、メタルエンクロージャにスタンドオフのような圧入ハードウェアを取り付けたり、押し出しアルミエンクロージャの長さをカスタマイズしたり、プラスチックエンクロージャをカスタム塗料で成形したりできます。設計変更されたエンクロージャの詳細については、DigiKeyのカスタムエンクロージャのページをご覧ください。
図8:カラフルなベゼル、カットアウト、印刷によってカスタマイズされた、1455シリーズの押し出しアルミエンクロージャ。(画像提供:Hammond Manufacturing)
まとめ
ここで紹介したことは、どのプロジェクトにも応用できる万能のヒントではありません。しかし、これらを考慮することで、設計者は全体像を念頭に置いておくことができます。特定のエンクロージャの短期的および長期的な可用性を理解したり、次のプロジェクトに最適なボックスのサイズを決定したりできます。寸法や技術的な要件だけでなく、実現可能性や外観も考慮することで、試作から導入まで、すべてのプロジェクトを最大限スムーズに進めることができるでしょう。
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