APEC 2023
APEC(Applied Power Electronics Conference and Exposition)がフロリダ州オーランドで開催されました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で数年間は参加者が少なかったものの、今年(2023年)から本格的な復活となりました。天候にも恵まれ、会場は明るく活気にあふれていました。
今回の展示会では、「エネルギーの持続可能性につながる電力の効率的な利用」が最も重要なメッセージとなりました。SiCやGaNなど、効率向上を実現する技術は当たり前のものになっていました。展示フロアでは、産業用オートメーション、データセンター、RFアプリケーション、USB-C充電器などの効率的な電源が大々的に展示されており、セミナーでは、輸送用トラクションインバータのアプリケーションが大きく取り上げられていました。
テクニカルセッションや今後発売される製品の中で、副次的な話題として出てきたのが、テレメトリおよび通信プロトコルであるPMBusでした。PMBusには約15年の歴史がありますが、現在も改良が続けられています。PMBus 1.5には、セキュリティと認証の規格が盛り込まれています。Analog DevicesとTexas Instrumentsの評価ボードにはPMBusが搭載されており、1mVレベルの精密な分解能を示すことができます。
Analog Devicesは、AD9625のアップグレード版など、さまざまな製品を展示していました。新旧の基板サイズの差を見るだけでも、効率化やコスト削減を実現するまでの物語が目に浮かびます。AD9625は、RF電力と低ノイズ出力に焦点を当てた製品です。これは、信号チェーンで高分解能と低ノイズが要求されるトランシーバ、ADC、DACに使用できる電源です。従来、このような段階でのノイズ低減は、LCフィルタリングや低ノイズLDOでノイズレベルを下げることによって実現していました。Silent Switcher技術を実装した新バージョンの基板では、余分なフィルタリングとディスクリート部品が取り除かれています。こうした改良の結果、電力損失を30%程度削減することができました。
EPCは、第6世代GaNとシリコンを比較して、その優位性をアピールしていました。デモでは、MOSFETのFDMS2D5N08Cや評価ボードのEPC90153を使用して解説したり、同社のほとんど同じ2つのハーフブリッジ開発ボードを動作させたりしていました。また、500kHzで24V~48Vの間で実行しており、この条件におけるGaNベースのソリューションはRDS(on)(オン抵抗)が高いにもかかわらず、20度低い温度を実現していました。さらに、GaNベースのソリューションでは、チップサイズが非常に小さくなっています。
パワーエレクトロニクスの小型化が進み、ファクトリオートメーション、発電、データセンター、ワイヤレス、民生用電子機器などにおいて効率化が引き続き重視されていることは、興味深くて心強いものです。とても素晴らしい展示会でした。DigiKeyチームの一員として参加できたことに感謝します。

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