小型産業用制御パネルにおけるEMI対策と安全性の課題への対応
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2025-12-02
産業用ネットワークの制御パネル設計者は、ますますコンパクト化する設置環境において、電磁妨害(EMI)の管理と、作業員の安全を確保する上で重大な課題に直面しています。そのためには、取り付け面積の縮小と運用上のニーズ、規制要件とのバランスをとるため、慎重な計画立案と部品選定が求められます。
安全性は重要な要求事項です。しかしながら、制御パネルに対する安全要件は、産業用ネットワーク内の場所によって異なる場合があります。危険な環境では、より安全な場所に比べて、より厳しい安全性が必要となります。そのため、ネットワーク設計者はさまざまな安全ソリューションを導入する必要があります。
同様に、耐環境性とEMI抑制のためには、個々の設置環境の特定のニーズを考慮し、機械的特性、浸入防止特性、気候/化学的特性、電磁気的特性(M.I.C.E.)を評価した定格に基づいてデバイスを指定し、選択する必要があります。これには、ダクトなどの制御パネル配線ソリューションも含まれます。これらのソリューションは、ノイズ放射から敏感な配線を保護し、最大20dBのノイズ低減と90%のノイズ電圧低減を実現します。
また、設置環境によって必要な侵入保護等級(IP)定格も異なります。小型のLEDライトは、一般的な照明として、また機械や制御パネルの状態を作業員が一目で明確に把握できるようにするため、頻繁に採用されています。
本記事では、設計者が制御パネル構成を最適化し、パネルサイズの最小化、性能を損なうことなく統合を簡素化するために活用できる、PanduitおよびBanner Engineeringの各種制御パネル製品(制御パネル内外向け)について説明します。
ネットワーク設計者は、さまざまな安全対策ソリューションが求められます。Banner EngineeringのSC10およびXS26-2セーフティコントローラは、プログラム可能な産業システムの安全機能をサポートすることで、ISO 13849-1およびIEC 61508の要件を満たしています。これらは、異なるタイプのアプリケーション向けに最適化されています。
SC10とXS26-2のセーフティコントローラの主な相違点としては、拡張性、I/O数、および通信オプションが挙げられます。SC10は小型でコスト効率に優れたデバイスであり、小規模なアプリケーションに最適です。一方、XS26-2はより複雑な機械や作業者保護のための拡張可能なシステムです。
小型のSC10シリーズ セーフティコントローラは、限られたスペースにおいて2つ以上のセーフティリレーモジュールを置き換えるように設計されています。小型ではありますが、その能力は強力です。In-Series Diagnostics(インシリーズ診断)(ISD)により、最大70台の接続された安全デバイスについて、詳細な状態と性能データを提供します。データは、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、その他類似デバイスからアクセス可能であり、クラウドへの送信も可能です。
SC10コントローラは柔軟性が高く、幅広い安全デバイスをサポートします。アイコンベースのプログラミングインターフェースとパーソナルコンピュータ(PC)を使用したドラッグアンドドロップ設定によりセットアップと継続的な管理が迅速に行えます。また、外部メモリカードを使用すれば、PCなしで設定およびプログラミングを行うことも可能です。
豊富なI/Oを備えてており、それぞれ6A定格のセーフティリレー出力2系統、独立制御可能なノーマリオープン(N.O.)接点3組が含まれています。10個の入力のうち、4つは非安全(汎用)出力として設定可能です。BannerのAutomatic Terminal Optimization(自動端子最適化)(ATO)機能により、標準入力を非安全(汎用)出力へ、またはその逆に変換でき、利用可能な入力数を10から14に増やすことが可能です。
コネクティビティもSC10コントローラの重要な強みです。産業用Ethernetインターフェースは、256個の仮想非安全状態出力と80個の仮想非安全入力をサポートします。これらのセーフティコントローラは、Ethernet/IP、PROFINET、Modbus/TCPプロトコルを提供し、さまざまな機器への接続を可能にします。
図1:このSC10-2ROEセーフティコントローラは、10個の構成可能な安全入力、2つの6A、3チャンネルセーフティリレー出力を備え、リアルタイムの状態およびエラーデータのISDをサポートします。(画像提供:DigiKey)
より多くのI/Oを必要とする複雑な設置においては、設計者はBannerの拡張可能なセーフティコントローラであるSX26-2シリーズをご利用いただけます。本シリーズはSC10シリーズと同様の基本機能を多数備え、さらにEtherCAT、EtherNet/IP、Modbus/TCP、プログラマブルコントローラ通信コマンド(PCCC)、PROFINETなどの幅広い産業用Ethernet通信プロトコルをサポートしています。
基本となるSX26-2コントローラは、最大8つのI/O拡張モジュールと接続可能で、機械や自動化の要件が拡大するにつれ、より大規模で複雑なアプリケーションへの対応を可能にします。PCとの接続をサポートするだけでなく、これらのコントローラには、I/O状態をリアルタイムで監視するための統合ディスプレイが搭載されており、複雑な制御ネットワークにおいて極めて重要な機能となります。
制御キャビネットへのアクセス管理
産業用制御ネットワークが稼動した後、制御キャビネット内のデバイスにアクセスする必要が生じる場合があります。Panduitは、産業用ネットワーク設計者向けに、2つのオプションを用意しています。1つはキャビネット内部のデバイスへの外部接続をサポートするデータアクセスポートで、もう1つはキャビネットを開けて内部のデバイスに直接アクセスする前に、無電圧検証テスト(図2)のプロセスを自動化および簡素化するVeriSafe無電圧テスタ(AVTおよびAVT2)デバイスです。
図2:Panduit VeriSafe ATV2は、電圧テスタが不要なため、クラス1/ディビジョン2の危険区域に適しています。(画像提供:DigiKey)
データアクセスポートにより、サービス技術者は制御キャビネット内部のデバイスに外部から接続が可能となります。柔軟なモジュラー設計により、RJ45ジャック、回路ブレーカ、USBポート、その他のコネクタをいつでも交換することができます。UL、CSA、NEMAなど数多くの規格に適合し、IEC 60529で定義されたIP65に準拠しています。
VeriSafe無電圧テスタは、制御キャビネット内部の機器を保守する必要がある際に、技術者の安全を確保します。照光式押ボタンにより、キャビネットを開けても安全であることを視覚的に確認できます。本システムは、ISA 12.12.01およびCSA C22.2 No.213規格、ならびにIEC 61508に基づくSIL 3の信頼性要件を満たしています。
ネットワークにおけるM.I.C.E.とEMI
Panduitは、TIA-1005-A M.I.C.E.ガイドラインの要件を満たす産業用ネットワークコンポーネントを幅広く提供しており、さまざまな設置場所に対応したIP等級も取り揃えています。PanduitのM.I.C.E.規格対応製品の例としては、M12 Cat 5eおよびCat 6Aケーブルアセンブリ、さまざまなEthernet、光ファイバ、電源、冷却オプションを備えた事前構成済みのネットワークゾーンエンクロージャ、最大定格100ワット対応の産業用無停電電源装置、モジュラーコネクタ、プラグおよびアダプタなどが挙げられます。
EMI対策のための制御パネル配線ソリューションは、産業用制御キャビネットの設計および設置において不可欠な要素です。Panduitでは、以下のような多様な配線ダクトおよびシールドソリューションを提供しています。
- Panduct PanelMax DINレール配線ダクトは、標準的な35mmまたは15mmレールに対応しています。
- Panduct PanelMaxコーナー配線ダクトは、エンクロージャ内の垂直コーナーの未使用スペースを活用し、配線スペース全体の占有面積を削減します。
- Panduct PanelMaxシールド配線ダクトは、さまざまな配線ニーズに対応するため、2インチ、3インチ、4インチの高さを用意しています。ヒンジ付きカバーは、メンテナンスやアップグレード時にも取り外さず使用できます。これによりカバーの紛失を防ぎ、配線作業を補助するレッジとして機能します。モデルDRD22LG6の高さは2インチ(図3)です。
- Panduct PanelMaxノイズシールドは、高さ2インチのモデルSD2EMIと同様に、単独で使用することも、配線ダクト内に取り付けることも可能です。最大20dBのノイズ低減と90%のノイズ電圧低減を実現します(最大6インチのエアスペース)。
図3:Panduct PanelMaxシールド配線ダクトは、敏感なアプリケーション向けに効果的なEMIシールドを提供します。(画像提供:DigiKey)
内部温度および湿度の監視
制御キャビネットや機械の狭い内部空間の温度と湿度の状態を監視することは、困難な場合があります。しかしながら、高い信頼性を維持するためには不可欠です。Banner Engineeringの小型のS15S IO-Linkセンサは、このニーズに応えるだけでなく、温度および湿度に加え露点も監視することで、さらに一歩進んだ機能を提供します。
S15Sは、温度と湿度センサからの情報を用いて露点を算出します。小型設計とIO-Linkコネクティビティを備えているため、混雑した制御キャビネットや機械内部への取り付けに適しています。
ユーザーは、センサから送られる温度、湿度、露点について、特定のデータポイントを選択することが可能です。これらのデバイスパラメータは、異なる製品や動作条件に対応するために、その場で調整することができます。統合された診断機能には、デバイスの状態、警告、エラーが含まれます。
照明と表示
照明は、産業用機械の設計において軽視されがちであり、したがって十分に活用されていない側面があります。LEDを用いて適切に組み込めば、タスク照明、マルチカラー性能インジケータ、警告を提供することができます。
単一の多目的照明デバイスで、スペースを節約し、視覚的なネットワーク管理を改善することができます。一部のマルチカラーLED照明ユニットは柔軟性があり、曲面への取り付けが可能です。Bannerは数千種類の照明オプションを提供しており、設計者が機械の外観と視覚的性能をカスタマイズし、強化する際に大きな自由度を与えます。
数多くのオプションには、マルチカラータワーライト、システム状態を異なる色で表示する統合型押ボタンスイッチ付き照明、重要な性能パラメータを数値化する統合型セグメントディスプレイ付き照明などがあります。その他のオプションとしては、白色タスク照明としての機能に加え、ステータス表示用のマルチカラーを備えたWLS27シリーズLEDバータスクライトや、曲面に取り付け可能なWLF12 Proフレキシブルマルチカラーストリップライトなどがあります(図4)。
図4:Banner Engineeringが提供する数千種類の産業用照明、インジケータソリューションの一例です。(画像提供:Banner Engineering)
まとめ
Banner EngineeringとPanduitの包括的な製品を組み合わせることで、産業用ネットワークの設計者は、小型で高性能な制御パネル、産業用ネットワーク、および機械を開発することが可能となります。作業員や機械の安全性、EMI制御、視覚的ネットワーク管理、環境監視、その他の機能のいずれが必要であっても、産業用ネットワークの設計者はDigiKeyでBanner EngineeringおよびPanduitのソリューションをご利用いただけます。
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