なぜ一部の「ワイヤレス」家電にコードが必要なのか
ホームシアタを設計・構築したとき、プロジェクタとサウンドシステム間のHDMIの非互換性など、装置の互換性で多くの問題に直面するとは想像もできませんでした。
次に解決しなければならなかった問題は、ワイヤレスサウンドシステムの適切な配線でした。なぜ私のワイヤレスサウンドシステムは有線だったのでしょうか。ホームシアタユーザーと装置開発者のために、私が学んだことを以下に記します。
ホームシアタシステムの計画倒れ
私は音と映像のクオリティを維持しながら、できるだけ手頃な価格で、シンプルでワイヤレスなシアタセットアップを実現したいと思っていました。
入力とサウンドの遅延を減らすため、ゲーミングプロジェクタを選びました。サウンドシステムには、Sonos Arcを選びました。Sonosサブウーファと2台のSonos Era 300を組み合わせれば、ワイヤレスでDolby TrueHDとDolby Atmosによる7.1.4サラウンドを模倣できるからです。従来のホームシアタシステムでは、11台のスピーカと1台のサブウーファをホームシアタレシーバに物理的に配線することでしか、このようなことはできませんでした。
Dolby TrueHDは、ホームシアタシステムで利用可能な最高品質のサウンドを提供し、Dolby Atmosは、スクリーン上の音源が視聴者の周囲で動く感じをシミュレートします。頭上を飛行機が飛ぶと、片側から聞こえてきて、ゆっくりと上空を飛び始め、最後には背後から反対側へと移り変わります。非常に没入的な体験ができます。
ワイヤレスにしたのは、予算を抑えつつ、没入感を高め、シンプルにするためでした。しかし、Sonos Arcがワイヤレスなのは、ある点までだということが判明しました。他のSonos装置とはワイヤレスで通信できますが、プロジェクタやA/Vソースと接続するには、HDMI eARCのワイヤを部屋中に張り巡らせる必要がありました。
装置と通信プロトコルでワイヤレス設計がいかに制限されるか
物理的な接続が必要だと知った後、私には3つの選択肢がありました。
- Sonos ArcとAVソースを接続するための長いケーブルを探す。
- その長いケーブルを、HDMI eARCに物理的に接続できるワイヤレス送受信機で代用する。
- ワイヤレスの夢を捨て、古典的なホームシアタレシーバのセットアップを選ぶ(妻が最も嫌がる方法です)。
解決策を調べているうちに、私は興味深いことに出くわしました。多くの家庭用オーディオ装置には、同じような「ある点まではワイヤレス」というセットアップがあり、HDMIコードをトランスミッタとレシーバに置き換えると、音質が大幅に低下する可能性があったのです。そのため、ホームシアタに対応する家庭用装置は、ワイヤレスデータ転送の制限を回避する必要があります。
それを検証するために、私は数字を調べてみました。
- IEEE標準化団体によると、Wi-Fiの最大帯域幅は以下の通りです。
- Bluetooth SIGによると、現在の最大帯域幅は以下の通りです。
- Bluetooth Low Energyの場合2Mbps
- Bluetooth Classicの場合3Mbps
- Airplayの帯域幅を特定するのは困難です。しかし、Appleのディスカッションフォーラムや愛好家の中にはこう言う人もいます。
- Airplay 1の場合最大25Mbps
- Airplay 2の場合最大54Mbps
- Chromecastのビットレートもなかなか見つかりませんでした。しかし、Googleが2022年7月18日に発表したリリースノートには、Nearby Connections SDK(アプリが近くのデバイスと接続し、データを交換できるようにするピアツーピアネットワーキングAPI)の接続品質は次のように定義されています。
- 6~60Mbpsなら良好
- 200~60KbpsならOK
- 5Kbps以下の場合は不良
では、このようなデータ転送の制限は、オーディオやビデオ信号のビットレートと比較してどうなのでしょうか。
Dolbyのウェブサイトによると、データがUltra HD Blu-rayディスクにローカルに保存されている場合、そのDolby TrueHDとDolby Atmosオーディオ信号は最大18Mbpsで動作します。しかし、映画をストリーミングする場合、音声信号は通常Dolby Digital Plusに圧縮されます。この信号にDolby Atomosを加えると、最大1024kbpsに達します。
一方、PCMagによると、Ultra HD Blu-rayディスクのビデオデータは、最大128Mbpsのビットレートで動作します。ストリーミングサービスやケーブル、衛星放送は、このデータも圧縮します。たとえば、Netflix Tech Blogによると、このサービスの最大ビットレートは16Mbpsです。Googleのサポートによれば、YouTubeは最大85Mbpsで4Kビデオを提供し、これを圧倒しています。対応できる場合、YouTubeは驚異的な300Mbpsで8Kストリーミングさえ提供しています。ケーブルテレビや衛星放送のビットレートについては、NetflixとYouTubeの4Kサービスの中間くらいになると予想されます。
つまり、最悪のシナリオでは、4Kシアタシステムの場合、Ultra HD Blu-rayで映画を見ているときの総ビットレートは146Mbps、ストリーミングの場合は約86Mbpsということになります。Wi-Fiを除いて、無線通信プロトコルはストリーミングのビットレートに追いつくのがやっとです。また、Ultra HD Blu-rayからのA/V信号にまったく対応できません。
この点については、Sonos ARCがWi-Fiに接続できることを付け加えておく価値があります。しかし、プロジェクタやA/Vソースに接続できないのは、ラグを防ぐための設計上の選択でしょう。
HDMIはこれだけのデータ転送に対応できるのか
HDMI Licensing Administrationによれば、可能です。たとえば、1080pと4K@30Hz用に設計されたハイスピードHDMIケーブルは、最大Ultra HD Blu-ray信号の70倍である10.2Gbpsでデータを転送することができます。
完成したホームシアタ。(画像提供:ショーン・ワッサーマン氏)
明らかに、私は自分の問題への答えを見つけました。結局、Sonos Arcとプロジェクタ、そしてさまざまなA/Vソースを接続するために、30フィートのHDMIケーブルを部屋中に引き回しました。壁に沿ってワイヤをカバーで隠した後、私は作業を切り上げ、ポップコーンを温めました。

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