位置エンコーダとしてのBLDCホールセンサの使用 – パート2
DigilentのAnalog Discovery 2アナライザを使用したBLDCホールセンサ出力の視覚化
以下は、ホールセンサの論理出力を解釈して位置、方向、速度を特定するのを支援するための情報です。論理出力はBLDCモータのモータ転流にも使用できますが、今回は説明を省略します。
概要
ホール効果センサの出力の視覚化は、プロジェクトの開発およびプログラミング中に信号を理解および処理するのに役立ちます。データの取得には、電源、ロジックアナライザ、オシロスコープ、および数個のインジケータとスイッチが必要です。高コスト装置の適切な代替品として、コンピュータベースのシステムがしばしば使用されます。
DigilentのAnalog Discovery 2(AD2)
DigilentのAD2コンピュータベースアナライザ(1286-1117-ND)は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、オシロスコープ、ファンクションジェネレータ、電源、メータ、ロガー、LEDインジケータ、およびスイッチなど実際に使われているデバイスをエミュレートします。ユーザーは、取り外し可能なワイヤリードヘッダによりプロジェクトを電気的に構成し、全体のGUI構成および設定を節約できます。次のセットアップは、「エンコーダとしてのBLDCホールセンサ」プロジェクトのこの部分に特有のものであり、センサ出力を視覚化するための4つの方法が含まれます。
センサ出力およびAD2入力/出力のブレッドボーディング
ブレッドボード(438-1045-NDまたは類似品)を使用し、フックループファスナー(3M162604-ND)によりAD2モジュールをブレッドボードの左端に取り付けます。提供されるUSBケーブルを使用してAD2をコンピュータに接続してから、外部5V、2A電源(別売、102-3425-NDまたは類似品)をAD2に取り付けます。直角0.100ピッチピンヘッダ(S1121EC-10-ND)のセクションとAD2ワイヤリードチャート(下記参照)を使用し、2つの正スコープチャンネルリードから始めてAD2ワイヤリードをブレッドボードに接続します。AD2 V+電源リードを下部電源レールの正(+)側に接続します。すべてのAD2グランドリードと負のスコープリードを下部電源レールの負側に接続します。ソリッドジャンパワイヤ(BKWK-3-ND)を使用して、他のすべての基板接続を行い、上部および下部電源レールの負および正側をそれぞれ結合させます(図1)。
チャート1: AD2ワイヤリードチャート(画像提供: Digilent, Inc.)
図1(画像提供: Digi-Key Electronics)
注:AD2のスコープは、3つのセンサ出力の検査用の2チャンネルに制限されています。テスト用にスコープとセンサを任意に組み合わせて接続することができます。
センサ出力はアクティブローです。つまり、トリガされると、出力は負の電源レールに接続されます。トリガされない場合、出力はフローティングすると言われています。これは、正でも負でもありません。トリガされない場合は、センサ出力を正の電源レールにプルアップして、AD2スコープに矩形波として表示される2つの所定の論理状態を確立する必要があります。3つの4KΩ~8KΩ抵抗器をブレッドボードに挿入して、センサ出力のプルアップとして使用します(図2)。
図2(画像提供: Digi-Key Electronics)
ソフトウェア
WaveFormsは、AD2の実装に必要とされるダウンロード可能なソフトウェアです。ダウンロードおよびインストールしたら、[Workspace](ワークスペース)ドロップダウンを選択し、リストから[New](新規)を選択します。新しいワークスペースが開き、構成できるようになります(図3)。
図3(画像提供: Digi-Key Electronics)
注: 構成後に、保存オプションが利用可能になります。
電源: ブレッドボードの電源レールは、センサの通電に5Vが必要です。WaveFormsのウェルカムページにある[Supplies](電源)タブを選択します(図4)。ドック/ドック解除アイコンを選択して、電源ダイアログボックスをフローティングさせます。ボックスが表示スペースをなるべく占有しないように大きさを変更します。(図5)。
図4(画像提供: Digi-Key Electronics)
図5(画像提供: Digi-Key Electronics)
正の電源(V+)電圧ドロップダウンセレクタから5Vを選択して、電源を構成します。ボタンを切り替えることにより、負の電源(V-)を[Off](オフ)にしてください。ボタン表記が[Off](オフ)に切り替わり、赤い「X」が表示されます。[Master Enable](マスターイネーブル)を[On](オン)に切り替えることにより、出力を有効にします(図6)。
図6(画像提供: Digi-Key Electronics)
オシロスコープ: スコープツールにより、ユーザーがセンサ出力波形を視覚的に調べたり、測定したりできるようになります。WaveFormsのウェルカムページにある[Scope](スコープ)タブを選択します(図7)。ドック/ドック解除アイコンを選択して、スコープダイアログボックスをフローティングさせます。ボックスが表示スペースをなるべく占有しないように大きさを変更します。
図7(画像提供: Digi-Key Electronics)
スコープは多くの方法で構成でき、ユーザーが自由に選択可能な幅広い機能を備えています。このプロジェクトでは、WaveFormsのスコープウィンドウのダイアログボックスと構成ドロップダウンを図8の設定と一致させます。電源ウィンドウの電源[Master Enable](マスターイネーブル)がオンであることを確認し、スコープウィンドウの[Scan](スキャン)ボタンを選択します。手でBLDCモータを回して、スコープウィンドウにセンサの矩形波出力が表示されることを確認します(図9)。
図8(画像提供: Digi-Key Electronics)
図9(画像提供: Digi-Key Electronics)
モータを回す速度を速くしたり遅くしたりして、矩形波の周波数の変化、信号間のオフセットが一定のままであることに注目します。ヘッダピンのワイヤリードを交換して、残りのセンサ出力を観察するか、波の異なる組み合わせの間のオフセットを観察します。スコープ機能により、ユーザーは波の周波数および振幅を確認したり、リアルタイムに測定したりできます。
ここまで作業を進めたら、ワークスペースを保存しましょう。WaveFormsメニューから[Workspace](ワークスペース)を選択して、保存オプションを表示します。
ロジックアナライザ: 信号の関係を観察し、矩形波間でハイ/ローロジック(1および0)を視覚化するには、ロジックアナライザを使う方法もあります。
最初の手順として、アナライザ機能をサポートするブレッドボードに複数の回路パスおよびリードを追加します。 3ポジションヘッダおよびジャンパワイヤをブレッドボードに追加し、デジタル入力/出力ワイヤ15、14、13をヘッダに接続します。ソリッドジャンパワイヤを追加して、センサ出力をヘッダに接続します。図10および前述のAD2ワイヤリードチャートを参照してください。
図10(画像提供: Digi-Key Electronics)
WaveFormsのウェルカムページにある左のサイドバー機能リストから[Logic Analyzer](ロジックアナライザ)を選択します。次に、緑色の「+」アイコンを選択して、リストからデジタル入力/出力チャンネルを追加します。チャンネル15、14、13をアナライザに追加します。ドック/ドック解除アイコンを選択して、ロジックアナライザダイアログボックスをフローティングさせます。ボックスが表示スペースをなるべく占有しないように大きさを変更します。
アナライザは多くの方法で構成でき、ユーザーが自由に選択可能な幅広い機能を備えています。このプロジェクトでは、WaveFormsのロジックアナライザウィンドウのダイアログボックスと構成ドロップダウンを図11の設定と一致させます。
図11(画像提供: Digi-Key Electronics)
アナライザメニューで[View](表示)を選択します。次に、[Data](データ)を選択してデータウィンドウをオンにします。コンピュータモニタの空いたスペースにウィンドウをドラッグします。電源ウィンドウの電源[Master Enable](マスターイネーブル)がオンであることを確認し、ロジックアナライザウィンドウの[Scan](スキャン)ボタンを選択します。手でBLDCモータを回して、ロジックアナライザウィンドウにセンサの矩形波出力が表示され、データウィンドウに2進値が表示されることを確認します(図12)。
図12(画像提供: Digi-Key Electronics)
データウィンドウの2進値は、このチュートリアルのパート1で特定した値と一致します(下記の関連リソースを参照)。ホイールが1度に1ステップずつ回転する場合、矩形波の立ち上がりまたは立ち下がりを観察できます。また、1度に1つずつバイナリの組み合わせ(001、101、100、110、010、011)を観察できます。
静的I/O: 追加表示として、シミュレートされたLEDをセンサ出力デジタルチャンネルに割り当てることができます。
WaveFormsのウェルカムページにある左のサイドバー機能リストから[Static I/O](静的I/O)を選択します。ドック/ドック解除アイコンを選択して、静的I/Oダイアログボックスをフローティングさせます。ボックスが表示スペースをなるべく占有しないように大きさを変更します。
LED表示は各チャンネルにデフォルトで設定されているため、構成は必要ありません。手でBLDCモータを回して、ロジックアナライザが矩形波の立ち上がりおよび立ち下がりエッジを検出した場合にLEDがオンとオフに切り替わることを観察します。LEDステータスがデータウィンドウのバイナリの組み合わせを反映することに注意してください(図13)。
図13(画像提供: Digi-Key Electronics)
静的I/Oは、現実の回路を制御する論理スイッチとしても構成できます。この例のオプションとして、DCドライブモータを使用し、摩擦車とテストスタンドを使用してBLDCモータを回転させることができます。BLDCモータを手動で動作させる最も簡単な方法に必要なのは、外部電源とソリッドステートリレー(SSR、CC1126-ND)だけです(図14)。SSRの制御側から伸びる負のリードをプロジェクトブレッドボードの負の電源レールの1つに接続します。次に、SSRからの正のリードをAD2デジタル7 I/Oリードに接続します。
図14(画像提供: Digi-Key Electronics)
I/O番号の隣にあるドロップダウンセレクタを使用して、静的I/OウィンドウでDIO 7をプッシュプルスイッチとして構成します。電源を最大モータ入力電圧以下に設定し、AD2スイッチをトグルしてモータをオン/オフにします。外部電源の電圧ダイヤルを使用して、モータの速度を設定します。静的I/Oチャンネルに制御されたSSRを実装することにより、ユーザーはブレッドボードおよびAD2の電源から分離された無数の周辺機器のオン/オフをトグルすることができます。
まとめ
DiligentのAnalog Discovery 2はハイエンドなスタンドアロン実験装置のすべての機能を持ち合わせているわけではありませんが、数多くの電子デバイスやセンサによって生成される信号の視覚化を支援できます。視覚化ツールがなかったなら、実験者は回路内のセンスおよび制御信号に何が起きているか、また回路がそれらの信号にどのように反応しているかを想像することしかできません。
関連リソース:
位置エンコーダとしてのBLDCホールセンサの使用
パート1 – ホール効果センサを使用したBLDCハブモータの分析および動作
パート3 – Teensy 3.5マイクロコントローラを使用した位置、方向、および距離の計算
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