Toshibaの次世代トレンチゲートMOSFETが効率と電力密度を向上
より高い効率、より小型設計、そして信頼性の高いスイッチング特性を備えたアプリケーションに電源を供給するMOSFETを選択する際、実際の性能とデータシートの仕様が必ずしも一致するとは限りません。設計計算上は適合しているように見えるMOSFETでも、スイッチング損失、ダイオード逆回復特性、熱的制約などの要因により、設計完了後に性能が低下する場合があります。
適切なMOSFETの選択は、製品が低温かつ効率的に動作するか、あるいは過熱やエネルギーの浪費を招くかの分かれ目となります。成功するアプリケーションにおいて重要な指標には、以下のようなものがあります。
- オン抵抗(RDS(on))とは、MOSFETが完全に導通した状態における抵抗値のことです。RDS(on)が低いほど、熱として浪費されるエネルギーが少なくなり、デバイスが電流を流す効率に直接影響します。
- ゲート総電荷量(Qg)は、MOSFETをオン/オフするために必要な電荷量を定義します。Qgが低いほど、より高速でエネルギー効率の高いスイッチングが可能となり、ゲート駆動回路の負荷を軽減します。
- 逆回復電荷量(Qrr)は、MOSFETの内部ダイオードが導通状態から非導通状態に切り替わる際に放出される電荷の総量を指します。Qrrが低いほど、高速スイッチング時の電圧スパイクを抑制し、より静かで信頼性の高い動作を実現します。
- ボディダイオードの逆回復特性は、MOSFETの内蔵ダイオードが導通を停止し、次のサイクルに向けてリセットする効率を定義します。迅速かつクリーンな逆回復は、電気ノイズと熱を低減します。
効率に対する要求は、多くの既存のパワー段の能力を上回るペースで高まっています。スイッチトモード電源(SMPS)、産業用オートメーション、データセンターインフラ、車載用エレクトロ二クスなどのアプリケーションにおける高効率化と高電力密度の追求は、従来のMOSFET技術の限界に迫っています。
トレンチゲートMOSFETの利点
ToshibaのU-MOS11-H MOSFETは、トレンチゲート設計により、大幅に低減されたRDS(on)、最小化されたゲート電荷、および改善されたダイオード逆回復特性を実現するという課題に対応しています。
数十年にわたり、MOSFETは水平レイアウトで製造されてきました、性能向上には一般的に、より大型の部品を選択する必要がありました。トレンチゲートMOSFETは、平坦な表面ではなく、シリコン内の垂直な「トレンチ」を利用してゲート電極を形成します。この技術により、電流はシリコンを横方向に流れるのではなく、垂直方向に流れます。ゲートはチャンネルをより効果的に囲むため、電流を流すために必要なシリコンの量が減少し、特定のダイサイズにおけるRDS(on) が低減されます。
トレンチゲートMOSFETは、Qrrを大幅に低減し、高速スイッチング時に発生する可能性のある大きな電圧スパイクを抑制します。これにより、高効率電源、DC/DCコンバータ、車載用または産業用パワー段に最適です。
新製品U-MOS11-H TPH2R70AR5,LQ(図1)は、100V定格のNチャンネルMOSFETで、わずか2.7mΩ(10VGS)という超低RDS(on)を実現しています。これは、前世代のU-MOSX-Hファミリと比較して約8%のRDS(on)低減となり、高負荷時における発熱の低減と導通効率の向上を実現しています。
図1:東芝のTPH2R70AR5,LQは、次世代トレンチゲートMOSFETであり、低いRDS(on)、最小化されたゲート電荷、および改善されたダイオード逆回復特性を備えています。(画像提供:Toshiba)
新世代のQrrは、同等の前世代デバイスと比較して約38%低減されており、スイッチング時の電圧スパイクやEMIを低減します。ゲート総電荷量は約37%低減され、ゲートドライバからのエネルギー消費を抑えながら、より高速でクリーンなスイッチングを実現します。
さらに、このMOSFETは、効率的な電源設計において重要なその他の主要指標も改善しています。RDS(on) × Qgは、オン抵抗とゲート電荷を組み合わせた、導通損失とスイッチング損失の総合的なトレードオフを示します。RDS(on) × Qrrは、MOSFETのボディダイオードについて同様の指標であり、ダイオード逆回復時に発生するストレス、熱、電圧スパイクの程度を反映しています。いずれの指標においても、U-MOS11-Hは前世代と比較して40%以上の改善を実現し、パッケージ面積を増やすことなく、技術者はさらなる熱的余裕とクリーンな動作を得ることができます。
小型および軽量設計の実現
サーバや5Gインフラなどのアプリケーションにおいて、小型で効率的なDC/DCコンバータやSMPSの需要が高まる中、U-MOS-11-HのようなMOSFETは、高電力密度でより小型、軽量な設計を可能にするために不可欠です。導通損失とスイッチング損失の低減は、エネルギー効率の向上、冷却要件の削減、そしてシステム全体のコストと設計の複雑さの低減につながります。
U-MOS-11Hは、標準的な電源プロジェクト向けの信頼性が高く、詳細なドキュメントが整備されたMOSFETのビルディングブロックとして、複雑なゲートドライバや特別な要件を必要とせず、容易に利用することが可能です。効率性、信頼性、そして容易な実装の間で効果的なバランスを実現しています。
高度なアプリケーション向けに、これらの最新MOSFETにより、電力密度と熱効率の限界を押し広げる機会が提供されます。小型SMPS、高密度サーバやワークステーション用電源、効率的なバッテリ駆動システムやモータ駆動システムなど、確立されたシリコンMOSFETの枠組み内で設計をサポートします。
戦略的観点から、U-MOS11-Hは、信頼性の高いシリコンMOSFET技術の確かな強みと、最新の効率性およびスイッチング性能の向上を融合し、技術者に高性能ソリューションを提供します。これにより最先端のパワー段ソリューションと並んで、非常に魅力的な選択肢となっています。
まとめ
ToshibaのU-MOS11-H MOSFETは、信頼性、幅広い入手可能性、予測可能な性能といったシリコンMOSFETの成熟したコスト効率の利点を、最新の性能向上と組み合わせることで、設計者が今日の要求の厳しいアプリケーション向けに、より小型で効率的、かつ信頼性の高いパワーエレクトロニクスを創出することを可能にします。
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