デジタルアイソレータを使用したテスト機器の保護
試作中の回路が、不幸なことに誤作動したことが何度かありました。このようなことは割とあり勝ちですが、高価なテスト機器を回路に接続したところ、それらの機器が燃えてしまったことが何度かあります!いうまでもなく、実績のない回路からツールとテスト機器を保護する必要があります。そのためにできる優れた方法は、絶縁することです。
機器の破損という問題に初めて遭遇したときは、監視しているシステムにひどい問題が発生していて、回路からUSB/USARTコンバータを経由してコンピュータのUSBポートまでにかかる電圧、または流れる電流が大きすぎました。コンピュータが破損するという大問題に立ち会えば、誰でも立ち止まって「何をしていればコンピュータを保護できただろうか?」と自問せざるを得ません。
USARTの場合は、解決策は極めてシンプルで、しかも非常に安価です。USBブリッジモジュール「DEV-09873」と非常によく似たSparkFunのブレイクアウトボードを使用していたので、必要なのは組み込みシステムの送受信回線とUSBブリッジの送受信回線の間にSTMicroelectronicsのSTISO621WTRデュアルチャンネルデジタルアイソレータを配置することだけでした(図1)。いくつかのコネクタとプロトタイプボードを含めて文字どおり20ドル未満の投資と10分間のはんだ付けを行うだけで、数千ドルの機器が破損せずに済んだはずです。
図1:STMicroelectronicsのSTISO621WTRデュアルチャネルデジタルアイソレータを使用していれば、2つの単方向通信チャンネルが保護されるので、私の機器も救うことができたでしょう。(画像提供:STMicroelectronics)
STISO621WTRについて興味深いのは、それがUSARTの保護に役立つ構成であらかじめ設定されていることです。図1は、レイアウトや配線の問題を緩和するために、2つのチャネルが互いに反対方向の通信用にどのように設定されているかを示しています。本アイソレータは、6キロボルト(kV)のガルバニック絶縁と、50kV/マイクロ秒(kV/µs)を超えるコモンモード過渡保護を提供します。本アイソレータは、最大100メガビット/秒(Mbits/s)のデータレートも処理できますので、高速アプリケーションでも使用できます。
別の絶縁を使用できることに私が何度も気づくようになったもう1つの分野は、ロジックアナライザの入力です。ロジックアナライザは数百ドルから数千ドルの費用がかかる可能性があり、しかも入力を十分に絶縁することができません。頭が朦朧としていたある朝、10ボルトまでしか上がらない回路入力保護を間違って12ボルト信号に接続したため、10年以上持っていたロジックアナライザを残念ながら壊してしまったことがあります。機器が燃えてしまうことはありませんでしたが、私の財布の中身は交換部品のために燃えてしまいました!
開発者は、デジタル絶縁を再度使用することで、ロジックアナライザの入力を非常に簡単に保護することができます。しかし、これは、テスト機器を保護するためにアイソレータに外部電源が必要となるため、通常は少し不便です。これには、多くの場合、アイソレータの両側に電力を供給するために、テスト回路および別の電源にいくつかのジャンパを追加する必要があるからです。これは通信インターフェースの場合でも行う必要がありますが、電源とグランドは通常、とにかく存在しています。
私がテスト機器を保護するために使用したアイソレータの1つは、Texas Instrumentsの4チャンネル汎用デジタルアイソレータ「ISOW7844DWE」です(図2)。このアイソレータは最大100Mbits/秒のデータレートをサポートできます。このデータレートはテスト機器に接続する場合に必要です。10Mbit/秒のロジックアナライザのフロントエンドに2Mbit/秒のデジタルアイソレータを置いてもあまり意味がありません。代わりに、それは別の重要なポイントを浮かび上がらせます。つまり、テスト機器に絶縁を追加する場合は、絶縁が測定システムに悪影響を与えないことを確認してください。新しい不自然な結果や問題が発生する可能性があるため、注意してください。
図2:機器を保護するために使用されるデジタルアイソレータにとってデータレートは重要であり、ISOW7844DWEは最大100Mbits/秒をサポートできます。(画像提供:Texas Instruments)
考えられるほとんどすべてのアプリケーションで利用できるデジタルアイソレータにはかなりの種類があるので、ご自分に合ったアイソレータを検索して見つけることは極めて簡単です。私が機器の保護を検討する場合は、ソリューションのプロトタイプを素早く作成できるように、アイソレータのフットプリントを参照してブレークアウトボードの在庫を確認することもよくあります。場合によっては、ロジックアナライザを保護する場合のように、もう少し手間をかけ、独自の絶縁ボードを製作することもあります。
まとめ
テスト機器とツールは通常、高価で重要な資産なので、多くの開発者は1つしか持っていません。つまり、最悪の瞬間にテスト機器に影響を与えるマーフィーの法則を考慮する必要があるのです。だから、前述のような私の真似をせずに、デジタル絶縁を使用してください。絶縁が測定システム自体に影響を与えないように注意してください。その保護が整えば、少しリラックスできるでしょう。回路の欠陥や注意の欠如が機器に損傷を与える可能性が、大幅に減少したのですから。
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