Kingston、次世代フラッシュメモリテクノロジーでDesign-In SSDのラインアップを拡充

Kingstonの最新世代のDesign-In SSDは、112層および176層の積層3D TLCおよびQLCフラッシュアーキテクチャを採用しています。この最新のフラッシュ技術は、従来の96層技術と比較したSSDの大容量化、性能向上を、信頼性や耐久性を犠牲にすることなく実現します。KingstonのDesign-In SSDが採用したフラッシュメモリは、広範な種類のアプリケーションワークロードの長寿命化ニーズを満たすように設計されています。SSDの耐久性は、目的別の専用システムアプリケーションにおいて、この種のシステムを長寿命化するために重要なファクタとなります。また、積層フラッシュメモリは、お客様の期待する価格内に抑えながら、より大容量のSSDを製造できるため、コスト面でのメリットもあります。

(画像提供:Kingston)

過去数年間、フラッシュの世代が進化するにつれ、「NANDフラッシュのダイを縮小するために、ユーザーはSSDの耐久性や信頼性を犠牲にしなければならない」という誤解が生まれました。この考え方は、真実でもあり、間違いでもあります。SSDの始まりを振り返るとともに、SSDの変遷で私たちが学んだことを回顧し、最新世代のSSDをコンピューティングアプリケーションで使用する際の懸念をできれば払拭したいと思います。

ハードディスクの代わりにSSDを使うという発想が生まれたとき、ユーザーの間で最大の懸念は、フラッシュがメモリセルレベルでプログラムされているため、SSDが時間の経過とともに摩耗してしまうのではないかということでした。つまり、「SSDにたくさん書き込むと、故障してデータがすべて消えてしまうのではないか」ということでした。これは、杞憂に終わることになります。また、「SSDは、使用不能になる、つまりドライブが故障して復旧できなくなる現象が起こりやすい」という報告が、コンピュータ業界では早くからなされていました。そういった事例の中には、SSDが使用不能になった結果、データが消えてしまったというものもありました。しかし、この問題はSSDのファームウェアの改良によってすぐに解決されました。

Kingstonでは、SSDの摩耗と信頼性についてお客様を教育することと、データの保全を保証することが重要であると、早い段階から認識していました。Kingstonは2年間にわたる教育キャンペーンを展開し、世界中を回って、SSDについてお客様に語りかけました。この教育キャンペーンが功を奏し、続く年からクライアント型システムへのSSDの採用が急速に進みました。

最初に主流となったフラッシュベースSSDは、SLC(シングルレベルセル)とMLC(マルチレベルセル)フラッシュ技術を使って製造されていました。当時、SLCのプログラム/消去サイクル定格は100kサイクルで、MLCのプログラム/消去サイクル定格は5kサイクルでした。SLCフラッシュは、耐久性が高いことから、主にエンタープライズサーバ向けのSSDとしての指定を受けていました。一方、MLCは、主にクライアントノートPCやデスクトップPC向けのSSDとしての指定を受けていました。

SSDメーカーが数百万台のSSDを出荷し、ユーザーのアプリケーションワークロードに関する洞察を得た後、SSDの摩耗に関する理解が深まりました。このため、SLCおよびMLCフラッシュで製造された第一世代のSSDは、SLCとMLCのアプリケーションセグメントで必要なものをはるかに超える耐久性を実現していることが判明しました。たとえば、一般的なオフィスアプリケーションやウェブブラウジングにMLCフラッシュを使用するクライアント用SSDは、SSDが搭載されているコンピュータの寿命をはるかに超えて、20年以上安定的に動作すると判定されました。また、メインストリームサーバに使用されるエンタープライズSSDについても同様の分析が行われました。サーバのアプリケーションワークロードはクライアントのアプリケーションワークロードとは大きく異なりますが、SLCフラッシュによって耐久性が増大したため、MLCフラッシュを使用するクライアント用SSDと同じ長寿命シナリオが生まれました。つまり、エンタープライズSSDがサーバの寿命よりもはるかに長持ちするようになったのです。このため、SSD業界では、クライアント向けSSDとエンタープライズ向けSSDの両方で使用されるタイプのフラッシュを見直すことになりました。

コストと耐久性の比較

SSDの部品コストの80%はフラッシュメモリが占めており、耐久性の高いフラッシュメモリは耐久性の低いフラッシュメモリよりもコストが高くなります。そのため、KingstonなどのSSDメーカーは、ドライブが使用されるアプリケーションに合わせてSSDを設計することに重点を置き始め、必要のないところにコストをかけないようにするようになったのです。この設計戦略は、エンドユーザーにとっては、実際には使えない耐久性にお金を払う必要がなくなるため、コスト上、大きなメリットとなります。

SSDの信頼性のもう一つの要素は、SSDのコントローラ技術の進歩です。すべてのSSDには、SSDの読み取り/書き込み、ウェアレベリング(磨耗平準化)、エラー訂正を管理できる高度なフラッシュコントローラが搭載されています。フラッシュコントローラは、特定タイプのフラッシュメモリ向けに作成された専用のファームウェアを使用しています。つまり、ファームウェアコードが特定のフラッシュタイプに特化して最適化されているため、フラッシュ管理が強化され、ひいてはSSDの信頼性が向上するということです。

今日、SLC SSDとMLC SSDはどちらも、ニッチなアプリケーションをターゲットとする限られた数のSSDサプライヤからしか入手できないため、非常に高い価格プレミアムが上乗せされています。KingstonなどのSSDメーカーは、主流のラップトップPC、デスクトップPC、サーバPC向けに、最新世代のSSDにTLC(トリプルレベルセル)フラッシュおよびQLC(クアッドレベルセル)フラッシュを使用しています。最新のTLCおよびQLCベースのSSDは、クライアントアプリケーションおよびエンタープライズアプリケーションのエンドユーザーに対し、耐久性、信頼性、コストの最適なバランスを提供しています。今日のユーザーは恵まれたことに、SSD史上最も低い価格帯で、求める性能と耐久性を満たすSSDの中から選ぶことができます。

TLC & QLCフラッシュの詳細

TLC(トリプルレベルセル)フラッシュは、NAND型フラッシュメモリの一種で、1つのセルに3ビットのデータを格納します。TLCフラッシュは、クライアントアプリケーションとエンタープライズアプリケーションの両方で、今日最も広く使用されているSSD用フラッシュです。TLC SSDは、SSDの読み取りと書き込みのバランスが比較的によく取れている広範なアプリケーションワークロードに最適です。このタイプのアプリケーションワークロードは、消費者向けPC、クライアント/オフィスPC、およびほとんどのメインストリームサーバのアプリケーションワークロードで一般的なものです。一方、QLCとは、クアッドレベルセルの略です。このタイプのフラッシュメモリでは、1つのセルに4ビットのデータが格納されます。QLC SSDは、一般にTLC SSDよりも耐久性が低くなりますが、価格は低くなります。QLC SSDは、書き込みよりも読み取りを主とするアプリケーションで使用される大容量のSSDに最適です。書き込みよりも読み取りを主とするアプリケーションとは、「読み込み頻度には高低があるものの、少なくともデータの書き込み頻度が低いアプリケーション」を指します。QLC SSDの魅力は、その低価格にあります。QLC SSDは通常、TLC SSDよりも10%コストが低いため、システム全体のコストを大幅に削減することが可能です。

SSDの大容量化への動き

ハードディスクが大容量化しているのと同様に、最低容量のSSDも数年ごとに大容量化し続けています。フラッシュメモリの技術が進化しているためです。また、ユーザー側も、アプリケーションでより多くのデータを取り込んだり保存したりするために、より大きな容量のSSDを必要とするようになっています。現在のSSDはTLC、QLCともに一般的に「安価」と考えられているため、ユーザーはSSDを購入する際にはまとめ買いしています。このようにユーザーが大容量SSDを求めていることで、システムの寿命が重要な、一部の専用コンピュータアプリケーションの耐久性が向上します。ユーザーは、大きな空き領域のあるSSDをパーティショニングするだけで、耐久性を高めるようにSSDを構成することができます。SSD業界では、これを「オーバープロビジョニング」と呼んでいます。これにより、SSDコントローラは空き領域をリタイアしたブロックとより効率的なウェアレベリングに使用できます。

KingstonのSSDに組み込まれているその他の信頼性機能

  • KingstonのDesign-In SSDでは、専用アプリケーションに重要な信頼性機能を幅広く揃えています。
  • サーマルスロットリング機能 - KingstonのSSDは、ファームウェアにサーマルスロットリング機構を搭載しており、最大動作温度に達し始めたときにSSDの性能を低下させます。これにより、ドライブの故障を防ぎ、何よりもユーザーデータの消失を防ぎます。
  • 耐久性 - KingstonのSSD は、磨耗したり予定より早く壊れたりする可動部品がないため、回転式ハードドライブよりも耐久性に優れています。このため、SSDは場所から場所へと頻繁に移動する移動体用のアプリケーションやシステムに最適です。また、衝撃や振動の多い環境にも最適です。
  • 突然の電力損失に対する保護 - KingstonのDesign-In SSDは、予期しない電力損失から保護するためのファームウェア機能を組み込んでいます。突然の電力損失は環境によっては避けられない場合もあるため、SSDには、次の電源投入時にドライブが適切に回復できるような保護機能が組み込まれている必要があります。突然の電力損失に対するテストは、Kingstonが製造するすべてのSSDの検定プロセスにとって不可欠な部分です。
  • SSDの100%テスト - Kingstonは製造ラインから上がってくるSSDの100%をテストしています。Kingstonでは、最高レベルの品質と低い故障率を実現するため、数十億ドルをテスト機器に投資してきております。

著者について

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Cameron Crandall currently serves as a Senior Technology Manager for Kingston’s Embedded and Design-In SSD products category. Mr. Crandall serves as a technical advisor for Kingston's sales, marketing and public relations departments. He is in his 26th year at Kingston, and in that time has held several positions including technical support manager and field applications engineer. He also served as business development manager for Kingston's Storage Products Division where they designed, built and sold SCSI and Fiber Channel disk arrays. Mr. Crandall currently resides in Irvine, California.

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