誰もが利用できるIoT

テクノロジの世界はかつてない速さで移り変わっており、ワイヤレスアプリケーションに新しいテクノロジが導入されるペースもその例外ではありません。モノのインターネット(IoT)デバイスに適合するための送信規格の変更にともない、ワイヤレス分野に熱意がある人なら新しい変調方式の設計にかつてないほど容易にチャレンジできるようになりました。また、ワイヤレスリンクとペアを組む新たなセンサも数多く登場しています。しかも以前にも増して、誰もがこれらの技術に容易にアクセスできるようになっています。この記事では、個々の技術開発を取り上げ、低価格で広く出回っている技術を今すぐものにする方法をご紹介します。

低電力ワイドエリアネットワーク(LPWAN)無線技術はセルラーインフラストラクチャで利用するための技術で、数年前から登場しています。狭帯域のモノのインターネット(NB-IoT)、Long Term Evolution Machine Type Connection(LTE-MおよびLTE-MTC)、enhanced Machine Type Communication(eMTC)などが一般的です。これらの技術の利点は、音声/高帯域幅トラフィックに使用される既存の基地局を活用できることです。ただし、それほど頻繁でないレポートと制御のみを必要とするデバイスは高帯域幅を必要とせず、また多くが電池駆動なので、これらの技術規格が対応する低電力および低帯域幅の規格が必要でした。

既存のセルラーネットワークを活用せず、新たなインフラストラクチャの構築を必要とする他の技術には、いくつかの例としてSigfox、LoRa/LoRaWAN、NB-Fiなどがあります。これらの短所は、より広範なインターネットと結びつけるためにアップリンクを必要とすることです。ネットワークオペレータ(事業者)はこのアップリンクをサービスとして提供しますが、ネゴシエートするのは別のコンピュータネットワークシステムです。

実際にはセルラーネットワーク事業者は大企業であり、そのような会社と競争することは現実的ではありません。一番よい方法は、そのような事業者の規格に準拠するモデムを導入して事業者のネットワーク上で「時間」を購入し、月間使用プランの費用を支払うことです。

非セルラーネットワークは低額な資金で構築できますが、カバーする地理範囲が限られるという制約があります。インターネットへのブリッジとして機能するサーバに接続しなければ、全世界には対応しません。

幸いなことに、セルラーネットワークへのアクセス、そして独自の低電力ネットワークを構築するためのチップとモジュールが、DigiKeyから提供されています。DigiKeyはセルラーネットワークデータプランも販売しており、価格は300KBのデータ量と国際サービスに対して月額わずか3.00ドルです(図1を参照)。必要なのはセルラー事業者認定のモデムだけです。これで使用するデバイスが世界中で「オンライン」になります。モデム各種と、それらのモデムに含まれるチップも提供されています。

図1:DigiKeyセルラーデータプラン。

モジュール形式の電子機器ソリューションは、飛躍的な成長を続けています。チップレベルの設計のための専門知識を自分で持たなくとも、あらかじめ構築された認定済みの無線を取得できます。これにより、RFの技術的見識の必要性が減るだけでなく、製品をより迅速に市場に投入できます。最近、モジュールで使用されているチップを調べた後、抜き打ちで調査を行い、どのようなタイプのお客様が各製品を購入しているか確かめてみました。驚いたのは、必要な見識を持つ企業は、モジュールに載っているものと同じチップを購入しただけでなく、モジュールも購入しており、両方とも数千個の単位で購入されていたことでした。このことは、それほどコスト最適化されていない製品を早期に市場投入して新製品を市場で試すのが良い、という考え方を裏付けています。市場が十分大きければ、チップレベルまで下って製品のコストを最適化できます。しかし、チップよりもさらに低いレベルがあり、私はそれを個人的に波形のレベルと呼んでいます。

ソフトウェア無線(SDR)では、開発者はまったく新しい変調方式を試すことができます。独自のニーズと専門知識があれば、独自の無線規格を開発できますし、仮に専門知識がなくても、SDRを試すことで多くを学習できます。

そのようなSDRの1つに、Analog DevicesのAnalog Devices Advanced Learning Module PLUTO(ADALM-PLUTO)があり、DigiKeyから購入してすぐに使うことができます(図2)。これらのユニットの価格は2019年8月時点で150米ドル未満です。USBリンクを介してパーソナルコンピュータに接続できるこの製品は、FPGAを搭載することで簡単に再構成できます。また、プログラミング言語Pythonを全般的にサポートし、325MHz~3.8GHzの範囲で信号を送受信できます。RFについて本格的に学び活用したいとお考えであれば、このレベルから始められます。

図2:DigiKeyから提供されるADALM-PLUTO SDR。(画像提供:Analog Devices Inc.)

特定製品についての知識に戻ると、数百にも及ぶセンサがチップやモジュールの形で急増しています。以下に、DigiKeyで見つかるいくつかの製品を在庫品目数(SKU)とともにご紹介します(このブログの掲載時点のもの)。

DigiKeyでは総計210,000を超える各種のセンサをご用意しています。

これらのセンサのいずれか、またはそれらの組み合わせを、各種のワイヤレスオプションを介してインターネットにつながる製品に組み込むことができます。

ワイヤレス製品の開発を可能にするもう1つのツールに、DK IoT Studioがあります(図3)。この迅速なアプリケーション開発(RAD)ツールは、DigiKeyが無料で提供しています。ウェブベースの統合開発環境(IDE)から、既製の組み込みマイクロコンピュータボードを選択して、それをIDEで構成し、IDEで生成したオープンソースコードを含む構成を基板にダウンロードできます。その基板は、有線でホストにつながれたデバイス、あるいはBluetoothまたはWi-Fiでワイヤレス式にホストにつながれたデバイスと通信でき、デバイスのあらゆるデータをペアになっているスマートフォンが受信できるようにインターネットに送信できます。また、少し料金がかかりますが、これをさらに大規模なセッティングに拡張するオプションもあります。たとえば、「ウィンドウブラインドコントローラ」のインターネットへの接続を示すオンラインプロジェクトが、maker.ioにあります。また、DK IoT Studioを変更して独自の機能を追加するコードは、こちら(DigiKeyのeewikiウェブサイト)にあります。

図3:DigiKeyのDK IoT Studio

開発の成功、そして皆様のコネクテッドデバイスがモノのインターネットによって世界とつながることを願っています。

著者について

Image of Randy Restle

Randall Restleは、電子部品業界で40年以上の経験があります。 DigiKeyのアプリケーションエンジニアリング担当副社長を務め、現在はセミリタイアしています。彼の経験には、熟練したアプリケーションエンジニア、技術者、管理職のチームを率い、独自の先端技術製品開発の指揮が含まれています。

個人的には、デジタル信号処理、プログラマブルロジックの実装、モーションコントロールの改善、ソフトウェア設計などを追求しています。 複数の業界の特許を保有し、IEEEのシニアメンバーでもあります。 Randallは、シンシナティ大学でBSEE、MS、MBAの学位を取得しています。

More posts by Randall Restle(ランドール・レッスル)
 TechForum

Have questions or comments? Continue the conversation on TechForum, Digi-Key's online community and technical resource.

Visit TechForum