電力用途向け高電流コネクタ

産業や社会が再生可能エネルギー源への移行に努める中、電化とエネルギー管理は密接に関連しています。その一方で、産業や社会は、人工知能や機械学習をサポートする新しいデータセンターなどの分野における電力需要の急増にも直面しています。

これらの問題は、電気自動車(EV)のより効率的な充電、スマートファクトリオートメーションやスマートビル管理、公共交通機関、医療機器、病院のエネルギー管理など、多くの新しい高電力アプリケーションに大きな可能性をもたらしています。エンジニアやベンダーは、市場のトレンドや商業顧客および消費者のニーズに対応できる新しいアプリケーションの膨大な機会に直面しています。

McKinseyのアナリストは、「予想されていた電化のブームが加速し、電化のバリューチェーン全体にわたって、資産、部品、原材料など、大きな価値創造の機会が生まれるでしょう」と述べています。

米国エネルギー省の電力局は、「電化は全体的な排出量を削減し、エネルギーコストを低減し、インフラを追加するのではなく、配電および発電資産を最適化するための運用上の柔軟性を送電網に提供することができます」と主張しています。

また、同機関は、「輸送、建築物、産業、農業は、電化され始めている経済分野です」と述べ、これらの分野の例として、ライトデューティEVおよびフリートEV、新しい住宅および商業用建築物における効率的な電気製品の採用、古い建築物、産業プロセスおよび設備、農業関連設備の改修などを挙げています。

高電流接続が不可欠

高電流、高電圧の接続は、市場の電化およびエネルギー管理アプリケーションへの需要の高まりに伴い、多くのアプリケーションの電気回路を接続することになります。

堅牢な電子アプリケーションの設計には、信頼性が高く柔軟な高電流コネクタおよびケーブルアセンブリソリューションが不可欠です。これらのアプリケーションは、業界および政府の安全基準を満たし、急速に進化する顧客の要件に対応することができます。下記にこれらの要件の例を挙げます。

  • 電気自動車、ハイブリッド車、充電インフラ、バッテリ管理システムの実現
  • 産業用オートメーション、ロボティクス、機械、発電・配電のサポート
  • 太陽光、風力、水力、地熱発電と蓄電の促進
  • ラップトップ、タブレット、スマートフォン、ゲーム機、ウェアラブルデバイスの性能と安全性の向上

Molexは、1960年代半ばから電源コネクタのイノベーターとして業界をリードしてきました。同社は、金属ピンを正しい向きに配置できる独自のピン & ソケット設計を生み出し、小型コネクタの確実な嵌合と小型化を実現しました。

より小さな相互接続は、小さなスペースに多くの電子機器を収めることを目指す業界にとって不可欠です。Molexは、これらのニーズに応えるため、幅広い電源コネクタのラインアップを提供してきました。こうしたコネクタは、多くの場合に熱に関する厳しい制約があり、小さなスペースの電源やシステムの高電流伝送をサポートします。

Molexは、高電流、高性能アプリケーションの課題と過酷な環境条件を克服するためにCOEURソケット技術(図1)を開発しました。

図1:MolexのCOUERソケット技術は、より大きな導電性表面積を提供し、熱発生を最小限に抑えます。(画像提供:Molex)

COUER設計の角度のついたコンタクトビームを持つプレス加工された円錐形状のソケットは、嵌合ピンの半径方向軸の周りにあるコンタクトポイントの数を最大化します。各コンタクトビームの嵌合ゾーンは、より大きな導電性表面積を提供し、高電流アプリケーションの熱発生も最小限に抑えます。

COUERソケット技術は、同社のPowerWizeワイヤ対基板/ワイヤ対バスバーコネクタ、およびワイヤ対基板高電流コネクタ & ケーブルアセンブリのUltraWizeラインの主要な要素です。この技術は、複数のコンタクトビームにより、コンタクトインターフェースにおける低接触抵抗と低電圧降下を実現します。

PowerWize接続は、プリント回路基板またはバスバーへの取り付けが可能で、データセンター、電気通信、ネットワーク、産業環境、ブラインド嵌合アプリケーションなど、幅広い用途に適しています。最大1,000Vおよび190Aまで対応でき、サイドロック式の6mmバージョンとトップロック式の8mmバージョンがあります。いずれもシステム統合時の嵌合ミスを防止する機械的キーイングが設けられています。

PowerWizeのヘッダ(図2)とレセプタクルは、業界標準のタッチセーフ要件に準拠しています。さまざまな基板に取り付けられ、幅広いワイヤスタイルおよびゲージに圧着することができます。PowerWize圧着ソケットは、1/0AWG、2AWG、4AWG、6AWG、8AWG、または10AWGワイヤに対応します。

図2:Molex PowerWize 2046000001コネクタヘッダ。(画像提供:Molex)

回路基板実装用のUltraWizeコネクタおよびケーブルアセンブリは、省スペースと電力密度が重要な考慮事項となるデータセンターに特化した製品です。また、これらのコネクタ(図3)は、機械的キーイングが設けられており、位置決めピンにより正しい嵌合を確保し、ポジティブロックにより不慮の嵌合解除を防止します。

図3:プリント回路基板に配置されるMolex UltraWize 2185670002コネクタ。(画像提供:Molex)

UltraWizeケーブルアセンブリでは、ケーブル側出口設計により、スタックの高さとPCBフットプリントを最小限に抑え、ケーブルの曲げ半径に対応する必要がありません。このケーブルアセンブリは、最大電圧125V、最大電流170Aに対応しており、直角 - 直角(2262692025)および直角 - 垂直(図4)のバージョンが入手可能です。

図4:Molex UltraWize直角 - 垂直2262702025ケーブルアセンブリ。(画像提供:Molex)

まとめ

MolexのPowerWizeおよびUltraWizeコネクタは、ベンダーに超高電流アプリケーション用のさまざまなオプションを提供しています。どちらのタイプのコネクタも、安全性と性能を念頭に置いて設計されており、嵌合ミスを防止する機械的キーイングと位置決めペグ、および多様なアプリケーションニーズに対応する設計の柔軟性を特長としています。

著者について

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Pete Bartolikはフリーライターで、20年以上にわたってITとOTの問題や製品について研究し、執筆してきました。それ以前は、IT管理専門誌『Computerworld』のニュース編集者、エンドユーザー向け月刊コンピュータ誌の編集長、日刊紙の記者を務めていました。

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