簡単、迅速、便利なプロトタイピング
54-SMDパッケージ(図1)を手作業で簡単にはんだ付けする方法を知っていますか?
図1:u-bloxのZED-F9T GNSSモジュールなどの面実装部品をプロトタイピングのために手作業ではんだ付けすることは、ほぼ不可能です。(画像提供:u-blox)
私も知りません。
面実装製品を扱うことは不可能ではありませんが、困難を伴うことは確かです。幸いなことに、高度なはんだ付け手法について深く掘り下げる必要はありません。別の方法があるからです。開発ボード上で簡単かつ迅速にプロトタイプを作成できます。
開発ボード(評価ボード、デモボード、評価ブレークアウトボードなどの製品を含む)は、主要部品を便利な方法で搭載した部品実装プリント回路基板です。このボードには、マイクロコントローラ、センサ、押ボタン、通信モジュール、マイクロフォンなど、特定の製品が搭載されており、デバイスの能力を探ることができます。また、通信などの目的を果たすために、部品を組み合わせることもできます。このボードは、便利なピン配列を備えたPCBに主要部品をマウントしたシンプルな設計から、受動部品、コネクタ、ボタン、LED、コンバータなど、必要な部品をすべて搭載した複雑な設計まで、多岐にわたります。
大きな利点は、これらの開発ボードが設計され、実装され、すぐに使えることです。正規のデバイスと認定部品を調達し、ボードを設計して、すべてが到着するのを待つという選択肢は、数週間かかることがあります(表1)。それに比べ、DigiKeyに在庫のある開発ボードは、最短1日で迅速なプロトタイピングを開始できます。
表1:評価/開発ボードをゼロから設計する場合と、既製品を調達する場合のリードタイムの比較。
54ピンSMDパッケージのはんだ付けに関する上記の質問について考えてみましょう。これは、u-bloxのZED-F9T GNSSモジュール(センチメートルレベルの精度を提供する小型デバイス)に関する私の調査から生じたものです。 データシートに記載されている54個のピン配列を分析し、MyListsでBOMを作成し、DKRed PCBを作成し、すべてが到着するのを待つのにかなりの時間を費やすこともできます。あるいは、デバイスと適切なアクセサリ部品があらかじめ搭載されたSparkFun ZED-F9Tブレークアウトボード(図2)を購入して、すぐに作業を開始することもできます。これによって、ゼロからデバイスを使い始めるよりも、格段に早くコンセプトの実証に取りかかることができます。
図2:SparkFun ZED-F9T GNSSタイミングブレークアウトボードにより、u-bloxのZED-F9T GNSSモジュールを迅速に評価できます。(画像提供:Sparkfun)
u-bloxモジュールを搭載したSparkfun製品は、もう1つの重要な点を示しています。開発ボードをデバイスのメーカーが製造することも、サードパーティ企業が製造することもできます。STM32マイクロコントローラを製造するSTMicroelectronicsなどのメーカーは、コスト効率の良いシンプルなオプション(例:Nucleoボード)から、より複雑で広範な評価ボードまで、幅広い開発ボードのポートフォリオを用意しています。STのSTM32プロトタイピングハードウェアオプションの種類については、こちらをご覧ください。
Adafruit、SparkFun、Seeed、MikroElektronika、DFRobotなどのサードパーティ企業は、エンジニアや設計者がすぐに作業を開始できるよう、扱いやすい革新的な開発ボードを数多く提供しています。また、接続ガイドやコードとともにサンプルプロジェクトも提供しています。
開発ボードの必需品
表2は、いくつかの開発ボード例とその特長を示しています。
| SparkFunの空気質センサ | SparkFunの空気質センサブレークアウトボードは、Bosch BMV080を搭載しており、便利なピン配列とI2Cプラグアンドプレイ接続用のQwiicコネクタを備えています。 |
| SparkFunのDataLogger IoTボード | この製品は、ハードウェア設定やコード開発を必要とせずに、自動的にデータを検出し、記録します。多くのセンサ、GNSSレシーバ、RFIDリーダ、ボタン、ロードセルアンプなど、最大50台以上のQwiicデバイスと統合可能です。さらに、オンボードのESP32からWiFiを利用し、あらかじめプログラムされたソフトウェアを通じて、記録されたデータをいくつかの一般的なIoTサービス(MQTT、AWS IoT、MachineChatなど)に送信することもできます。 |
| AdafruitのFeather nRF52840 | SHT湿度センサ、近接、光、カラー・ジェスチャセンサ、マイクロフォンセンサ、STMicroの9-DoFモーションセンサなど、多数のセンサをワイヤレスBLEプラットフォームに活用できます。 |
| MikroElektronikaのClickボード | MikroElektronikaは、さまざまなコンポーネントを多目的に利用するClickボードを、1,700以上の豊富なオプションで提供しています。Microchipは、Clickボードをより簡単に使い始めることができるよう、クイックスタートソフトウェアライブラリを作成しました。 |
表2:いくつかの開発ボード例と主な特長。
プラットフォームの必需品
表3には、設計者がプロジェクトに使用できる3つの一般的な開発ボードプラットフォームが記載されています。
| Arduino Nano R4 | オンボードのRA4M1 Renesasマイクロコントローラは、UNO R4ファミリ全体で共有されているため、UNO R4からNano R4へ移行する際にコードやライブラリを書き換えることなく、プロトタイプから量産へシームレスに移行することができます。 |
| DFRobotのLattePanda Mu | Intel Alder Lake-Nプラットフォームプロセッサを搭載したLattePanda Muは、WindowsやUbuntuを含むデスクトップオペレーティングシステムをサポートし、組み込み開発者にPCソフトウェアエコシステムの完全な互換性を提供します。 |
| Raspberry Pi 5 | Raspberry Pi 5シリーズのシングルボードコンピュータは、前世代のRPi 4に比べてCPU性能が2~3倍向上しています。 |
表3:いくつかの一般的な開発ボードプラットフォーム。
開発ボードは価格帯、用途、堅牢性、目的によって異なります。プロのエンジニアは、迅速なコンセプト実証(図3)を実現し、ブレークアウトボードから完成設計に至るデバイス設計プロセスを支援する、開発ボードを活用することができます。 学生、ホビイスト、メイカーは、開発ボードの入手のしやすさと価格帯を高く評価し、自分の設計にも取り入れることができるでしょう。
図3:ここで示したSeeed ETA9740バッテリチャージャ評価ボードなどの評価/開発ボードを使用することで、設計時間を大幅に短縮することができます。(画像提供:筆者がSeeedの画像を用いて作成)
まとめ
キャップストーンプロジェクトに取り組む学生であれ、コンセプトを検証するR&Dエンジニアであれ、開発ボードの入手のしやすさと効率性に匹敵するツールはほとんどありません。これらのボードは、ラピッドプロトタイピングを容易にし、アイデアを素早く実現し、ラフなスケッチからプロフェッショナルグレードのソリューションへとスムーズに移行するのに役立ちます。
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