48Vは新しい12V

自動車の電力需要が後押しする48Vの採用

Vicorの双方向電圧コンバータNBM2317を使用することにより、最小限の損失とより軽い配線で自動車の電気系統を48Vから12Vに容易に変換できます。(画像提供: Vicor Corporation)

多くの産業と同様に、自動車業界には長年にわたり決まった標準の動作電圧があります。しかしどのような標準も、技術の進歩とともに次第に進化します。自動車業界の標準にもそのような進化が見られます。

最初の乗用車には電気系統はまったくありませんでした。自動車の始動は手動クランクで行い、ライトはオイルで点灯しました。そして鉛蓄電池が登場し、6Vが使われるようになりました。この電圧はしばらく続きましたが、エンジンが大型化し電子機器が増えるのにつれて、電力がさらに必要になりました。このため12Vが新たな標準となったのです。

現在、自動車業界は新たな変化を迎えています。自動車の電力需要は急増しており、その傾向は特に自律走行の自動車に見られます。自動車に搭載される人工知能も、電力需要を増加させる要因の1つです。パワートレインとインフォテイメントの需要も、大幅な電力増を必要とします。

もはや12Vバッテリでは十分とは言えません。次の論理的なステップとして有力なのが48Vです。一部の自動車にはデュアルバッテリ方式が使われており、48Vの採用はそれほど難しくありません。デュアルバッテリの自動車は、電気系統を従来の12Vバッテリと48Vリチウムイオンバッテリに分けています。こうした現状は、自動車が48Vに標準化されるまでの移行段階と見ることもできます。

多くの業界分野に高い効率性をもたらす48V

データセンターは、48Vから12Vへの効率的なステップダウンにより、従来のインフラを維持できます。(画像提供: Vicor Corporation)

他の業界分野にも48Vへの移行が見られます。データセンターにも同様の変化が起こりつつあります。従来の12V電源バスを使用しているデータセンターでは、急増する電力需要に対して効率的に電力を供給できるように、48V電源バスの採用が望まれています。

電動工具も電圧アップによりトルクが強化され、バッテリテクノロジもより小型化されています。今では48Vの電動工具は容易に見つかります。値段が高めの工具もありますが、バッテリの持続時間が延び高トルク化されています。LEDは48Vの採用を高く評価しているもう1つの分野です。特に電力需要が最も大きい屋外照明には有利です。48Vにより、ディスプレイの輝度向上、大型化、効率化が可能になります。

48V電力の利点とは

48Vでは、少ないスイッチング損失で電力をさらに増強できます。その理由は、同じ量の銅を流れる電流が少ないことにあります。これにより、電力がさらに遠くまで流れ、より多くのものに電力を供給できます。48Vは安全特別低電圧(SELV)規格の対象であり、特別な扱いが不要で安全性が保たれます。48Vは、安全に扱える電圧の区切りと見なされる60Vに満たない電圧です。また、ケーブルには特別なシールドが不要で、過熱の危険もありません。

始めから48Vが採用されなかった理由

当初から、大型バッテリの価格とサイズが非実用的と見なされました。電圧が高いことには、利点とともにいくつかの制約もあります。より電圧が高い電気系統の接点には高い堅牢性が求められ、腐食しやすいことからより高コストになります。しかし技術の進歩とともに、これらの短所を最小限に抑える方法も向上しています。現在、大半のインフラストラクチャや設計が12V用に作成されています。ひとたび標準が普及すると、新しい規格の採用を促そうとしても難しいかもしれません。あらゆる部品が12Vの規格に適合しているからです。

NBM2317は双方向48V〜12V変換を行い、800Wの連続パワーで98%のピーク効率を発揮します。(画像提供: Vicor Corporation)

現在、このようなシステムの多くで12Vから48Vへのブリッジが試されています。インフラを完全に変えるのではなく、アーキテクチャの移行が模索されています。たとえば、新しいマイルドハイブリッド型自動車は12Vと48Vのデュアルバッテリを搭載しています。企業は、すべてのシステムを一度に変える必要がないように、新しいパワーストラクチャを徐々に採用する形でシステムを移行したい考えです。より高い電圧への移行の過程では、各システムのあらゆる箇所でさまざまな部品が必要です。

そこで、Vicorなどの企業の出番となります。同社はつい最近、優れた「ブリッジ」部品、NBM2317をリリースしました。NBMは48V〜12Vの双方向変換に対応し、800W連続パワーおよび1kWピークパワーで98%のピーク効率を発揮します。本体の体積は3.3cm3未満です。Vicorは48V部品ファミリを提供しており、48Vパワーチェーンの構築や48Vインフラへの移行に貢献しています。



著者について

Image of Ben Roloff

Digi-Key ElectronicsのアソシエイトアプリケーションエンジニアであるBen Roloff氏は、2016年以来、すべてのマイクロコントローラのニーズを満たすためにお客様を支援してきました。彼はインターネットが家の中では前代未聞だった1991年に生まれました。学年が進むにつれて、インターネットはゆっくりと広がっていきました - ある意味で、Benはインターネットと共に成長してきました。コンピュータ工学の教育を追求するように駆り立てたのは、彼のコンピュータへの興味からです。彼はサウスダコタ鉱山技術大学でコンピュータ工学の科学学士号を取得しています。

More posts by Ben Roloff