耐微生物性・耐加水分解性空気圧チューブを活用した食品加工における自動化およびロボティクスの簡素化

著者 Jeff Shepard(ジェフ・シェパード)氏

DigiKeyの北米担当編集者の提供

食品加工の自動化およびロボティクスにおける空気圧チューブの使用は、衛生面、耐久性、性能、メンテナンスに関連して重大な課題をもたらします。耐微生物性や耐加水分解性、耐キンク性にも優れた空気圧チューブは、自動化装置やロボットの設置を簡素化および迅速化し、長期的な信頼性を向上させることが可能です。

食品加工用途で使用される空気圧チューブにおいてその他に要望される特性には、優れた柔軟性、エネルギーチェーン内での使用適性、再構成やメンテナンスのための取り付けや取り外しを容易にするプッシュイン継手、システムの状態を監視するための透明チューブを含むさまざまな色の選択肢などが挙げられます。

チューブ材料は、食品加工で使用される化学消毒剤や高圧および高温洗浄に対して高い耐性が必要であり、関連するすべてのFDA要件を満たすことが求められます。

この記事では、 FestoPUN-H空気圧チューブが 、食品加工業界における自動化装置やロボティクスの多様な要求にどのように応えているかを詳しく説明します。

変性ポリウレタンを使用したPUN-H空気圧チューブは汎用性が高く、小さな曲げ半径にも対応できるため、コンパクトな設置に最適です。ポリウレタンは本質的に加水分解に強く、食品製造工程で使用するためのFDA認証を取得しています。

PUN-Hの柔軟性は、エネルギーチェーンなどの可動部品だけでなく、バイオテクノロジー、製薬、化粧品産業における一般的な空気圧用途、さらに自動車、電子機器、化学産業における標準的な用途にも適しています。

PUN-Hチューブには、透明タイプ(図1)を含むさまざまなカラーバリエーションがあります。標準色は青、青/黒、黄、緑、ナチュラル、赤、シルバー、黒です。また、青、黄、緑、黒の半透明タイプもあります。

Festo PUN-H空圧チューブの画像図1:FestoのPUN-H空気圧チューブは、さまざまな色と透明タイプがあります。(画像提供:Festo)

黒色のPUN-Hチューブは耐紫外線性に優れ、屋外での使用に適しています。透明なチューブにより、機械オペレータは圧縮空気の品質を直ちに把握することができます。粒子、水分、油分などの汚染物質を容易に見つけることができます。たとえば結露は、システム内に水分があることを示しています。ほとんどの食品加工安全基準において、水分は許容されません。また、空気圧部品の寿命を縮める可能性もあります。

PUN-Hチューブは、圧縮空気、真空、および水の搬送用に設計されています。その動作温度範囲は、-40°C~+60°Cです。なお、使用可能圧力範囲は温度によって異なります。最大定格圧力1.0MPa(10bar/145psi)は、-35°C~+30°Cの温度範囲において適用されます。高温度範囲である+30°C~+60°Cでは、最大圧力仕様は0.6MPa(6bar/87psi)に低下します。

外径(OD)2~16mmの9サイズがあり、チューブの外径に応じて長さが異なるリールに巻かれて納品されます。たとえば、モデルPUN-H-3X0.5-BL-500は外径3mmで、標準長さ500mで納品されます。モデルPUN-H-12X2-SW-200は外径12mmで、標準長さは200mで納品されます。DigiKeyでは、より短い長さのチューブのカスタムカットにも対応しています。

PUN-Hチューブの高い柔軟性と弾力性は、変性ポリウレタン材料の使用によるものです。他の材料よりも曲げても、折り目がついたり、永久的に変形することはありません。

PUN-Hの固有の柔軟性により、狭いスペースへの取り付けが容易になり、機械や設置スペースを縮小することが可能です。この材料は加水分解に強く、ひび割れを防ぎ、耐久性と信頼性の高い作動を保証します。FDA(米国食品医薬品局)認定の食品用変性ポリウレタンは、微生物に対する耐性と洗浄剤に対する優れた耐性を兼ね備えており、頻繁に水に触れる可能性のある食品加工および包装システムに最適です。

取り付けに関する注意事項

空気圧チューブ取り付けの一般的な指針として、チューブは必要な長さのみとし、可能な限り短くすることが挙げられます。これにより、チューブが過度に引っ張られるのを防ぐことができます。さらに、チューブ径が大きすぎたり小さすぎたりする場合、また曲げ半径が小さすぎる場合、流量が低下する可能性があります。

チューブのサイズが異なると、対応可能な流量や曲げ半径も異なります。適切なシステム動作を確保するためには、特定の用途と取り付け要件にチューブサイズを適合させることが不可欠です。

PUN-Hチューブを曲げる際には、2つの重要な要素があります。1つは流量に応じた曲げ半軽(Rd)、もう1つは最小曲げ半径(Rmin)です。PUN-Hチューブを使用した機械を設計する場合、この区別が重要です。Rminはチューブの構造的完全性に関係し、Rdはチューブが支えられる流量に対応します。

Festoでは、RdとRminに関する特定の試験を開発しました(図2)

  • Rdを測定するには、チューブを外径(O.D.)が5%扁平化するまでチューブを曲げます。Rdに達するまでは流量の減少は発生しません。
  • Rminを測定するには、可動プレートを用いてチューブを曲げ、キンクが生じるまで曲げます。このキンクが生じる点がRmin値に相当し、これにより流量が大幅に減少します。

Rd(左図)およびRmin(右図)を決定するためのチューブの曲げ方法の図図2:Rd(左図)およびRmin(右図)を決定するためのチューブの曲げ方法(画像提供:Festo)

接続方法

PUN-H空気圧チューブ用QSプッシュイン継手(コネクタ)には、チューブをクランプして接続を固定するグリップ歯付きコレットが内蔵されています。クイックリリース機構を押すとグリップ機構が解除され、チューブの抜き差しが可能になります。

継手およびチューブの両方を複数回再利用できます。一部のモデルの継手は、片側がプッシュイン接続、もう片方がネジ接続になっているものもあります。

Qs継手には、特定のシステム要件に合わせて、ストレート型、T型、Y型、エルボ型などさまざまな形状があります。たとえば、以下のようなものがあります。

  • QS-6、プッシュインストレート継手(図3)
  • QST-1/8-4、プッシュインT型継手
  • QSYL-1/4-10、プッシュインY型継手
  • QSML-M5-6、プッシュインエルボ型継手

Festo QS-6 PUN-Hチューブ用ストレートプッシュインコネクタの画像図3:PUN-Hチューブ用QS-6ストレートプッシュインコネクタ。(画像提供:Festo)

改造およびアップグレード対応

FestoのPUN-Hチューブは、食品、医薬品、栄養補助食品、その他の製品の製造、加工、包装、保管に使用される既存の空圧システムの改造やアップグレードにおいて、重要な構成要素となり得ます。こうしたアップグレードは、米国食品医薬品局(FDA)の食品安全近代化法(FSMA)およびFDAの現行の医薬品適正製造基準(cGMP)規制の要件を満たすために必要となる場合があります。

FSMAは、広範な規制であり、単一の遵守期限は設けられていません。この規制には段階的な期限が設けられており、一部はすでに通過していますが、2028年まで発効しないものもあります。一方、cGMPガイドラインは、継続的な改善の一環として、新技術や科学的進歩、公衆衛生上の懸念に対応するため、常に更新されています。いずれの場合においても、PUN-Hチューブは規制準拠ソリューションにおいてコスト効率に優れた構成要素なり得ます。

2本のチューブ配置による優位性

2本のチューブは、ロボットや自動化プロセスの複動式空圧シリンダやグリッパなど、前進(伸長)と後退(収縮)の両方の動作を必要とするの用途で使用されます。一方のチューブは圧縮空気を供給し、もう一方のチューブは空気を排出して、部品のハンドリング、選別、梱包などの用途における動作を制御します。

ペアチューブが必要な場合、設計者はFestoのPUN-H-DUOチューブを利用できます。DUOチューブは、通常のPUN-Hチューブと同様の高い柔軟性、耐加水分解性、食品グレード特性を備えており、食品加工、バイオテクノロジー、製薬、化粧品、その他の産業での使用に適しています。接続されたチューブのペアを使用することで、配線が簡素化され、結束バンドやケーブルラップが不要になります。チューブは簡単に分割できるため、コネクタの追加も容易です。

PUN-H-DUOチューブは、外径4、6、8、10mm、のラインアップが用意されています。これに対応する内径はそれぞれ2.6、4.0、5.7、7.0mmとなります。たとえば、モデルPUN-H-10X1,5-DUOは、外径10 mmのチューブ2本で構成され、50メートル巻きのロール状で納品されます(図4)。

外径10mmのチューブ2本で構成されるFesto PUN-H-DUOの画像図4:このPUN-H-DUOは外径10mmのチューブ2本で構成され、50m巻きのロール状で納品されます。(画像提供:Festo)

食品との接触が考慮される場合

FestoのPUN-Hチューブは食品加工工程での使用に適していますが、食品との接触が予想される場合には使用しないでください。接触が予想される場合、機械設計者は、品番PUN-H-F-10X1.5-BLなどのPUN-H-Fチューブと、モデルNPQR-DK-M7-Q4などの食品グレードのプッシュインコネクタを組み合わせて使用することができます。

PUN-H-Fチューブは、通常のPUN-Hチューブと同様の耐微生物性と耐加水分解性を備え、さらに耐キンク性も備えています。FDA 21 CFR 177.2600に準拠したFDA登録材料で製造されており、FDA規制およびEU規制(EC)1935/2004の両方に適合する完全な食品安全性を有しています。NPQRシリーズの継手はステンレス鋼製で、(EC)1935/2004に準拠し、NSF169の認証を取得しています(図5)。

Festo NPQR コネクタ付きPUN-H-F チューブの画像図5: NPQRコネクタ付きPUN-H-Fチューブの例。(画像提供:Festo)

標準のPUN-Hチューブと同様、PUN-H-FもNPQR継手を使用することで簡単に挿入および取り外しが可能です。これにより、取り付けやメンテナンスの作業効率が向上します。継手内部に組み込まれたチャンバ付きOリングが漏れを防止します。

まとめ

耐キンク性PUN-Hチューブは取り付けが簡単で、各種サイズとカラーバリエーションで提供されています。加水分解や微生物に対する耐性を有しているため、食品加工をはじめとする産業分野における自動化やロボティクスに最適です。2本のチューブが必要なアプリケーションには、機械設計と取り付けを簡素化するPUN-H-DUOが最適です。食品接触が予想される場合、設計者はPUN-H-Fチューブを使用することができます。

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著者について

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Jeff Shepard(ジェフ・シェパード)氏

ジェフ氏は、パワーエレクトロニクス、電子部品、その他の技術トピックについて30年以上にわたり執筆活動を続けています。彼は当初、EETimes誌のシニアエディターとしてパワーエレクトロニクスについて執筆を始めました。その後、パワーエレクトロニクスの設計雑誌であるPowertechniquesを立ち上げ、その後、世界的なパワーエレクトロニクスの研究グループ兼出版社であるDarnell Groupを設立しました。Darnell Groupは、数々の活動のひとつとしてPowerPulse.netを立ち上げましたが、これはパワーエレクトロニクスを専門とするグローバルなエンジニアリングコミュニティで、毎日のニュースを提供しました。また彼は、教育出版社Prentice HallのReston部門から発行されたスイッチモード電源の教科書『Power Supplies』の著者でもあります。

ジェフはまた、後にComputer Products社に買収された高ワット数のスイッチング電源のメーカーであるJeta Power Systems社を共同創設しました。ジェフは発明家でもあり、熱環境発電と光学メタマテリアルの分野で17の米国特許を取得しています。このように彼は、パワーエレクトロニクスの世界的トレンドに関する業界の情報源であり、あちこちで頻繁に講演を行っています。彼は、定量的研究と数学でカリフォルニア大学から修士号を取得しています。

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