メーカー領域の簡単でありながら優れたユーザーインターフェースソリューション

著者 ヨーロッパ人編集者

DigiKeyのヨーロッパ担当編集者の提供

Arduinoファミリなどの小型コンピュータボードは、単に教育的な手段として評価されているだけではありません。このエコシステムは、数々のセンシングおよび制御の課題を解決する目的で、プロフェッショナルエンジニアによって盛んに採り入れられており、その対象は、単純な接続センサから機械装置のモータまたはアクチュエータの制御や簡易ロボットまで多岐にわたります。ArduinoマイクロコントローラボードにI/Oまたはモータドライブシールドを組み合わせれば、プロジェクトのモーションコントロール要件を満たすことができるでしょう。Arduinoなどのエコシステムはオープンソースなので、オンラインで公開されている多数のプロジェクトを、カスタマイズアプリケーションの土台として使用することができます。メーカーサイトや独立系のGitHubでは、事前にコードが記述された多数のソースが提供されています。図1は、Arduinoベースのロボットを制御するコードをGitHubから抜粋したものです。

オープンソースプロジェクト用コードの画像

図1: 開発者コミュニティでは、オープンソースプロジェクト向けのコードを探して共有するためのプラットフォームが提供されています。

ユーザーインターフェースの選択肢

接続の反対側には、ユーザーインターフェースが必要です。ロボティックアームや電動プローブなどの装置には、前方/後方、左/右、時計回り/反時計回りといった基本的な動作以外にも制御が必要になる場合があります。

スマートフォンアプリ?

メインのユーザーインターフェースコントローラとして、スマートフォンを利用する方法があります。これは、室内の暖房/照明システム、セキュリティ機器、ドローンなどのスマートな「モノ」を消費者が操作する必要があるケースで、広く採用されている方法です。スマートフォンには、高解像度のカラー表示を使用した魅力的な計器や、高度なマルチタッチ機能、セルラー、Wi-Fi®、Bluetooth®を含む多様なコネクティビティなど、数多くの強みがあります。いつでもどこでも使えて、新製品向けに設計されたアプリを読み込むだけで、簡単に適切なコントローラに変わります。

しかし、カスタムアプリの開発はコストと時間がかかるだけでなく、開発チームが持つ主要スキルセットの範囲外である場合があります。

Google PlayストアからダウンロードできるAndroidアプリには、スマートフォンを使用して、Bluetooth経由でArduinoベースのロボットを操作できるものがいくつかあります。これらのアプリでは、ダウンロード可能ですぐに使えるユーザーインターフェースを無料または低コストで取り揃えていますが、その多くはラジコン式の玩具と見なされており、エンドアプリケーションとしては最適なルックアンドフィールではない場合があります。これとは対照的なのが、プロフェッショナルな外観を持つプレーングラフィックを提供するArduino BT Joystickや、個々のつまみ、ボタン、スライダを自由に設定できるRemoteXYなどです。

ハードウェアのユーザー入力モジュールを使用した開発

カスタムコントロールパネルを表示し、ハードウェアおよび機械に関する設計課題を簡略化するために役立つモジュールが幅広く提供されています。これらには、さまざまな方法で組み合わせたジョイスティックや押ボタンが含まれ、いろいろな方向の動きを制御するのに最適です。また、多様な方式で簡単にマイクロコントローラボードに接続できます。さらには、無線モジュールの追加オプションを使用して、ワイヤレスリモートコントロールを実装し、スマートフォンと同等の利便性を実現することができます。

SparkFun COM-09032 Thumb Joystickは、前方/後方および左/右の動作をアナログ電圧へと変換し、ジョイスティックの向きとは別に「セレクト」入力として使用できる押ボタンを内蔵しています。専用のブレークアウトボードが付属しており、電源、グランド、XおよびY出力電圧、セレクトボタンステータスという5つの配線のみでホストに接続できます。また、ジョイスティックから読み取った入力電圧を、デジタル値としてシリアル出力に提供するサンプルコードが提供されています(図2)。

SparkFunジョイスティックから値を読み取るArduinoサンプルコードの画像

図2: SparkFunジョイスティックから値を読み取るArduinoサンプルコード

その他のハードウェアエコシステムとの接続

ジョイスティックモジュールは、このほかにも数社のメーカーから提供されており、図2のサンプルのようなソフトウェアを使用して簡単にArduinoボードに接続できます。別の方法として、その他のハードウェアエコシステムを接続すると、さらに幅広い選択肢が得られます。たとえば、MaximのMAXREFDES72アダプタを使用すると、Arduinoユーザーは、PMod™エコシステムの周辺機器モジュールをプロジェクトに接続することができます。開発者はこの便利なPModインターフェースを使用して、DigilentJSTK2 PMod™ジョイスティックモジュールだけでなく、ユーザー操作用に4つのスイッチを搭載したDigilentのPmodBTN押ボタンスイッチモジュールや、16ボタンのキーパッドなど、数々の多様なモジュールにアクセスすることができます。

オールインワン制御ボード

ゲーマーなら誰でも知っていることですが、ジョイスティックと押ボタンは、考えられるさまざまなユーザー入力を制御することに定評のある組み合わせです。ジョイスティックと押ボタンが並んで配置された標準的なゲームコントローラのレイアウトと機能は、直感的に使えるうえに、ガントリー、ロボティックアーム、グリッパを含む機械装置の移動、位置決め、作動などのコマンドに最適です。

ジョイスティックと色分けされた4つの押ボタンを搭載したDFRobotDFR0008は、完全に組み立てられたモジュールで、XBee無線モジュールに追加ヘッダを提供します。開発者はDFR008を利用することで、XBeeエコシステムの利点を活用し、市販の広範なXBeeモジュールから選んだワイヤレスコネクティビティを簡単に追加することができます。たとえば、DigiXB24-API-001 IEEE 802.15.4 2.4GHz無線ボードや、ヨーロッパでのライセンスフリー使用に適したXB8-DMUS-002サブGHz 868MHzモジュールが含まれます。

ArduinoプロジェクトでXBeeのワイヤレスコネクティビティを試してみたいと考える開発者向けに提供される、DigiKeyのXBee/Arduino Educational Packには、Arduinoマイクロコントローラボード、お好みのXBeeモジュール、押ボタン、ジョイスティックモジュールが含まれており、各種のユーザーインターフェースの構築に最適です。また、XBeeユーザーは、開発に役立つソフトウェアツールやサンプルコードを含む開発リソースを使用できます。

GUIの選択をオープンに

オープンソースエコシステムでは、開発者が自由に、自身のテクニカルスキルを高い水準で活用することができます。たとえば、抵抗性タッチスクリーン搭載の4D SystemsのULCD-32PTU-AR 3.2インチ、カラーTFTなどのモジュールを使用すると、独自の埋め込み式グラフィカルユーザーインターフェースを開発できます。このパックには、標準ヘッダ経由でArduinoボードに接続するアダプタと、このアダプタをディスプレイに接続するケーブルが付属しています。Arduinoヘッダには、無線モジュールなどのその他のArduinoシールドを自由にスタックできます。グラフィカルユーザーインターフェースの開発を簡略化するためのツールセットがいくつか提供されています。これらには、コード開発用のエントリレベル環境、マウスを使用したオブジェクト配置でコード生成を支援するViSiグラフィカル設計ツール、高度なViSi-Genie環境が含まれています。ViSi-Genieでは、ユーザーがオブジェクトを配置し、オブジェクト駆動イベントを設定するだけで、コードが自動的に生成されます。

まとめ

メーカー領域でプロジェクトを成功させるための道は数多くあります。困難な課題を乗り越え、ターゲットハードウェアでソフトウェアを実行させるために役立つ、多くのサンプルとキットが提供されています。

動作の制御と作動を扱うユーザー入力デバイスは、Bluetooth経由でスマートフォンアプリに接続して設定できますが、個別モジュールとしてのハードウェアまたは完全一体型のジョイスティック/スイッチシールドを使用して構成することもできます。また、PModやXBeeなどのエコシステムが提供する入力デバイスまたはワイヤレスモジュールを活用することでも、プロジェクトを成功へ導くことができるでしょう。各モジュールは手頃な価格で提供されており、オープンソースコミュニティ内のノウハウとコードを利用すれば、簡単に統合できます。

 
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