TRAILAR - 運輸業界へのソーラーエネルギーの活用
英国のスタートアップ企業TRAILARは、商用車向けにソーラーマットキットを提供しており、運輸をより環境に配慮したものにすることで、燃料消費とCO2排出を抑えることを目指しています。
ソーラーマットはトラックエンジンの動力源としてではなく、テールリフトやエアコンなど、車両の補助的な機能の動力源として利用されます。これらは通常、車両のバッテリで駆動します。TRAILARによれば、ソーラーマットの購入者は燃料の節約によって2年足らずで経済的に元が取れるとのことです。しかもこの計算には、節約されたメンテナンスコストやバッテリ寿命の延長は含まれていません。
TRAILARのシステムを支えているのが、SOURIAUのUTSシリーズ コネクタです。このコネクタは堅牢なIP69K防水仕様のプラスチック製で、過酷な環境に特化して設計されています。
トレーラー上部に取り付けられたソーラーマットは、テールリフト、エアコンなどの機能の動力源となり、トラックエンジンのバッテリ負荷を軽減し、燃料を節約します。(画像提供:SOURIAU)
TRAILARの共同創業者、アーロン・トーマス氏は、UTSシリーズを最適なコネクタとして選択した理由について、次のように説明しています。
SOURIAUコネクタが使用され、そのコネクタがTRAILARソーラーマットで使用されているのがわかるジャンクションボックス(画像提供:SOURIAU)
「当初は、弊社のニーズに最も相応しいハイエンドで高品質のプレミアムコネクタを探していました。2、3社に問い合わせましたが、マーク・リチャードソン氏(SOURIAU UKのフィールドセールスエンジニア)に連絡を取ったところ、彼のプロ意識、豊富な製品知識、そして相談にも快く応じてくれる姿勢に触れて、第一印象だけで、これは仕事上、良い関係を築くことができると感じたのです。
UTSコネクタを選択した理由と、UTSコネクタが弊社のニーズを最も満たした理由は複数あります。弊社は次のようなコネクタが必要でした。
a.運輸業界での使用に耐え、どのような天候でさまざまな振動を受けても機能に支障が出ない堅牢なコネクタ
b.弊社のエンクロージャと相補的なIP定格68/69の高度な防塵防水仕様のコネクタ
c.3~15Aのさまざまな電流範囲で性能を維持するコネクタ製品シリーズ
d.リール式圧着によりワイヤ終端処理を自動化できることで、生産のスピードアップにつながるコネクタ製品シリーズ。
製品開発を続けているところですが、今後の製品化が非常に楽しみです。この10か月で築き上げたSOURIAUとの関係、そして、その間のSOURIAUからのサポートを考えると、今後も両社は協業していくことになるでしょう」
TRAILARのストーリー
TRAILARはドイツの運輸企業DHLのイノベーションプログラムから生まれ、DHLがスポンサーとなり事業に乗り出しました。同社の共同創業者、アーロン・トーマスとデニー・ヒュームの両氏は、地方に建造されているソーラーファームにヒントを得て、太陽エネルギーをトラックの冷蔵ユニットの電源として使用することを思いつきました。
製品化に至る最大の課題は、運輸に適したタイプのソーラーパネルを開発することでした。なぜなら、従来の据え置き型のソーラーパネルは重すぎて壊れやすかったからです。TRAILARの柔軟なソーラーマットは、振動や衝撃、過酷な天候など、道路運送の状況に完全に適応します。TRAILARは1年で従業員数を3名から30名に増やし、英国、ドイツ、タイ、南アフリカ、シンガポールの顧客にソーラーキットを納入しており、2020年には北中南米市場への参入も視野に入れています。
同社は製品ラインナップの拡大も検討しており、バスやごみ収集トラックなど各種の車両にもソーラーマットを装備し、さらに車両で収集された地理情報やエネルギー消費などのデータを提供することでビジネスモデルを拡充させようとしています。
独自の技術
TRAILARのソーラーマット製品を手にする同社の共同創業者(画像提供:SOURIAU)
TRAILARは、ヘビーデューティな運輸業界の要件を満たし、柔軟性も備えた高度な設計のソーラーマット技術で特許を取得しています。
- 18%の効率
- 1m²あたり2kgの軽量性
- 薄さ3mmの空気力学的設計
- 優れた遮光性能
- 飛散防止と耐久性
- CIGS(セレン化銅インジウムガリウム)
また、ソーラーマットに接続する電源システムの管理用にTRAILARスマート充電コントローラを開発しました。
- 運輸に特化した設計
- 卓越した電力変換効率
- 電力管理システム
- リアルタイムのデータ表示
- GPS追跡
- IP定格のケーシング
発足からわずか2年のTRAILARは、技術関連のスタートアップ企業がいかに短期間で産業界にインパクトを与えるかを示す代表的な事例です。同社の実績からは、イノベーションには必ずしも画期的な技術開発が必要なわけではなく、ときとして既存の技術を新たな用途に応用してもイノベーションが生まれることが分かります。
エンジニアリングの視点からは、設計の初期段階からコネクタについて考慮することが重要、と言えるでしょう。なぜなら、そうすることで多くのトラブルを封じ込められるからです。
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