ソーラーパワーと電池のギャップを埋める

2016年、ソーラーインパルス2号機が太陽光発電航空機としては初めて、世界一周飛行を成し遂げ、新しい歴史を築きました。時速48~96km(30~60マイル)で飛行するこの航空機は世界一周に16か月を要しましたが、実際の飛行時間はかなり少ないものでした。この単座航空機は、日中は電池充電のために8,800m(29,000フィート)前後まで上昇し、夜間は電池電源節約のために1,500m(5000フィート)前後をゆっくりと滑空します。ソーラーインパルス2号機は17,000個の太陽電池を搭載し、その翼長はボーイング747の翼長を超えていました。これらの電池は、機体重量の約4分の1を占めていました。1

商用のソーラー航空機となるとまだまだ先の話でしょうが、ソーラーパワー自体は、産業用、商用、および住宅用アプリケーションとして使用されることが多くなっており、ソーラーパネルを電池に接続するために設計された電源管理集積回路(PMIC)の必要性が高まっています。簡単な方法としては、従来的には「ダイオードを介してソーラーパネルに電池を接続すること」です。2 この方法は、主として非常に狭い電圧帯域を扱うので多くの制限があります。太陽光発電では、日の出から日没まで、あるいは晴れた日から曇りの日までと、電力が大きく変動します。一口にダイオードはこれに対応しないと言っても、実態はさまざまです。パワーレベルが増加したり、ダイオードの能力を超えて負荷が増加したりすると、システムが破滅的な故障に陥る危険性があります。

良くできたソリューションがここにあります。Power by Linear™/Analog Devicesでは、特に電池の充電とメンテナンスに関して、太陽光発電を補完する幅広い製品を提供しています。「LTC4015は、鉛酸、Liイオン、LiFePO4など、さまざまな電池タイプに対応する能力を持った汎用同期整流式降圧チャージャです」。3

LTC4015は、入力電圧、入力電流、電池充電電圧、電池充電電流を調整できるコントローラで、太陽光発電アプリケーションに使用されるバッテリストレージソリューションに最適です。これらの機能の実現には、MPPT(Maximum Power Point Tracking=最大電力点追従)アルゴリズムが使用されています。このMPPTアルゴリズムにより、システムは複数のピーク電力レベルを区別できるのですが、これはさまざまな電力レベルが生成される太陽光発電に理想的です。LTC4015は最大35Vまでの電圧入力を処理できます。大半の太陽電池パネルはピーク出力電圧が17Vであり、充電入力電圧範囲は4.5V~35Vです。

LTC4015は、幅広い入力範囲、電池充電、および太陽光などの電源からの負荷サポートを必要とする電池電源ソリューションに最適な、マルチケミストリ降圧コントローラ/チャージャです。

ソーラーインパルス2はかなりの成果を達成しましたが、ソーラーインパルス3は出て来るでしょうか?

 

リファレンス:

1 - ソーラープレーンが世界一周飛行を達成し、新たな歴史を開拓。https://www.theguardian.com/environment/2016/jul/26/solar-impulse-plane-makes-history-completing-round-the-world-trip

2 - ソーラーパネル出力を最大化する技術。http://www.analog.com/en/technical-articles/techniques-to-maximize-solar-panel-power-output.html

3 - ソーラーパネルのMPPT(最大電力点追従)をサポートするマルチケミストリバッテリチャージャhttp://www.analog.com/media/en/technical-documentation/lt-journal-article/LTJournal-V27N1-04-di-LTC4015-TrevorBarcelo.pdf

著者について

Image of Stephen Wegscheid DigiKeyの半導体製品担当シニアプロダクトマネージャであるStephen Wegscheid氏は、アナログ/リニアエレクトロニクス、コネクティビティ製品、シングルボードコンピュータを専門としています。彼はベミジ州立大学で理学修士号を取得しており、25年以上の設計、製造、流通の経験があります。さらに、彼は米国特許の所有者でもあります。
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