多機能MMIC:次世代アプリケーション向けのサイズ、重量、電力、コストの統合
競争の激しい今日の市場では、新しいプロジェクトのほとんどがエンジニアリングの勝利になりえます。システム設計者は、同じまたはより低コストの市場に対応しながら、より小さなパッケージでより多くの機能を提供することを求め続けます。多機能モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)は、以前の単機能MMICと同じ信頼性と性能を提供する、手頃な高集積ユニットを顧客に提供するために設計されました。エンジニアは、システム設計者のプリント回路基板(PCB)にスペースをもたらす高度に統合された部品に機能を強化するために、MMICの進化を促進しています。この潮流はすぐには解消されません。顧客は引き続き最適なサイズ、重量、および電力(SWaP)を要求し、システムエンジニアや設計チームはそのために完璧なソリューションを見つける挑戦を続けます。
変化の原動力は何でしょうか?
このような要求によって、単一機能のMMICが使われなくなることはありません。これらはまだ、全体的に数多くのアプリケーションに対応しており、概念実証には最適です。ただし、レーダーや商用5Gなど、今日のアプリケーションの多くはサイズの制約に直面しています。たとえば、28GHzのフェーズドアレイのアンテナ素子のピッチはわずか5mmで、複数の集積回路(IC)のためのスペースはありません。より高い周波数の必要性は、PCB上の面積が不足するので多機能統合が必須になってきます。
PCB上の4つの単機能MMICと1つの多機能MMICを見比べてください。単機能ICを使用すると、パッケージ化と外付けデカップリングのオーバーヘッドにより、ソリューションサイズが根本的に制限されます。パッケージ内では、アクティブデバイスが占めるスペースの割合はわずかで、残りはパッケージの内外に接続される付加的なものです。今日のテクノロジは、世代ごとにそのサイズと性能を継続的に向上させることが求められます。多機能MMICは、PCB上の余分なスペースを空ける機会を提供し、顧客のアプリケーションを実現するために、さまざまなパッケージに簡単に収まるように小型化されます。これにより、より小さなパッケージでより多くのバリエーションが可能になり、最終的に顧客に対してより多くの開発機会が提供されます。
多機能MMICは、外見的には一世代前の単機能MMICと同じように見えます。この単一の「チップ」は、前世代のMMICと同じ目的で顧客に機能を提供しますが、各「チップ」が提供できる機能の量が異なります(図1)。スペースの増加は、より高精度な機能の製品につながります。
図1:多機能MMIC(右)は、複数の単機能MMIC(左)よりも基板スペースが少なくて済みます。(画像提供:MACOM Technology Solutions)
統合により、PCB上の寄生損失が減少します。これにより、過剰なゲインの必要性が減り、システム全体の消費電力が削減されます。ダイパッケージングのコストが削減され、インターフェースの数が減ることで、機械的および熱的信頼性(多くの場合、総所有コストを左右する)が大幅に改善されます。顧客が基板にさまざまな機能、あるいはより多くの面積を必要とする場合、新しい世代のMMICが理想的です。
総所有コストを下げる
業界全体で企業は多機能MMICに移行しており、顧客はサプライヤを慎重に選ぶ必要があります。新しいレベルの統合により、顧客のコストが削減されます。ただし、機能とパフォーマンスを識別するには、差別化されたプロセスが必要になります。
すべての半導体市場に共通する傾向に倣えば、統合はスケールを生み出し、スケールはコスト削減をもたらします。組み立てやテストなどの半導体以外のコストは、多くの場合、労働集約的で時間がかかるため、製造されるディスクリート部品の数に比例して増減します。インターフェースの数を減らすと、組み立ての工程数が減り、故障点の数も減るので、歩留まりが向上し、必要なテストベクトルが減少します。さらに、インターフェースが多機能MMICの内部にあるため、顧客のテスト負担がさらに低減されます。また、パッケージングのほうがコスト効率が良くなります。1つのパッケージに4つの機能を入れると、4つの別々のパッケージに分割するよりもコストが約4分の1で済みます。そしてまた、簡素化されたパッケージにより、熱特性が向上し、ヒートシンクの要件が緩和されるため、全体の重量も軽くなります。
キーとなる性能目標によっては、多機能MMIC内で最適な機能を実現するために差別化されたプロセスが必要になる場合があります。その結果、豊富で多様な技術ポートフォリオを持つ半導体企業は、システム設計者に最も説得力のあるソリューションを提供するのに最も優位な立場にあると言えます。システム設計者は、目的とする性能を実現するために、成熟した適格なバリアントを提供できるベンダーから恩恵を受けることになるでしょう。

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