設計のコネクティビティオプションを絞り込む方法

コネクティビティは、コスト、消費電力、サイズ、可用性とともに、概要設計を行う際に考慮しなければならない特性として挙げられます。腕時計、サーモスタット、トースターなど、ほとんどのデバイスは、外部との接続によって「低機能」から「スマート」に変化し、より良いものになるようです。ところが、そのような接続を行う方法は多種多様であり、最適なソリューションを選択するのは容易ではありません。

コネクティビティソリューションの選択は通常、通信距離、スループット、消費電力など技術的な性能要因に基づいて行いますが、設計者はその選択を絞り込む前にまず、以下の3つの基本的な質問に答える必要があります。

  • 接続は有線か無線か?
  • 標準技術とプロプライエタリ技術のどちらを使用するか?
  • どのようなネットワークトポロジをサポートする必要があるか?

有線か無線か?

無線接続(ワイヤレスコネクティビティ)の利便性とモビリティという利点はよく知られていますが、その優れた利点のために設計者が欠点に目をつぶってしまうことがあります。たとえば、無線接続(ワイヤレスリンク)は不変の物理法則に従わなければならないため、消費電力、通信距離、スループットの間で優先順位を付けなければなりません。また、RFシグナルは壁、天井、家具、人などの物体によってかなり減衰します。さらに、同じ周波数に割り込んでくる他の無線シグナルから干渉されると、無線接続の性能はすぐに低下して、仕様書の影が薄くなってしまいます。

図1:PoEハブはデータだけでなく電力も供給できる利点があります。(画像提供:Netgear)

有線接続は、このような課題の多くに対応します。シグナルの完全性とスループットは一般に外部からの干渉を受けにくく、通信距離は、ケーブルの長さによって制限されるものの、一定です。また、一定の消費電力であれば、有線接続は無線接続の同等品よりもスループットが大幅に高いことになります。有線のシステム(例:Power over Ethernet(PoE)やUSBには、データだけでなく電力も供給できる利点があります(図1)。

有線接続の主な欠点は、インフラを設置するためのコストと面倒、複雑性の増加、アップグレードの実行しづらさです。また、有線ネットワークの拡張には、ケーブルやコネクタの増設が必要であり、大きな混乱を伴います。

有線接続と無線接続のどちらを選択するかは、スループット、シグナルの完全性、信頼性、モビリティ、スケーラビリティ、コストのいずれを優先するかによって基本的に決まります。

標準かプロプライエタリか?

市場には、非常に優れたプロプライエタリのコネクティビティソリューションが数多く存在します。そのようなソリューションには、特定ベンダーからライセンス供与されるものでありながら、ほぼ標準として受け入れられているほど広く使われているものもあります。プロプライエタリのコネクティビティソリューションは通常、標準の代替品よりもはるかに迅速に市場に投入されます。プロプライエタリソリューションは、消費電力、スループット、メッシュのサポートなど、少数の重要パラメータだけを満たすように設計されるのが一般的で、標準ベースの技術につきものの、トレードオフが避けられない「フリーサイズ」のアプローチを目指すわけではありません。

プロプライエタリ技術の更新や強化は、「委員会による設計」の影響を受けにくいため、より頻繁に行われる傾向があります。また、設計者が同じプロプライエタリのコネクティビティソリューションだけを使ってデバイスに接続することを意図している場合には、その技術はほとんど問題なく動作することが保証されます。プロプライエタリ接続では、1社のベンダーとだけ提携していれば、接続が万一不安定になった場合でも、問題解決が容易になります。最後に、プロプライエタリな接続はハッカーの目に留まりにくいため、セキュリティ侵害を被る可能性が低く、また、万が一攻撃があった場合でも、ベンダーは通常、迅速に問題に対処できます。

標準ベースのソリューションの主な利点は、OEMが消耗品としての部品を選択できる、競争の激しいマルチベンダー環境から得られるものです。また、マルチベンダー環境は宣言効果があります。このため、コネクティビティソリューションは、大衆にさらに浸透するので、通常、最終製品ベンダーにとってより収益性の高い市場部門となります。

また、標準ベースのコネクティビティソリューションは、そのコネクティビティ技術を採用するどのサプライヤの最終製品同士でも、相互運用性やコネクティビティを保証します(「相互運用可能な」デバイスがうまく運用できないケースも実際には珍しくないので、「保証されている」と言うよりも、「ほぼ確実」とだけ言えるでしょう)。これは消費者にとって良いことであり、市場による受容をさらに加速させるものです。

サポートするネットワークトポロジ

どのコネクティビティ技術を選択するかは、満たす必要があるネットワークトポロジによっても左右されます。ほとんどのソリューションでは、接続された2つのデバイスが直接通信を行うピアツーピア接続に対応しており、一方が中央のデバイス、他方が周辺デバイスとして機能することができます。

中央のデバイスが複数の周辺デバイスと接続し、より高い柔軟性を提供する「スター型」ネットワークは最も複雑であり、どのコネクティビティ技術でもサポートできるわけではありません。スター型ネットワークの例としては、Bluetooth無線LAN(スマートフォンをハブとし、ワイヤレススピーカ、ウェアラブル、アクションカメラ、気象計などを接続)やUSBハブ(PC、カメラ、ポータブルハードディスク、プリンタなどを有線で接続)があります。この配置では、ハブに接続されたデバイス同士は直接接続できず、通信は常にハブを介して行われます。

図2:Bluetooth LEを搭載した無線メッシュネットワークは、スマート照明に冗長性、セキュリティ、および信頼性をもたらします。(画像提供:Signify)

スター型ネットワークの派生型として、「ツリー型」ネットワークがあります。このネットワークでは、周辺デバイスが複数のハブデバイスのいずれかに接続され、それらのハブデバイス同士が相互接続されます。

メッシュネットワークは、特定のコネクティビティソリューションでしかサポートできない複雑性(特にネットワークが大きくなった場合)という代償を払ってではありますが、より高いレベルの柔軟性をもたらします。メッシュ配置では、デバイスがノードを形成し、他のすべてのノードと直接接続されます。つまり、任意の2つのノード間の通信を実現できます。メッシュネットワークは、冗長性(故障したノードを簡単にバイパスできる)、セキュリティ、信頼性などの面で大きなメリットがあります。

有線メッシュネットワークの例としては、Ethernetスイッチで構成されるネットワークがあります。このネットワークはインターネットプロトコル(IP)ルーティングで通信します。無線ネットワークの例としては、Bluetooth LEプロトコルを用いたスマート照明のネットワークがあります(図2)。

まとめ

コネクティビティは、双方向のコミュニケーションを可能にすることで、製品の能力と寿命を飛躍的に向上させます。デバイスは、他のユニットや中央のスーパーバイザと接続して、自身や周囲の状況を報告したり、命令やファームウェアの更新を受信したりすることができます。

しかし、デバイスと外界の接続方法を選択するのは難しいことです。有線または無線の選択、標準またはプロプライエタリの選択、サポートするネットワークトポロジの種類という3つの基本パラメータを考慮することで、接続ソリューションを選択できます。これらのパラメータを使用して、DigiKeyのカタログに掲載されている主なサプライヤから、選択しやすい候補者リストにまで絞り込みます。

著者について

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スティーブン・キーピング氏はDigiKeyウェブサイトの執筆協力者です。同氏は、英国ボーンマス大学で応用物理学の高等二級技術検定合格証を、ブライトン大学で工学士(優等学位)を取得した後、Eurotherm社とBOC社でエレクトロニクスの製造技術者として7年間のキャリアを積みました。この20年間、同氏はテクノロジー関連のジャーナリスト、編集者、出版者として活躍してきました。2001年にシドニーに移住したのは、1年中ロードバイクやマウンテンバイクを楽しめるようにするためと、『Australian Electronics Engineering』誌の編集者として働くためです。2006年にフリーランスのジャーナリストとなりました。専門分野はRF、LED、電源管理などです。

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