航空宇宙用エレクトロニクスの自己発電へのネオンランプの大きな貢献
その昔、ジョン・ケネディが米国の大統領だった頃、私はエレクトロニクス技術者として航空宇宙用アプリケーション向けの加速度・高度センサを作る仕事をしていました。これらの機器は、原子力電池で自己発電するという独創的なものでした。原子力電池の中心的原理は、クリプトンの放射性同位体であるクリプトン85(Kr85)から放出されるベータ粒子(電子)を捕獲することです。さすがに、使える電力は1ミリワットの単位でした。実際、この電池は約600ピコアンペア(pA)の定電流を発生させることになります。これらの機器に使われた能動素子(部品)は、割と一般的なネオンランプ(ネオン管)でした(現在でいえば、Interlightから発売されている昔日のNE2ランプ風のWX-EGA2-0(図1)のようなものです)。
図1:昔のネオンランプNE-2の現在の姿は、InterlightのWX-EGA2-0であり、これは航空宇宙用の自己発電式安全装置の電圧感応アクティブスイッチとして使用されているネオンランプに近いものです。(画像提供:Interlight)
より新しい素子としては、Lumex Optical Components Inc.のGT-NE4H1125TやGT-NG6H1825Tがあります。
ネオンランプは電圧に敏感な素子です。低い印加電圧では、ほとんど電流が流れず、実質的にオフの状態となります。ネオンランプはこのモードではやや光と静電気に弱くなるため、金属製のシールドで囲われています。印加電圧が高くなると、ランプ内のガスがイオン化し、ランプに流れる電流が急増し、光り始めます。このとき、ランプにかかる電圧はほぼ一定に保たれます。電流を制限しないと、ランプの電極間でアークが発生し、電流が急増し、ランプ素子がオン状態になります。このような特性から、ネオンランプはスイッチや電圧レギュレータとして使用することができます。
この仕組みを説明するために、高度感応型アクチュエータを例として取り上げてみましょう(図2)。
図2:ネオンランプを能動素子として使用できる自己発電(原子力電池)式高度感応型アクチュエータ(画像提供:Art Pini)
原子力電池は、Kr85を充填したガラスアンプルです。充填管は銅製で、電池の陽極になっています。アンプルの外側には、電気メッキされた半球状の銅ジャケットが2つあります。これらは二重陰極素子となります。低い高度の空気が陰極間の隙間を埋めるので、Kr85からの放射により空気がイオン化され、両半球が実質的につながります。コンデンサC1、C2は、原子力電池によって充電されます。
ネオンランプは、かつて冷陰極ガスダイオードと呼ばれ、いくつかの使用目的がありました。D3は、直列抵抗R2と一体で電圧レギュレータを構成し、C1、C2の電圧を一定に保ちます。高度が高くなると、ギャップ内の気圧が下がり、ギャップは非導電になります。このとき、電圧レギュレータはC1から切り離されます。電圧レギュレータが回路から外れることで、バッテリの定電流出力により、C1からインダクタL1への電圧が増加します。これによるパルスがダイオードD2のシールドに印加され、導通します。これにより、C2に蓄積された電荷が出力端子に捨てられます。この出力は必要に応じて爆発物に点火したり、リレーに通電したりすることができます。つまり、ネオンランプは電圧レギュレータとアクティブスイッチとして動作するわけです。
このような超低消費電力の素子を作り、試験することは非常に難しいことです。組立室や試験室は、清潔で乾燥した状態でなければなりません。すべての表面をアルコールで清掃する必要があります。指紋は短絡回路になってしまいます。コンデンサは、テフロンまたはガラスの誘電体を使用してカスタムメイドされたものであり、1015オーム(Ω)の最小絶縁抵抗を持っています。主な測定機器は、静電電圧計と電位差計です。
また、封入前の素子試験の大部分が暗室の赤い照明の下で行われたことも、申し添えさせていただきます。
まとめ
ご説明してきたように、コンセントタップで見かける地味なネオンランプは、見かけ以上に大きな能力を発揮します。また、電圧レギュレータや故障診断スイッチとしても使用できるので、特に超低電力を必要とするアプリケーションで役立ちます。

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