ステンレス鋼製シェルを使用して過酷な環境下でコネクタを保護
産業環境と海洋環境は、電子システム設計者にとって最も困難な環境です。産業用およびファクトリオートメーションは、熱、湿気、粉塵、衝撃、振動、ウォータージェット、消毒用化学薬品などにさらされます。海洋環境も同様の問題を多く抱えていますが、塩水噴霧や強い日光というさらなる課題があります。環境に関わらず、電子ネクタは、信頼性と安全性を確保するため、十分に保護されなければなりません。
コネクタハウジングは、密閉とロックを可能にする重要な最初の防御ラインです。ハウジングは、湿気、水、粉塵、機械的衝撃、異物、冷却剤、消毒用化学薬品、油などの外的影響から接続部を保護します。また、電磁妨害(EMI)のシールドの役目も果たします。
コネクタシェルの構造と、脆弱なコネクタ内部を保護する仕組みについて確認しましょう。続いて、Hartingのステンレス鋼製フードおよびハウジングHan-INOXファミリのシェルの例を見てみましょう。
コネクタの構造
頑丈なコネクタセットは、信号、電源、またはその両方を接続します(図1)。コネクタ内部では、オスとメス両方のインサートが、対応する回路と嵌合するコンタクトを保持しています。水やその他の導電性液体、さらには浮遊微粒子を含む高湿度環境は、絶縁層を短絡させ損傷を引き起こす可能性があります。ここでコネクタシェルが重要な役割を果たします。
図1:標準的な多芯コネクタの構成要素を示します。(画像提供:Harting)
コネクタシェルには通常、可動部(ワイヤ接続部)を覆うフードと、ワイヤを保持し張力を緩和するケーブルクランプが備えられています。ケーブルクランプには、シングルまたはマルチシールを備えたグランドが採用されており、ケーブルの接続口を粉塵や液体から保護します。ハウジングは固定部分であり、通常はバルクヘッドやパネルにハードマウントされます。ケーブル間接続の場合、シェルは上部と下部のフードで構成されることがあります。過酷な環境下での使用を想定して設計されたコネクタフードとハウジングは、ステンレス鋼で製造されます。ステンレス鋼は機械的に堅牢な材料であり、化学薬品、塩水、腐食に耐性があるため、過酷な環境下でも長寿命を実現します。
オスとメスのインサート(関連するコンタクトを含む)は、フードとハウジングに組み込まれます。シェルには、衝撃や振動が加わっても両エレメントを確実に固定するためのロック機構を備えています。フッ素ゴム製シールが、フードとハウジングおよびハウジングと取り付け面を結合します。これらの全天候型シールは、耐熱性、耐オゾン性、および多くの化学薬品に対する高い耐性など、優れた特性を備えてます。
シールの品質評価
コネクタのシールの品質は、保護等級(IP)定格によって決定されます。IP定格は2桁の数字で表されます。最初の数値は、塵や砂などの固体粒子に対する保護レベルを示し、0から6までの範囲で、0は保護なし、6は完全な保護を意味します。2番目の数字は、水に対する保護レベルを示します。このスケールは0から9までの範囲で、0は保護なし、9は高圧スチームジェットクリーナによる水からの保護を意味します。IP65の定格は、あらゆる方向からホースで噴射される水に耐えることができる防水コネクタを表します。IP67の定格は、一時的な水没に耐えることができる防水コネクタを表します。
ステンレス鋼製コネクタシェルの例
コネクタシェルはコンタクトインサートに適合するように設計されています。たとえば、Hartingの19440031750(図2)は、ケーブル対ケーブル接続用ステンレス鋼カップリングフードです。
図2:19440031750ステンレス鋼カップリングフードは、ケーブル対ケーブル接続用途向けに設計されています。(画像提供:Harting)
本フードは、Hartingの3Aコンタクトインサートに適合するサイズで、表面はマット仕上げで、シングルレバー式中央位置ロッキングクリップが装着されています。インサートとシールを装着し嵌合した状態では、IP67の保護等級を有します。
嵌合用19440031440フード(図 3)には、カップリング側のロッキングクリップに結合するロッキングスタッドがあります。
図3:19440031440フードは互換性のあるシングルレバーカップリングフードとロックします。(画像提供:Harting)
両シェルには、ケーブルクランプとケーブルグランドを取り付けるためのネジ穴(この場合は上部に)が設けられています。ロッキングスタッドシェルには、代替となるサイドエントリポート仕様も用意されています。
より大型のB24シリーズのコンタクトインサートに対応するために、設計者は19440240427(図4)を選択できます。このフードはまた、トップエントリポートと2か所のロッキングスタッドも備えています。
図4:19440240427フードはB24コンタクトインサートに対応し、防塵および防水性能を有します。(画像提供:Harting)
19440240427コネクタフードは、サイドエントリポート仕様も用意され、IP65定格を取得しています。
19440240427に対応するB24ボックスまたはバルクヘッド取付けベースは、19440240301です(図 5)。
図5:B24互換の19440240301ベースは、デュアルロッキング機構を採用し、IP65定格です。(画像提供:Harting)
IP65定格を共有し、嵌合したフードを保持するデュアルロッキングレバー機構を備えています。ベース本体と同様、ロッキングレバーもステンレス鋼製です。
19440160527(図6)は、B16コンタクトインサートを収納するサイドエントリフードの一例です。IP65定格の防塵防水性能を有し、デュアルロッキング機構も備えています。
図6:B16互換の19440160527フードは、サイドエントリポートを備え、デュアルロッキング機構を採用しています。(画像提供:Harting)
19440160527用の互換B16ベースは、19440160301(図 7)パネルまたはバルクヘッド取付けベースです。このベースは、底部インサート挿入口を備え、IP65定格に適合しています。
図7:19440160301 B16ベースもデュアルロッキングレバーを採用しています。(画像提供:Harting)
まとめ
産業用途から船舶用途まで、設計者は電気接続の安全性と信頼性を保証する必要があります。Harting Han-INOXステンレス鋼製コネクタシェルは、最も過酷な動作環境において、機械的衝撃、粉塵、水、腐食性化学物質からコネクタを保護します。
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