2024年にサプライチェーンで成功するための4つの決意
今年は荒れたスタートでした。ニュースのヘッドラインでは、移り変わる政治情勢、多くの紛争、数々の潜在的・現実的な自然災害が伝えられています。半導体供給の変化とトレンドに関しては、この1年が困難でダイナミックな年になるであろうことは容易に予測できます。それと同時に、人工知能(AI)、産業用モノのインターネット(IIoT)、その他のスマート技術における技術的進歩により、時代を先取りし続ける方法が提供されています。
豊かな成長
多くの人と同様に、私も電子部品は力強い成長を当面続けると予想しています。世界の電子部品市場は、2022年に1,863億8,000万ドルと評価されました1。2031年までには3,285億ドルに上昇すると予測されており、これは毎年6.5%の成長率です。
米国でも、能動電子部品の需要増とコネクテッドデバイスの普及に牽引され、同様の成長率が見込まれています(図1)。この期待は、半導体製造工場の建設に対する米国の投資と一致しています。
図1:多くのセクターにわたる能動電子部品への需要とコネクテッドデバイスの普及が、エレクトロニクスの成長を牽引している要因の一部となっています。収益の大部分を占めるのは半導体です。(画像提供:Grandview Research)
こうした成長期待は、それだけで楽観的な見方の根拠となります。電子部品セクターの大部分は、世界経済のほぼすべてを余裕で上回っています。その成長を取り込むためには、関係者全員が業界と市場の変化に歩調を合わせる必要があります。
戦争とエレクトロニクス
今年は、地政学的問題がこれまで以上に重要な年になるかもしれません。世界各地で緊張が高まっており、不安が生じています。さらに、米中間の貿易懸念は今後も続く見込みです。中国との貿易を減らすべきだと言うのは簡単ですが、相互利益のために緊密な結びつきを保つことになるでしょう。メキシコやマレーシアなど、他国で生産される製品であっても、おそらくレアアース鉱物やチップのために引き続き中国に頼ることになります。また、半導体製造に参入する国が増えれば、新たな提携の機会も生まれるでしょう。
今は、サプライチェーンに関する新年の決意を考える絶好の機会です。
その1:サプライチェーンとより深いレベルで連絡を取り合います。自分が誰と連携しているのか、そして相手が誰と連携しているのかを知ることは重要です。米中関係が冷え込む場合は、サプライチェーンのどこに影響が出るかを理解することが重要です。
サプライチェーン攻撃の新たなベクトル
サプライチェーンのさまざまな分野でリスクが高まっています。気候変動、環境・社会・ガバナンス(ESG)に対する圧力の高まり、サイバーセキュリティの危険性の増加により、組織がリスクを測定・管理すべき方法が変化します。Resilincによると、2年前と比べて異常気象が8倍増加しました2。森林火災は26%増加し、竜巻は2023年に前年比108%の増加となりました。ある種の異常気象に対して安全な地域を見つけるのは困難です。
ESGとコンプライアンスの面で、ResilincはFDA/EMA/OSHAのアクションアラートが79%増加したことを確認しました。これは、ESGに関連する法施行や新しい法律が増加しているためと思われます。ドイツのデューデリジェンス法と欧州の企業持続可能性デューデリジェンス指令は、いずれも昨年あたりに採択されました。
一方で、サイバー攻撃は36%増加しました。悪人による悪意ある攻撃は長年問題となってきましたが、サプライチェーンが外部のパートナーや組織とつながる機会が増えることで、新たな脆弱性が生まれる可能性があります。革新的なOEMは、自社のセキュリティ慣行を監視し、主要ベンダーを監査して、パートナーが危険にさらされないために必要なことを確実に行うことを望むでしょう。こうした変化はすべて、サプライチェーンに影響を与える可能性があります。
その2:リスクの定義を拡大します。伝統的なリスク要因を超えて考え、新たな別の方法で出現するリスク要因に目を向けましょう。
在庫超過
ここ数年、市場を悩ませてきた部品不足は、ほぼ過去のものとなりました。しかし、OEMやディストリビュータは、振り子が逆に振れるにつれて、必要以上の製品を抱える可能性があります。金利上昇も、リスク軽減のための在庫買い占めの算段を変化させています。変化するこれらの現実は、供給不足のように見える一時的中断を引き起こしますが、それほど破壊的ではありません。
その3:在庫の変動やビジネスの現実に常に注意を払います。通常のリードタイムと供給体制に戻るときには、短期的な供給不足への警戒が不可欠です。
デジタルサプライチェーン
サプライチェーンにおけるさまざまな変化の中でも、先進技術は前向きな変化を促す重要な原動力となります。KPMGによると、2024年までにサプライチェーン企業の半数が、AIと高度な分析機能をサポートするアプリケーションに投資します3。セクターに応用されている技術の長いリストには、生成AI、データ分析、オートメーション、機械学習、IoT、ブロックチェーンが含まれます。技術を良質なデータのクリーンなソースと組み合わせることで、業務の合理化、リスクの低減、サプライチェーンの透明性と効率の向上を目指す組織に強力な違いをもたらすことができます。
その4:新たな技術でサプライチェーンのパフォーマンスをいかに高められるかを引き続き評価します。2024年の最大の課題は、リスクの増大と視界の欠如に関連すると思われます。技術への戦略的投資により、こうした懸念に対処し、成功の1年につなげることが可能となります。
辰年は、緊張が高まりグローバルな連携が変化する中で、多くの課題が生まれます。とはいえ、半導体の成長は確実視されています。新年の決意をいくつか掲げ、それらを堅持することで、サプライチェーンの回復力を維持して嵐を乗り切ることができるでしょう。
リファレンス
1: https://straitsresearch.com/report/electronic-components-market
3: https://kpmg.com/xx/en/home/insights/2023/12/supply-chain-trends-2024.html

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