圧着工具オプションはほぼあらゆるニーズに対応

いつの日か、おそらく、手先の器用なロボットが、どんな突発的な用途や行き当たりばったりの試作品作成作業であっても、あらゆる電気的接続の課題を克服できるようになるでしょう。それまでは、そして、おそらくその時点をはるかに過ぎても、私たちは、自動化では実現できない高品質な接続を確保するために、手動または電動の圧着工具を扱う人間に頼ることが多いでしょう。

自動化は、大量生産に規模と均一性を適用できる場合に最も効果を発揮し、開発、展開、トレーニング、およびメンテナンスにかかる高額なコストを正当化します。自動圧着システムへの投資に対するROIを期待できない試作品や限定生産など、柔軟性や適応性を必要とする状況では、自動化はあまり効果的ではありません。現場での修理やメンテナンスも、遠い将来まで自動化が実現されない可能性が高い分野です。

圧着は、導体の無はんだ接合および終端処理に欠かせないものです。その起源は、古代の宝飾品製作や金属加工にまで遡ると言われています。現代では、電気および電子用途の拡大に伴い、その採用が急速に広がっています。

もちろん電気工学では、特に小規模な生産では、はんだ付けが今でも利用されています。しかし、一般的に圧着の方がはるかに速く、信頼性が高く、耐振動性のある接続を実現できます。これが、自動車、航空宇宙、家電、電力など幅広い用途で広く普及している理由です。

選択基準

これまでと同様に、適切な圧着工具を選択する際には、用途のニーズが最も重要な決定要素となります。その他の考慮事項としては、予算、予想されるROI、適応性、作業者の生産性などが挙げられます。

現在、多くの種類の圧着工具が入手可能であり、そのほとんどは特定の用途向けに設計されています。また、手動式、バッテリまたはAC電源式、油圧または空気圧エネルギー源を利用するタイプ、ポータブル型から卓上設置型まで、さまざまな形状のものがあります。コストは、手動式の数十ドルから、空気圧式や自動化ソリューションの数千ドルまでさまざまです。

より低価格な手動式圧着工具は、ベンダーがより高度なオプションの価格を正当化できない場合に、明らかな利点となります。しかし、電動工具は大量生産における生産性を向上させ、圧着の品質と一貫性を改善する可能性が高いでしょう。いずれの場合でも、作業者が望ましい圧着結果を得るためには、操作のしやすさと人間工学性が重要です。

あらゆるニーズに応えるクリンパ

ここでは、すべての圧着オプションを網羅することはできませんが、以下に挙げる例は、作業者のニーズを満たすために入手可能なツールの例を示しています。

Klein Toolsは、人気のある多用途のラチェット工具、3005CR(図1)を提供しています。絶縁端子をより銅線に圧着するように設計されており、最も一般的なワイヤゲージに対応する3つのサイドエントリキャビティを備えています。同社は、ラチェットにより「毎回」均一な圧着が確保されるとしています。

図1:3005CRラチェット式圧着工具。(画像提供:Klein Tools, Inc.)

Klein Toolsは、VDV226-110(図2)などのPass-Thruモジュラー圧着工具も提供しています。この圧着工具を使用してツイストペアケーブルを切断およびストリップし、RJ45 CAT5EおよびCAT6 Pass-Thruコネクタのラインに圧着することができます。

図2:Klein Toolsのツイストペア配線のストリップおよび圧着用工具、VDV226-110。(画像提供:Klein Tools, Inc.)

同軸ケーブル用には、Adam Techの圧着ツールキットATHT-K3081(図3)が用意されています。この圧着ツールキットには、ケーブルカッターとストリッパに加え、6つの交換可能なダイが付属したラチェットクリンパが含まれています。このツールセットは持ち運び可能な収納ケースに入っており、さまざまなサイズの同軸ケーブルの切断と圧着に適しています。

図3:Adam Techの同軸ケーブルの切断、ストリップ、圧着用ツールキット、ATHT-K3081。(画像提供:Adam Tech)

コネクタとケーブルアセンブリのメーカーであるMolexは、基本的な手動クリンパであるWM18730-NDから、FA2シリーズ 900-2157860100-ND(図4)などのハイエンドの機械式フィードアプリケータまで、数百種類の圧着工具を提供しています。

図4:Molexは、作業台での使用に適したFA2機械式フィード圧着アプリケータを提供しています。(画像提供:Molex)

ネットワークおよび電気インフラ製品の世界的サプライヤであるPanduitも、圧着工具を幅広く取り揃えているベンダーです。同社のCT-1701は、サイクルが制御された圧着工具で、接続が完全に完了し、均一になるように設計されています。同社のハイエンド製品であるBlackFin® CT-2931/STBT(図5)は、バッテリ駆動の油圧式工具で、12トンの力を発生させることができ、回転式フリップトップ圧着ヘッドを搭載しています。

図5:Panduitの油圧式バッテリ駆動のCT-2931/STBTは、圧着作業に12トンの力を供給できます。(画像提供:Panduit)

もう1つのハイエンドオプションは、Phoenix ContactのCF 1000シリーズ 1208199-ND(図6)です。AC電源で動作する空気圧式のこの工具は、ストリップと圧着を自動化し、1時間当たり最大1,000回の処理が可能です。

図6:Phoenix Contactの1208199-NDストリップおよび圧着ソリューションは、1時間あたり最大1,000回の処理が可能です。(画像提供:Phoenix Contact)

まとめ

前述のように、ほぼあらゆる特定のニーズに対応する圧着工具が存在します。そのニーズが単純なものであれ複雑なものであれ、多くのベンダーが多種多様な圧着用途に対応する工具を提供しています。これにより、製品開発者はコスト、実用性、人間工学性、生産性の適切なバランスを見つける上で、ほぼ無限の柔軟性を確保し、望ましい生産結果を達成することができます。

著者について

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Pete Bartolikはフリーライターで、20年以上にわたってITとOTの問題や製品について研究し、執筆してきました。それ以前は、IT管理専門誌『Computerworld』のニュース編集者、エンドユーザー向け月刊コンピュータ誌の編集長、日刊紙の記者を務めていました。

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