銅シールド編組とESD保護

前回の静電気放電(ESD)に関する私のブログ「ESDで危険な目に遭わないように!」では、見習いエンジニアだった私が、この現象の危険性をいかに思い知ったかをご紹介しました。しかし不運というべきか、最新の電子部品のメーカーならESD対策は万全だと楽観視していたこともあり、次第に油断するようになりました。

そして悲しいことに、私の趣味のプロジェクト「幻想的かつ教育的な予知エンジン」(質問お断り)に対して電光の一撃によるESDの壊滅的な被害が及んだとき、自分の思い違いをまざまざと思い知らされました。この災難を受けて、私の中で帯電防止の対策を講じる方法がすぐさま刷新されたのでした。

その対策の一環として、ACL Staticide6672436のような静電気消散用の大型接地マットを購入しました。また、SCSECWS61M-1コンボのようなコード付きの帯電防止リストストラップを多数購入し、加えてDesco09838ユニットのような接地プラグアダプタも同じ数だけ購入しました。

以前のコラムでも述べましたが、世界中のあらゆる帯電防止パッドやストラップ、接地プラグアダプタの類を入手できても、それらが正しく接地されなければ役に立ちません。また、私が苦労して発見したのは、電源タップのLEDが安心な色の光を放っていても、壁面のコンセント自体の故障には気づかないということです。したがって、Klein ToolsRT210のような電源レセプタクル用テスタにお金をかけることを強くお勧めします。

予知エンジンに話を戻すと、下部キャビネットにあるトグルスイッチ、押ボタンスイッチ、ポテンショメータ、LEDを配線する段階で、もし私がESDの痛い目に遭う前なら、おそらく22AWGの一般的なより線フックアップワイヤを1本ずつ使っていたと思います。しかしESDの一件で年相応に賢くなった私は、Belden8723 060100 22AWGケーブルのような4芯シールドケーブルを使うことにしました(図1)。

図1:予知エンジンの下部キャビネットの配線すべてに、多芯シールドケーブルを使用しています。(画像提供:マックス・マックスフィールド氏)

その結果、2時間ほどで終わると見込んでいた配線作業に何日もかかってしまいました。たとえば、図1の左下を見ると、そこには長さ約1インチのシールドケーブルを何本も使用しています。経験豊富な技術者であれば、この作業をてきぱきと終わらせたことでしょう。

しかしこのケーブルのおかげで、もし私の帯電防止対策を疑う人が現れても、その人の頭を予知エンジンの後側に突っ込んで「危険は冒していない」ことを自分の目で確かめてもらい、安心させればよいわけです。

それから、3M1181 X 1"のような粘着銅テープも1巻購入しました。そして、新しい洒落た帯電防止用リストストラップを身に着け、マイクロコントローラ開発ボードの電源ワイヤと、メータケースの電源ワイヤと信号ワイヤにこのテープを巻き付けました。また、銅箔を接地接続するためのワイヤをどちらにも追加しました(図2)。

図2:予知エンジンの上部キャビネットにあるマイクロコントローラボードへの電源ワイヤと信号ワイヤ、そしてボードからメータケースへの配線は、導電銅テープで巻いており、それ自体が接地接続されています。(画像提供:マックス・マックスフィールド氏)

このように銅箔テープを使用するといくつかのメリットがありますが、中でも特筆すべきは、どの接続も外すことなく既存の配線ハーネスにテープを巻けることです。経験豊富な技術者なら、見る人の感涙を誘うようにこの銅箔テープを巻くことができたでしょうが、残念ながら私の仕上がりは少し乱雑になってしまいました。

銅シールド編組のお助けグッズ

この問題を友人のリック・カールに話したところ、彼は「銅シールド編組の使用を検討してみれば?」と言うのです。運命的ともいうべきか、リック(現在は引退)は当時、何十万ボルトにも及ぶ送電線に使用するテスト機器のメーカーに勤めていました。彼の会社はこの編組で被覆されたRG/8同軸ケーブルを購入したのですが、必要なのは中身の導体だけだったため、なんと編組を取り外して処分するつもりだったそうです。そして数日後、リックは私のオフィスを訪れ、一生使えるほどの編組をプレゼントしてくれたのでした。私がその新しいESD対策を誇らしげに持つ写真が図3です。

図3:銅シールド編組を一生使えるほど手に入れて大喜びでした。銅シールド編組はESD対策だけでなく、表皮効果によってRF接地にも大きな効果が期待できます。(画像提供:マックス・マックスフィールド氏)

銅シールド編組の優れた点は、ESD対策だけでなくRF接地にもきわめて有効なことです。これは、表皮効果によって、高い周波数では電流が導体の全体を流れるのではなく、表面を流れる傾向があるからです。そして編組の表面積は、同じゲージのソリッドワイヤ(またはより線)よりもはるかに大きいのです。

こうして新しい編組を手に入れた私は、すぐにすべての主電源ワイヤ(5V)と信号ワイヤの保護に取りかかりました。この銅シールド編組が優れているのは、ワイヤを編組に通して編組の両端を引っ張ると直径が縮まり、保護するケーブルがしっかり包み込まれる点です(図4)。

図4:銅シールド編組はESDにきわめて効果的なだけでなく、編組を引っ張ると保護するケーブルの周りにぴったりフィットするため、見た目にも美しく仕上がります。(画像提供:マックス・マックスフィールド氏)

よく見ると、編組の片方の端に短いワイヤをはんだ付けしているのがおわかりいだだけると思いますが、これで接地接続しています。また、編組の両端には、ほつれないように熱収縮材を短く使用しています。

再利用品の銅シールド編組を手に入れる当てがない方々には幸いなことに、TechflexMBC0.50CP25 0.5インチ径チューブラ接地用編組のような優れた製品が、各種の径で市販されています。

結論

私は仕事に就いたばかりの若手エンジニアと話をするとき、「他者の失敗を我が身に置き代えて学ぼう」と提言する他に、「趣味のプロジェクトを常に持とう」ともアドバイスしています。趣味のプロジェクトに取り組むと、仕事以外のことを考える時間で気分転換できるのはもちろん、私の経験では、役に立ついろいろなことを常に学べます。私の「予知エンジン」では、ESDについて思いもしなかったことを学べた上に、将来も役立つ各種のツールや素材、技術について知る機会にもなりました。

著者について

Image of Max Maxfield

Clive "Max" Maxfield氏は、1980年にイギリスのシェフィールドハラム大学で制御工学の理学士号を取得し、メインフレームコンピュータの中央処理装置(CPU)の設計者としてキャリアをスタートしました。Maxは長年にわたって、シリコンチップから回路基板まで、果ては脳波増幅器からスチームパンクな予測エンジンまであらゆる設計に携わってきました(細かいことは聞かない)。彼はまた、30年以上にわたってEDA(電子設計自動化)の最前線にいます。

また彼は、『Designus Maximus Unleashed』(アラバマ州で発禁)、『Bebop to the Boolean Boogie』(型破りなエレクトロニクス界へのガイド)、『Where Electronics Begins』(EDA関連)、『Instant Access』(FPGA関連)、『How Computers Do Math』(同)をはじめとする多くの書籍の著者や共著者として活動しています。彼のブログ Max's Cool Beans をチェック!

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