DC安定化回路の効率向上とノイズ低減
24Vの直流(DC)モータに入力電圧を供給する1つの方法は、公称24Vの電源をモータの端子に接続し、「オン」スイッチを入れることです。これでモータは完璧に動作します。しかし、公称電圧電源の問題は、ただそれだけであることです。たとえば、38Vまで上がることもあれば、15Vまで下がることもあります。このような電圧変動は、DCモータのような比較的丈夫なデバイスにはダメージを与えないかもしれませんが、その性能に影響を与えることは間違いありません。自動車、航空電子工学、電気通信などの高感度なアプリケーションの場合、これは当てはまりません。これらの製品や他の多くの製品では、不足電圧や過電圧が永久的な損傷を引き起こす可能性があります。
入力電源がDCモータに必要な電源と一致しない場合、さらなる課題が生じます。たとえば、一般的なDC電源電圧は48Vです。それを直接24Vのモータに接続すると、うまくいきません。
DC電圧レギュレータを使用すれば、問題を簡単に解決できます。その名が示すように、このデバイスは可変入力から(特定の閾値内で)厳密に安定化された出力を維持できます。そのため、入力が38Vと15Vの間で変動しても、レギュレータは安定した24Vの出力を数パーセントの範囲内で提供します。電圧レギュレータは、入力電圧とは異なる出力を提供することもできます。これにより、48Vの電源から24Vのモータに安全に電力を供給できます。
電圧安定化による出力
電圧安定化には多くの商用オプションがあります。最も単純なものは、低ドロップアウト(LDO)リニアレギュレータです。LDOはデザインインが容易で、外部部品がほとんど必要ありません。また、比較的安価かつ小型です。1つの特筆すべき短所は、このデバイスが入力より低い出力しか提供できないことです。これでは、24Vの電源が公称値より下がったときに役に立ちません。
LDOのもう1つの潜在的短所は、効率の悪さです。このデバイスは基本的に、抵抗分圧ネットワークを使用して電圧を安定化させます。そのため、入力電圧と出力電圧の差が大きくなるほど、内部の消費電力が大きくなり、温度上昇も大きくなります。たとえば、LDOを使用して48Vの電源を24Vに安定化させる場合、レギュレータは約50%の効率で動作することになります。できる限りエネルギーを節約しようとする現代において、このような浪費的な電力消費は受け入れられません(図1)。
図1:LDOの効率は、入力電圧に対する出力電圧の比率に比例します。(画像提供:Analog Devices)
LDOの改良
スイッチングレギュレータは、電圧安定化タスクに高い効率をもたらします。動作原理は複雑ですが、基本的には、トランジスタペアの高周波スイッチングによって1つまたは複数のインダクタを定期的に充電し、そのエネルギーを負荷に放散させ、次のサイクルで再び充電できるようにすることで、安定化を実現しています。LDOとは異なり、電圧安定化は、抵抗ネットワークを使用して入力電圧を分割することで実現されるわけではありません。これにより、リニアデバイスに関連する非効率の大半が効果的に解消されます。
その結果、最新のスイッチングレギュレータを使用して48Vの入力から24Vを供給すれば、(いくつかの設計における制約の範囲内で)90%をはるかに超える効率で供給されることが当然期待できます。さらに良いことに、スイッチングレギュレータは、入力電圧の昇圧と降圧の両方を行うことができます。多くのデバイスでは、この2つのモード間をシームレスに変更しながら両方を実行できます。そのため、入力電圧が低レベルと高レベルの間で変動しても、レギュレータは安定した24Vを効率的に供給し、DCモータの回転を維持します(図2)。
図2:スイッチング降圧/昇圧電圧レギュレータの最も単純な構造は、トランジスタ、2つのダイオード、インダクタ、およびコンデンサで構成されています。(画像提供:Analog Devices)
スイッチングレギュレータには、いくつかの短所があります。複雑かつ高価で、多くの外部部品を必要とし、場所も取ります。それだけでなく、それらレギュレータを適切に選択するにはかなり高度な設計技術が求められます。おそらく最大の課題は、高周波のスイッチングにあります。このスイッチングは電磁妨害(EMI)を発生させるだけでなく、出力電圧に認識できるほどのリップルを与える可能性があります。どちらも、うまく設計されたフィルタ回路によって軽減することはできますが、除去することはできません。
効率の向上
スイッチングレギュレータは優れた効率を発揮しますが、完璧ではありません。電力消費の主な原因は、トランジスタが導通している間のDC損失と、トランジスタが状態を反転させる際のスイッチング損失です。メーカー各社は、特定のモードで作動する際の効率を高めるために、巧妙な仕掛けを製品に組み込んでいます。たとえば、不連続伝導モード(DCM)は、低出力電流時にレギュレータのインダクタ電流が反転するのを防ぎます。これは軽負荷の効率向上に役立ちます。
今日のスイッチング電圧レギュレータは、本当に必要でないときでも安定化を行い、その過程で非生産的なエネルギーを消費しています。しかし、これまであまり活用されてこなかった方法があります。24VのDCモータに公称24Vの電源を供給する例を考えてみましょう。供給電圧がかなり変化する可能性があることはわかりましたが、電圧が24V、あるいは少なくともそれに非常に近い場合もたくさんあるでしょう。このような事態が生じた場合、電圧の安定化を停止することで、レギュレータで発生する伝導損失やスイッチング損失、その他の電力損失をなくし、効率を向上させることができます。
これは、Analog Devicesがパススルーモードで商用化した技術です。この技術は、LT8210EFE昇降圧レギュレータなどの製品に組み込まれています(図3)。このレギュレータは、2.8~100Vの入力を1~100Vの出力に変え、ハイサイドとローサイドの2組のトランジスタを備えています。
図3:パススルーモード時、入力電圧は、常時オンになっているハイサイドトランジスタを介してLT8210を流れます。効率は非常に高く、ノイズは発生しません。(画像提供:Analog Devices)
パススルーモードでは、デバイスの2つのハイサイドスイッチが常時オンとなり、安定化されていない電圧電源がデバイスを直接流れるようになります。一方、2つのローサイドスイッチは常時オフとなります。レギュレータを通過する電流と電圧によっては、100%に近い効率も実現可能です。さらに良いことに、パススルーが動作している間、EMIや出力電圧リップルは発生しません。
低温維持
LT8210のパススルー領域は、低い安定化閾値と高い安定化閾値をプログラムすることで設定できます。たとえば、負荷には公称12Vの出力が必要ですが、8~16Vの間の非安定化電圧なら安全に許容できることがわかっている場合です。したがって、その範囲にパススルーモードを設定し、パススルーが発生したときに非常に高い効率の恩恵を受けることができます。電源電圧が8V未満の場合、レギュレータはスイッチをオンにして8Vまで昇圧し、16V以上の場合はスイッチをオンにして16Vまで降圧します(図4)。
図4:パススルー領域はLT8210上でプログラムできます。安定化はこの領域外でのみ行われます。パススルー領域での動作時の効率向上に注目してください。(画像提供:Analog Devices)
Analog Devicesは、LT8210をベースにしたDC2814A-Cという便利なデモ用ボードも提供しています。このボードは、26~80Vの入力で動作し、最大電流2Aで36~56Vの出力を提供します。また、部品温度などのパラメータにおけるパススルーの利点を示すために使用できます(図5、aおよびb)。
図5:2Aの負荷電流で60Vの入力を56Vの出力に安定化させる際のDC2814A-Cデモ用ボード(上、(a))の温度プロファイル。同じデモ用ボードを、45Vの電源と2Aの負荷電流によりパススルーモードで動作させた場合(下、(b))。(画像提供:Analog Devices)
まとめ
スイッチングレギュレータは、高効率が重要な電圧安定化には素晴らしい選択肢です。しかし、それでもある程度の電力を消費し、スイッチングノイズが課題となることがあります。Analog Deviceのパススルー機能を活用することで、大幅な効率向上とノイズフリーの動作を実現できます。負荷が電圧変動に寛容であればあるほど、潜在的なゲインは大きくなります。
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