RFイメージングの解像度向上

著者 Jon Gabay

Electronic Products の提供

シンプルなRFリフレクタは、近接した物体の存在を、極めて低い解像度で検出できます。 1つのピクセルイメージのように、何かがそこにあることは検出できますが、より詳細で高い解像度の形状、サイズ、距離、動き、速度、加速度、その他の情報は識別できません。 このテクノロジは成長し、さまざまな新しい用途に採用されつつあります。 たとえば、死角検出用の単純な近接レーダにより、より安全な自動車が実現されています。 当初は車両のわずか数か所に配置されていましたが、現在は、衝突回避技術の一部としてサラウンドレーダが車に搭載されており、また、(たとえば自動リフトゲート操作で)安全と利便性のために近接検出も利用されています。

しかし、用途はこれだけに留まりません。 縦列駐車を行う自動車では、このテクノロジをより高い解像度で活用し、ソフトウェア内で実質的に3Dモデルを構成できます。 発見的アルゴリズム(PCBの自動ルーティングに類似したもの)を使用して最良のアプローチを検出し、サーボフィードバックのモーション制御がハンドル、ブレーキ、アクセルを自動的に動かします。 このような動作は単純なピクセル式センサの能力をはるかに超えたもので、高解像度のセンサが必要になるか、ビームステアリングが行われるか、またはその両方です。

RFはイメージングに関して可視光の照明よりも優れており、RFセンサアレイはプロセッサベースのイメージング用途においてCCD形式の可視光検出器を拡張するか、置き換わる可能性があります。 この記事では、より高解像度のRFイメージングに使用可能な技術について解説します。 各種の技法やアプローチを紹介し、それらがビデオ技術と比較してどのような利点と欠点があるかを説明します。 ここで言及されているすべての部品、データシート、チュートリアル、開発システムは、DigiKeyのウェブサイトに掲載されています。

脚光を浴び始めたRF近接技術

RFはイメージングに関して可視光の照明よりも優れており、RFセンサおよびアレイは適切な市場や分野においてCCD形式の可視光検出器を拡張するか、置き換わる可能性があります。 どちらの場合も、現実の有限要素の"ワイヤフレーム"が確立されると、プロセッサベースのイメージング拡張および解析が行われます。

RF近接技術は既に数十年にわたって使用され、移動を監視してきましたが、このことはあまり知られていません。 初期のPIRモーション検出器は機能を果たしてはいましたが、言ってみれば"信頼のおけない"ものでした。 間違いでアラームが動作することが一般的であったため、業界ではマイクロ波パルスを使用して近接性の変化や移動を検出する、デュアルテクノロジのシステムが開発されました。 間違いのアラームを最小に抑えるため、PIRとマイクロ波センサは同時に起動する必要がありました。

これらの技術を広範に展開できるようになったのは、シリコンエミッタと検出器が開発され、大量生産を考慮できるようになり、高価なアライメントや較正が不要になったためです。 初期のPIR検出器はPCB上に戦略的に配置され、全世界のセキュリティシステムにおいてモーション検出器製品の急速な成長を可能にしました。 すぐに設計者は、環境光の条件を補正する方法を習得しました(図1)。

現在のシングルビットPIR検出器は依然として現役の、現実的な技術で、今後も有益な技術として進歩し続けると考えられます。 消費電力削減を考えると、多くの場合にアクティブな必要があるのはPIRのみです。 アラートやウェークアップ条件が発生した場合は、RFやビデオまたはマイクロ波センサエミッタの電源をオンにできます。

精密なモノリシックセンサの画像

図1: 精密なモノリシックセンサが利用可能になったことで、大量生産が現実的になりました。 これはPIR、CCDアレイ、ビデオセンサについてだけでなく、RFセンサにも当てはまります。 硫化カドミウムの光電セルでは周囲光補正が可能なことに注目してください

イメージングの各種の手法

消費者向けの最も一般的なパッシブイメージング機器では、低コストのセンサ部品としてビデオ検出器を使用し、高速なDSP処理技法を活用して、人間の目でも捉えられない画像の詳細を明らかにします。 固定視野を使用するか、移動リフレクタ技術を使用して、最新の高解像度イメージセンサで画像をキャプチャし、組み込みプロセッサ、DSP、FPGA、またはTI製のSN65LVDS324ZQLRなど、専用の画像処理部品へ転送できます。 Cognimem製の901-3001などの扱いやすい小型のビジョンセンサの評価および開発用ボードは、テスト画像の取得を開始するためのツールとして適切です。

ただし、ビデオセンサは一般にパッシブです。 IRエミッタを使用すると、わずかな光でも画像を取得でき、さらに色彩可変のエミッタでもより詳細な画像が得られます。 しかし、スキャンの範囲や解像度を拡大するには通常はRFやレーザーが必要です。

フライングスポットスキャナ技術は新しいものではありませんが、今でも使用されています。 これらは、FAX機器やスーパーマーケットのバーコードスキャナに使用される1Dのラインスキャナや、ピコプロジェクタに使用される2Dスキャナと似ています。 ビデオのラスタスキャンと同様に、レーザーは視野のパターンをトレースし、単純な光度検出器によってビデオ信号が作成され、その信号をディスプレイシステムと同期、またはプロセッサメモリへ送信して解析が可能です。

初期のレーザープリンタやスキャナは、実際にモータを使用して六角形または八角形のミラーアセンブリを回転させ、円弧状のスキャンを行っていました(図2)。 これらのビームは光度変調され、最初は1Dで、硫化カドミウムのドラムを荷電させ、用紙がトナーセクションへ移行する前に電荷を用紙に移行できるようにします。 ここでも、この機能にシリコンプロセスを適用すると、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMs)を使用するデジタルライトパイプ技術により、可動ミラーをチップに実装できるようになります。

1次元および2次元用のメカニカルフライングスポットスキャナの図

図2: 1次元および2次元用のメカニカルフライングスポットスキャナは、バーコードリーダおよびレーザープリンタにおいて信頼性が高く堅牢なことが実証されており、導波RFビームを使用するよう適応可能です。

フライングスポットスキャナは、光度変調なしの定常状態のビームと、エミッタの光またはRF波長を感知する検出器を使用します。 反射された信号は検出器に入射され、ビデオ信号を作り出し、この信号の瞬間的な光量が、スキャン対象の表面の反射率を表します。 この方法で、メモリアドレス境界に対応するライン開始およびライン終了の検出器との同期により、メモリ内の画像が自動的に構築されます。 信号が返ってくるまでの時間が、距離を示します。

可動ミラーは光やRFなど異なる波長に対して反射性を持つことができ、Texas Instruments製のDLP3000FQBDLP4500FQEなどの可動ミラーモノリシックは、それぞれWVGAやWXGA解像度に必要となる電気機械的偏向を実行できます。 TVメーカーがこれらの部品を大量に使用していることから、これらの部品の価格競合力は明らかです。 また、表面加工を使用して表面を異なる波長に対して反射性にし、RFビームを他の形式の電磁気的なエネルギーと同様に反射できることも知られています。

いくつかのビデオ開発および評価システムを使用して、この手法をテストし、試作できます。 プロセッサやメモリに対しては画像のスペクトラムは重要でないことに注意してください。画像がメモリにキャプチャされた後では、ソースのスキャンがIR、UHF、UV、ガンマ線など、どの波長で行われたかは関係しません。 光度変調されたメモリ内の表現は依然として、現実世界を反映しています。

もう一つ注意すべき点は、低周波のRFでは、可視光よりも近接距離を簡単に検出できることです。 より低い周波数では位相アライメントを検出可能ですが、可視光ではこの識別がはるかに困難です。 このため、この分野では可視光やビデオを基礎とする手法よりも、より波長の長いRFの方が有利です。

また、RFキャリヤで変調される周波数の付加価値も考慮します。 チャープパターンにより、アライメントポイントを簡単に検出できるため、反射時間の測定が簡素化されます。 さらに、周波数のシフトにより、反射性の表面の共鳴を捉えることが可能です。 それに加えて、オーディオおよび超音波変調を使用して、既に開発された高度な技術を別の目的に応用できるようになります。

適切な手法

超音波イメージングに使用されるのと同じ技術を、RFイメージングにも使用可能です。 この場合、エミッタは超音波的に変調された信号をパスに当てるようにビームを向け、レシーバはそれを受け取って、高度に統合されたプロセッサへデータを渡し、詳細を迅速に抽出できるようにします。

TI製のLM96570SQE/NOPB構成可能送信ビーム形成器のような、いくつかのモノリシックは、ビームを目的の方向へ向けるなどの機能があり、この目的に役立ちます(図3)。 80MHzまでのパルス速度は個別に、または8つのチャンネルすべてを同時に、64ビットまでのパターンと0.78nsecの時間解像度で起動できます。 超音波パルサの適切な例として、Microchip製のMD1712FG-Gは2つのチャンネルを駆動し、5レベルの波形を生成できます。

Texas Instruments LM96570SQE/NOPB構成可能送信ビーム成形器の図

図3: 高度な統合されたイメージング部品からの超音波信号を、RF帯域上の変調された信号として使用し、視野角内をRFでスキャンできます。 既に利用可能なコンパニオンイメージングチップにより、バックエンドの画像処理を簡単に設計できます

同様に、STMicroelectronics製のSTHV800L Pulserは300MHzまでの帯域幅を持ち、高電圧圧電駆動回路は圧電トランスデューサで動作するように設計されていますが、これらの部品が高負荷の作業の90%を処理すれば、RFステージへのインターフェースは比較的簡単に設計できます。 8チャンネルのSTEVAL-IME009V1を使用すると、この技術を簡単かつ手軽に習得、テスト、実験できます。

この点については、いくつかの超音波イメージング機器を使用して、迅速に試作を行い、RFステージと簡単にカップリングできます。 メモリ内にイメージを構築できるようになれば、より高解像度のRFイメージングを行うための基礎作業の多くは完了したことになります。

アンテナを広げる

他のいくつかのビーム指向技法も、感度を指向的に調整できるアンテナ部品や、ビームの方向制御を採用することで、可動部品なしに使用できます。 これによって、RFフライングスポットスキャナ送信機や、高ゲインで特定方向への指向性をプログラムされたアンテナの設計と実装が可能になります。

メッシュネットワークが存在する場合、別の技法を使用してモーションや移動を検出できます。 この技法は断層撮影式モーション検出と呼ばれ、無線電波がメッシュネットワークのノード間を通過するときの乱れを感知するものです。 これらのシステムは、壁や障害物の向こうを感知できるため、領域の全体を検出可能です。

RFエミッタの周波数は、霧(ビデオベースのシステムの制限)を通して、または表面を通過して(RFスタッドファインダなど)検出を行うよう調整可能なため、これらの領域の多くで活動の増加が予想されます。

この記事で扱っている部品の詳細については、このページにあるリンクを使用して、DigiKeyウェブサイトの製品ページにアクセスしてください。

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