あらゆる産業環境に最適な結果を得るためのフラットパネルHMIの選定方法

著者 Jeff Shepard(ジェフ・シェパード)氏

DigiKeyの北米担当編集者の提供

産業用ネットワークアプリケーションの要件に、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)用フラットパネルディスプレイの性能を適合させることは複雑です。ネットワーク設計者は、数多くのアーキテクチャ、運用、環境要因を考慮しなければなりません。

そのアプリケーションにはwebインターフェースが必要でしょうか。統合されたプログラマブルロジックコントローラ­(PLC)は有益でしょうか。過酷な環境や屋外での使用が想定されますか。これらは比較的簡単な質問の一例です。

より複雑な判断には、環境耐性とタッチスクリーン入力性能のバランスといった考慮事項が含まれます。複雑な制御タスク、特に作業員が手袋を着用している場合、入力精度と応答性が重要です。

その他の要素としては、統合されたサイバーセキュリティ機能、機械的堅牢性の要件、コネクティビティオプション、システム統合のサポートなどが挙げられます。

アプリケーションの要求や複雑さに関係なく、Pro-face by Schneider Electricは、インダストリ4.0の製造、自動化、プロセス制御システムのHMIニーズをサポートします。製品ラインアップは、ほとんどの産業用ネットワークアプリケーションの要件を満たすエントリレベルおよびベーシックモデルから始まり、石油掘削設備や化学処理プラントのような過酷な屋外環境での動作に対応したモデルまで広がっています。

エントリレベルおよびベーシックモデル

Pro-faceラインのHMIは、いくつかの性能レベルに分類されています。そのはじまりとなるET6000シリーズは、シンプルでコスト効率の高い機械可視化を目的として設計されたエントリモデルです。次のレベルには、PFXST6500WADEなどのST6000シリーズのベーシックモデルがあり、より高度な可視化機能、コネクティビティ、性能を備え、より複雑なアプリケーションに適しています。

ET6000シリーズは、基本的な制御と監視のみを必要とする小型機械、コンベヤシステム、ビルオートメーションなどのアプリケーションを対象としています。ST6000シリーズは、より優れた内蔵ネットワーク機能を提供します。たとえば、安全で標準化されたデータフローをサポートするOPC UAサーバなどが挙げられます。

またST6000シリーズは、Pro-face Connectにも対応しています。これにより、PC、タブレット、スマートフォンから、どこからでも安全かつ簡単に、クラウドベースの機械の遠隔監視、診断、制御が可能となります。具体的な接続機能はモデルによって異なりますが、ET6000シリーズは一般的にインターフェースの数と種類がより限定されており、Ethernet、シリアルポート、USBといった必須オプションのみを提供しています。

ST6000シリーズのHMIは、より幅広い接続オプションと拡張性を提供します。これには、MQTTなどのさまざまな産業用プロトコルのサポート、複数のEthernetインターフェース、ビデオなどの拡張ユニットのサポートが含まれます。

ST6000シリーズには、ワイドスクリーンモデル5機種と従来型4:3アスペクト比モデル2機種がラインアップされています。一方、ET6000はワイドスクリーンモデル4機種で構成されています(図1)。両シリーズとも、1600万色表示のTFTカラー液晶とアナログ抵抗膜方式タッチパネルを搭載しています。

Schneider ElectricのET6000シリーズのワイドスクリーンモデルの画像図1:ET6000シリーズには4機種のワイドスクリーンモデルがあります。(画像提供:Schneider Electric)

モジュラー式、アドバンストおよびプレミアムモデル

STM6000はモジュラー式ベーシックHMIであり、ST6000シリーズと同等の高度な可視化機能を提供しますが、標準的な22mmの円形穴に、迅速な工具不要のプッシュボタン式取り付けを目的として設計されています。既存資産との円滑な移行および統合を実現するGP-Pro EXソフトウェアに対応し、最新の機能と性能を備えたPro-face BLUEソフトウェアも使用可能です。

さらに上位モデルとして、Pro-faceは、アドバンストモデルおよびプレミアムモデルを提供しています。PFXSP5400WADようなアドバンストユニットは、ベーシックモデルを超える重要な追加機能を提供し、主に強化されたコネクティビティ、性能、柔軟性に重点を置いています。これにより、産業用IoT(IIoT)ソリューションの実現と安全なリモートアクセスを促進します。

PFXSP5800WCDなどのプレミアムモデルは、アドバンストHMIの26万2,000色に対し、1,600万色の高解像度画面を特長としています。また、プレミアムモデルは画面サイズも最大19インチまで対応し、アドバンストモデルの最大12インチと比較して大型化を実現しています。さらに、プレミアムHMIには、アドバンストモデルには搭載されていないフロントUSBポート、輝度センサ、自動スケーリング機能も搭載されています。

ITシステムとOTシステムの橋渡し

工場現場の制御技術(OT)システムと、より上位の情報技術(IT)エンタープライズシステム、そしてクラウドとの間の隔たりを埋めるインターフェースを提供することは、重要な考慮事項となり得ます。

HMIは、データ可視化のための強力なツールであることに加え、SQLデータベースや企業資源計画(ERP)システムに保存可能なリアルタイムの生産データを収集し、データに基づく意思決定をサポートすることができます。

Pro-face ConnectおよびPro-face Remoteソフトウェアは、安全なリモートアクセスを提供し、PC、タブレット、スマートフォンから設備の稼働状況や性能を監視することが可能です。これにより柔軟性が向上し、メンテナンス対応時間の短縮も可能です。

Pro-face Blue Open Studioソフトウェアは、PLCやその他のデバイス向けに250以上の通信ドライバをサポートしています。モデルによりますが、Pro-face HMIは1,200を超えるデバイスに加え、産業用ネットワークおよびITプロトコルにも対応しています。この幅広い通信およびコネクティビティのサポートにより、Pro-face HMIは工場現場からクラウドに至るまで、ITとOTネットワークを連携させることが可能となります(図2)。

効率的で安全な接続を提供できるSchneider Electric Pro-face HMIの図図2:Pro-face HMIはITとOTネットワーク間の効率的かつ安全な接続を提供します。(画像提供:Schneider Electric)

たとえば、STM6000 Edge Box HMI、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといったさまざまなクラウドサービスへデータを安全にアップロードし、AVEVA Insightなどのプラットフォームとの統合が可能です。

HMI + Webコネクティビティ

Pro-faceSTW6000Web HMIには、ブラウザが搭載されており、Webクライアントとしてプログラマブルロジックコントローラ(PLC)、モータドライバ、その他のデバイスとの接続に使用できます。これらのHMIは、小型機械におけるベーシックHMIと置き換え可能で、HTML5データを容易に表示することができます。

また、PLCから直接、またはサーバ機能を内蔵したメインディスプレイから、メンテナンスや診断のための限られた情報を可視化する、コスト効率の高いサブディスプレイとしても活用できます(図3)。

Schneider ElectricのSTW6000 HMIの構成図(クリックして拡大)図3:STW6000 HMIは、メインディスプレイ(左)またはサブディスプレイ(右)として使用できます。(画像提供:Schneider Electric)

HMI + PLC

一部のアプリケーションでは、HMIとPLCの機能を1つの小型ユニットに統合することでメリットが得られます。そこで登場するのが、STC6000オペレータインターフェースシリーズです。この統合ソリューションにより、小型機械における部品点数の削減とメンテナンスの簡素化が可能となります。また、カスタムPLC制御や複数のソフトウェアパッケージが不要になるため、導入がさらに簡素化され、迅速な展開が可能となります。

STC6000ユニットには、シリアル、Ethernet、USBインターフェースが搭載されています。CANOpenおよびTM3モジュールでコネクティビティを拡張でき、これらのコントローラはサードパーティ製デバイスに容易に接続できます。センサ、ランプ、スタックライト、バルブなどをサポートできる統合I/Oを備えています。モータ制御アプリケーション向けに設計された拡張オプションにより、これらのユニットは業務用洗濯機や包装機に適しています(図4)。

Schneider Electric STC6000 HMIの画像図4:STC6000 HMIは高い柔軟性を備え、さまざまな簡易機械設計に適しています。(画像提供:Schneider Electric)

サイバーセキュリティ

堅牢なサイバーセキュリティは、運用上の完全性を確保する上で重要な考慮事項です。本記事で紹介したST6000、STW6000、STC6000、SP5000シリーズなど、最新のPro-face HMI製品ラインは、安全なOT/IT統合を保証するため、広範なサイバーセキュリティ機能を備えて設計されています。

これらのPro-face HMIは、TLS暗号化や複雑なファイアウォール設定を必要としない安全なリモートアクセスなど、複数のサイバーセキュリティ対策をサポートしています。また、EdgeIPSなどの外部ネットワークベースの侵入防止システム(IPS)と互換性があります。

Schneider ElectricのブランドであるPro-faceは脅威モデリングや侵入テストを含むセキュリティ開発ライフサイクル(SDL)プロセスを採用し、製品がIEC 62443などの業界標準に適合していることを保証しています。

Pro-face Connectは、アクセスレベルやセキュリティ証明書による管理が可能な、安全なリモートアクセスを実現する組み込み型暗号化VPNソリューションを提供します。多くのPro-face HMIは2つのEthernetポートが搭載されており、安全かつ簡便なネットワーク分離を実現します。詳細および導入に関する提案については、Pro-face HMI/IPC サイバーセキュリティガイドを参照してください。

グローブモードなど

いくつかのPro-face HMIには、「グローブモード」が搭載されており、ユーザーが手袋を着用した状態でも操作が可能になります。ユーザーはシステム設定でグローブモードを選択することができます。その他のオプションとして、素手による操作用の標準モードや、画面に液体が付着した際の誤入力を防止するためにタッチ入力を無効化する水検知モードなどが用意されています。

グローブモードでは、静電容量式タッチスクリーンのタッチ感度を高めます。これにより、ニトリル、作業用、フリース手袋など、標準モードでは認識されないさまざまなタイプの手袋からのタッチ入力を画面ソフトウェアが認識できるようになります。

安全上の理由や寒冷地での快適性のために手袋を着用しなければならない環境において、特に有用です(図5)。グローブモードは、SP5000X ExtremeシリーズHMIにも搭載されています。

作業者の安全性、効率性、快適性を向上させるSchneider Electricのグローブモードの画像図5:グローブモードでは、作業者の安全性、効率性、快適性を向上させます。(画像提供:Schneider Electric)

極限環境対応性能

石油やガスの掘削装置、製油所、化学工場、大型建設車両、駐車場、ガソリンスタンドなどの用途では、過酷な屋外環境にさらされることがあり、Pro-face SP5000X Extremeシリーズのような堅牢で高輝度のHMIが求められます。

たとえば、モデルPFXSP5690WADは、-30°C~+70°Cの動作温度範囲に対応しており、これらは一般的なPro-face HMIの0°C~+55°Cと比較して高い耐寒性と耐熱性を有しています。本シリーズの他の極限性能仕様には、以下のようなものがあります。

  • 1,000cd/m²の輝度と、直射日光下でも視認性を確保するアンチグレアスクリーン
  • IEC保護等級IP66FおよびIP67F(接尾の「F」は油や燃料飛沫に対する保護を示す)に準拠し、さらにNEMAタイプ4X/12/13規格にも適合
  • 標準HMIと比較して最大2.7倍の耐衝撃性と耐振動性を実現
  • UVカット率99%以上による高レベルの保護性能

まとめ

あらゆるタイプのインダストリ4.0の操業に対応したPro-face HMIが用意されています。簡易な機械向けのエントリレベルから、過酷な用途や屋外環境向けのエクストリームモデルまで、幅広いラインアップを取り揃えています。これらは、効果的な工場可視化に必要なコネクティビティ、信頼性、ソフトウェア互換性、サイバーセキュリティをサポートします。

おすすめの記事:

  1. 温度コントローラとマイクロPLCを使用して、小規模な自動化プロジェクトを加速させる
  2. IO-Linkの利用によるインダストリ4.0工場における柔軟性、可用性、効率の向上
  3. 協働ロボットの安全性を評価する際の重要な考慮事項とは?
  4. インダストリ4.0ファクトリにおける安全性の強化と可用性の向上
  5. ライトカーテンによる安全性の向上と対象物の計測
DigiKey logo

免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、DigiKeyの意見、信念および視点またはDigiKeyの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。

著者について

Image of Jeff Shepard

Jeff Shepard(ジェフ・シェパード)氏

ジェフ氏は、パワーエレクトロニクス、電子部品、その他の技術トピックについて30年以上にわたり執筆活動を続けています。彼は当初、EETimes誌のシニアエディターとしてパワーエレクトロニクスについて執筆を始めました。その後、パワーエレクトロニクスの設計雑誌であるPowertechniquesを立ち上げ、その後、世界的なパワーエレクトロニクスの研究グループ兼出版社であるDarnell Groupを設立しました。Darnell Groupは、数々の活動のひとつとしてPowerPulse.netを立ち上げましたが、これはパワーエレクトロニクスを専門とするグローバルなエンジニアリングコミュニティで、毎日のニュースを提供しました。また彼は、教育出版社Prentice HallのReston部門から発行されたスイッチモード電源の教科書『Power Supplies』の著者でもあります。

ジェフはまた、後にComputer Products社に買収された高ワット数のスイッチング電源のメーカーであるJeta Power Systems社を共同創設しました。ジェフは発明家でもあり、熱環境発電と光学メタマテリアルの分野で17の米国特許を取得しています。このように彼は、パワーエレクトロニクスの世界的トレンドに関する業界の情報源であり、あちこちで頻繁に講演を行っています。彼は、定量的研究と数学でカリフォルニア大学から修士号を取得しています。

出版者について

DigiKeyの北米担当編集者