製品に適した産業用センサの選択
DigiKeyの提供
2024-10-22
産業用センサは、産業環境において重要な役割を果たし、物理的パラメータを幅広い用途に使用できる信号に変換します。では、設計者はどのようにして製品に適した産業用センサを選択すればよいのでしょうか。
産業用センサは、産業環境における環境または動作状況の変化を監視、測定、検出するために使用されるデバイスです。これらのセンサは、温度、圧力、振動、近接、光、湿度、化学的特性などの物理的変数を、システムやコントローラで測定、分析、監視できる信号に変換します。これらのセンサによって収集されたデータは、製造業、エネルギー、自動車、航空宇宙など、さまざまな産業において、プロセスの自動化、安全性の向上、効率性の強化に不可欠です。
図1:工場のラインコンベヤに設置された光学センサ。(画像提供:Adobe Stock)
産業用センサの重要な役割
産業用センサが果たす重要な役割を軽視することはできません。これらのデバイスは、オートメーション、安全性、品質管理対策など、産業環境での実現に不可欠です。
産業用センサはプロセスの自動化に不可欠であり、これにより人間の介入を最小限に抑えて機械やシステムを稼働させることができます。組立ライン、ロボットシステム、梱包工程などの作業において、精度と安定性を確保するのに役立ちます。
振動、温度、圧力などの機器状態を監視することで、センサは潜在的な機器故障の早期警告サインを発し、予知保全を可能にし、想定外のダウンタイムを削減します。
センサはまた、温度、圧力、寸法精度などの変化を監視することで、製造工程が必要な基準を満たしていることを保証することができます。たとえば、光センサは製品の寸法を測定し、品質安定性を確保します。
危険な環境では、これらの機能は、ガス漏れや過剰な熱などの危険な状態を検知し、アラームや安全機構を作動させて事故を防ぐ上で重要な役割を果たします。
一方、温度、エネルギー使用量、流体レベルなどの要素を監視することで、センサはプロセスを最適化し、無駄やエネルギー消費を削減するのに役立ちます。
さらに、産業用センサは、さまざまな産業プロセスのリアルタイム監視を可能にし、タイムリーな調整と最適化のために制御システムにデータを供給することで、スムーズで効率的な操作を支援します。
図2:磁気検出を利用した振動センサ。(画像提供:Adobe Stock)
製品に最適な産業用センサを見つける苦労
このように幅広い産業用センサの中から、製品に適した産業用センサを選択することは、しばしば複雑な作業になることがあります。
産業用センサの明確で包括的なドキュメントを入手することは、第一の困難のひとつです。メーカーが異なれば、詳細のレベルも異なることが多く、仕様を直接比較するのは難しいことです。ドキュメントは時として非常に技術的であったり、実用的な情報が不足していたりするため、センサが既存のシステムとどのように統合されるのか、あるいは特定の条件下でどのように動作するのかを理解するのは難しいことです。さらに、製品マニュアルが新しいモデルやファームウェアのアップデートを反映して更新されていない場合や、メーカーのウェブサイトで見つけるのが難しい場合もあります。
産業環境における通信プロトコルの多様性もまた、センサを選択する際にしばしば別の悩みの種となります。産業環境では、Modbus、PROFINET、EtherNet/IPなど、さまざまなプロトコルが使用されています。センサによっては、特定のプロトコルに対応していないものもあり、既存の制御システムとのミスマッチが生じたり、コストと時間のかかる改造が必要になったりします。相互運用性の問題もあり、選択したセンサが既存のハードウェアやソフトウェアと効果的に通信できるようにすることが重要です。場合によっては、センサをシステムに適合させるために追加のハードウェア(ゲートウェイやコンバータなど)が必要になり、統合がさらに複雑になります。
IO-Linkはセンサやアクチュエータにとって比較的新しい通信規格であるため、IO-Linkとの統合もこのような問題点の1つです。大きな利点がある一方で、その導入にはいくつかの課題もあります。急勾配の学習曲線(スティープラーニングカーブ)、限られた知識源しか利用できないこと、旧来のシステムとの統合など、例を挙げればきりがありません。
最後に、必要なセンサの十分な在庫を持つ販売代理店を見つけるという問題が常にあります。この課題は、無駄のないインベントリーモデルやジャストインタイム生産を必要とする業界では、特に差し迫ったものとなっています。
ありがたいことに、DigiKeyは業界をリードするサプライヤの高品質センサを幅広く取り揃え、産業用センサ市場で際立った存在となっています。これについては後ほど詳しく説明します。
図3:自動化マシンビジョン検査ツールで使用される光センサ。(画像提供:Adobe Stock)
産業用センサを選ぶ際に優先すべきこと
産業用センサを選択する際、構造化された決定階層に従うことで、プロセスを簡素化し、選択されたセンサがアプリケーションの要件を満たすことを確実にすることができます。一般的に、決定の階層は次のようになります。
- センサタイプ - センサの検出対象は何か。
- センサの認証 - センサが特定の認証や規格に準拠する必要性はあるか。
- 通信能力 - センサが既存自動化インフラと通信する機能を持っているか。
- 在庫と可用性 - センサはすぐに入手可能か、リードタイムはどのくらいか、サポートサービスはあるか。
- 価格 - センサの価格は、イニシャルコスト、総所有コスト、投資回収率などの観点から、プロジェクトにとって費用対効果が高いか。
産業用センサを選択する際、このような構造に従うことで、顧客は選択肢を絞り込み、技術要件を満たし、認証に準拠し、うまく統合でき、容易に入手でき、適切価格の最適なセンサを見つけることができます。
DigiKeyが提供する製品
DigiKeyは、ほぼすべてのニーズに対応する幅広い産業用センサを提供しています。SICK、Honeywell、Banner Engineering、Pepperl+Fuchs、Endress+Hauserなどの有名メーカーの、磁気、近接、圧力、光学の各センサを幅広く取り揃えています。
図4:HoneywellのSNG-SPRC-002(上)およびSNG-SPRD-004(下)。(画像提供:Honeywell)
HoneywellのSNG-Sシリーズ速度センサは、DigiKeyの磁気センサ製品群の好例で、特別に設計されたICと永久磁石を頑丈なプローブ型パッケージに封入しています。これらのセンサは、鉄系材料に近づいたときの磁石の磁束密度の変化を検出し、ギアホイールの速度に比例した周波数のデジタルパルスを出力します。センサの性能は、ターゲットの材質、形状、速度、センサとターゲットのギャップ、温度などの要因に依存します。SNG-Sシリーズは、動作温度範囲が-40°C~+140°Cと広く、組み立て時の角度回転に影響されず、IP69K等級の耐環境性を備えています。さらに、100 V/m定格の堅牢な電気ノイズ耐性、ゼロ速度検出、0Hz~15kHzの高周波スイッチング能力、確実な取り付けのためのOリングシールを誇ります。このセンサは4.5Vから24Vの電源電圧に対応し、CE認証を取得しています。
図5:Banner EngineeringのK50RF-8060-LDQレーダセンサ。(画像提供:Banner Engineering)
Banner EngineeringのK50R R-GAGEレーダセンサシリーズは、DigiKeyの広範な近接センサ製品群の1つで、屋内および屋外の両方の環境に堅牢でコスト効率の高いソリューションを提供します。超音波センサに匹敵する精度の40°×30°モデルと、より広い範囲をカバーする80°×60°モデルがあり、無人搬送車(AGV)、タンクレベル管理、EV充電ステーションでの車両検知などの用途に最適です。K50Rシリーズは、Banner計測センサソフトウェアによる簡単な統合が可能で、デュアルディスクリートおよびアナログ出力オプションを備え、さまざまな取り付けアクセサリにより柔軟な設置が可能です。IP67等級で、センサは雨、雪、霧、蒸気、風、日光から保護され、どのような環境でも優れた動作を保証します。ほこりや汚れ、蒸気の影響を受けにくく、温度による影響を最小限に抑えて安定した測定が可能で、測定範囲は5mと広く、デッドゾーンは50mmと短くなっています。さらに、クロストークがないため、干渉することなく複数のセンサを近接して取り付けることができます。
図6:Endress+HauserのCerabar PMC21シリーズ小型圧力伝送器。(画像提供:Endress+Hauser)
Endress+HauserのCerabar PMC21シリーズ小型圧力伝送器は、耐久性と圧力衝撃への耐性を考慮して設計されたセラミック製オイルフリーセンサを特長としています。同社のセラミックセルは、低圧および真空用途に優れています。PMC21シリーズは、100mbarから40barまでの絶対圧とゲージ圧の両方を測定します。通信は主に4mA~20mA信号で行われ、M12またはバルブプラグで接続されます。センサレンジおよびプロセス接続は、特定のアプリケーションのニーズに合わせて調整されるべきです。これらの伝送器は、プロセス産業の厳しい環境用に設計されており、最大IP68の防塵保護等級、耐久性の高いCeraphireメンブレン、316Lステンレス鋼ハウジングを誇ります。危険区域や海洋認証を含む複数の認証を取得しており、幅広い用途に適しています。使いやすさ、高性能、長期的な安定性、優れた素材品質が、ユーザーにとってメリットとなります。
DigiKeyはまた、Pepperl+FuchsのVOC産業用イベントカメラやSICKのCLV69xシリーズなど、お客様に素晴らしい光学センサ製品を提供しています。
図7:Pepperl+FuchsのVOC10M-F256-B12-V1D-CR03。(画像提供:Pepperl+Fuchs)
Pepperl+FuchsのVOC産業用イベントカメラは、トリガ信号の前後60秒までのイベント駆動型ビデオ録画用に設計されており、対象を絞ったリモート診断と自動ドキュメント作成を容易にします。このカメラは、故障、定義済みのステータス、またはプロセスが発生したときにビデオをキャプチャし、自動タイムスタンプ、およびダイナミックテキストオーバーレイ用のUser Datagram Protocol(UDP)インターフェースを備えているため、ファイルの検索が迅速かつ簡単に行えます。自動化された高層倉庫やセキュリティアプリケーションの監視に最適で、ビデオファイルやライブストリームにアクセスするためのウェブインターフェース、自動録画用のビデオリングバッファ、UDP、REST API、デジタルハードウェア入力を介した統合トリガを備えています。カメラの設置距離は0.05mから無限遠まで対応し、解像度は最大1280×720(HD)で、8GBのmicroSDカードに最大10,000イベントを保存できます。DC18V~DC28Vで動作し、TCP/IP、HTTP、FTP、RTSPなどのプロトコルを使用し、保護等級はIP65です。
図8:SICKのCLV690-1000(左)とCLV691-0000(右)。(画像提供:SICK)
SICKのバーコードスキャナCLV69xシリーズは、SMART+コード再構成技術を内蔵しており、汚れたバーコードや損傷したバーコードも読み取ることができます。これらの固定式1次元バーコードスキャナは、優れた読み取り性能、高速処理、高精度を提供し、スキャンフィールド内の高さに影響されずにコード読み取りを行うために内蔵の距離測定技術を使用したオートフォーカス機能を備えています。さらに、ユーザーフレンドリーなSOPAS ETオペレーティングシステムにより、簡単なパラメータ設定が可能です。トラッキング機能を内蔵しているため、システムコントローラを追加することなく、標準的なアプリケーションを処理することができます。内蔵パラメータストレージを含む革新的な接続性により、スキャナを素早く交換し、さまざまなアプリケーションに簡単に統合することができます。主な機能には、被写界深度の深いリアルタイムオートフォーカス、柔軟なクローニングプラグ技術、CAN、Ethernet、シリアル通信、高度なソート、フィルタリング、論理機能などがあります。押ボタン付きのLEDバーグラフが内蔵されており、操作性が向上しています。
まとめ
DigiKeyの産業用センサの幅広い品揃えは、お客様の特定のニーズに合ったセンサを確実に見つけ、オートメーション業界で比類のない価値を提供します。SICKとBannerは、先進的なセンサとIoT統合への革新的な貢献で有名です。Pepperl+Fuchsはセンサ通信に優れ、一方Endress+Hauserは測定機器、特に圧力と流体測定センシングでリードしています。Honeywellは、競合他社よりも規模は小さいものの、DigiKeyの多様な製品ラインアップを強化する特殊センサを提供しています。

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