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近接センサの基礎知識:産業用オートメーションにおけるその選択と使用

著者 Art Pini

Digi-Keyの北米担当編集者 の提供

多くの産業用オートメーション(IA)アプリケーションでは、物理的に接触することなく物体や人の存在や位置を感知し、感知した物体の動きを制限しないことが求められます。この役割に最適なのが、近接センサです。しかし、近接センサには、磁気、静電容量、誘導、光などさまざまな種類があり、検知対象物の材質によっては、センサの検知能力に影響が出ることがあります。

近接センサには、鉄系の金属を検出するのに便利なもの、あらゆる金属を検出できるもの、あらゆる物体や人を検出できるものなどがあります。IAアプリケーションで近接センサを使用する可能性のあるユーザーは、さまざまな近接センサ技術のタイプと、特定のセンシング状況への適用性を認識する必要があります。

この記事では、いくつかのタイプのセンサを取り上げ、感知できる対象物の種類やデバイスタイプごとの空間感度について詳しく説明します。Texas InstrumentsRed Lion ControlsLittelfuse Inc.Omron Electronics Inc.MaxBotix Inc.Carlo Gavazzi Inc.のサンプルデバイスを例として挙げています。

誘導近接センサ

誘導近接センサは、導電性を持つ(金属)物体の存在を検出するもので、検出される金属のタイプによって検出範囲が異なります。これらのセンサは、発振回路のコイルから発生する高周波の磁界を利用して動作します。磁界に近づく導電性のターゲットには誘導電流や渦電流が発生し、対向する磁界が形成されるため、誘導センサのインダクタンスが効果的に低減されます。

誘導近接センサは、2つの方式で動作します。第1の動作方法では、ターゲットがセンサに近づくと誘導電流が増加し、発振回路の負荷が増大して発振が減衰または停止します。センサは、この発振状態の変化を振幅検出回路で検出し、検出信号を出力します。

別の動作方式では、導電性ターゲットの存在による振動の振幅ではなく、周波数の変化を利用します。アルミニウムや銅などの非鉄金属ターゲットがセンサに近づくと発振周波数が上昇し、鉄や鋼などの鉄系金属ターゲットが近づくと発振周波数が低下します。基準周波数に対する発振周波数の変化により、センサの出力状態が変化します。

Texas InstrumentsのLDC0851HDSGTは、周波数の変化を利用して電磁界内の導電性物体の存在を検出する、近距離誘導近接スイッチセンサの一例です(図1)。

Texas InstrumentsのLDC0851HDSGT誘導近接センサの図(クリックして拡大)図1:LDC0851HDSGT誘導近接センサは、センスコイルとリファレンスコイルという2つの誘導コイルを使用し、センスコイルの近くにある対象物によるインダクタンスの差を測定します。(画像提供:Texas Instruments)

LDC0851誘導近接スイッチは、存在検知、イベントカウント、シンプルな押しボタンなど、検知範囲が10mm(0.39インチ)未満の非接触型近接検知アプリケーションに最適です。このデバイスでは、導電性の物体が検出コイルの近くで移動すると、出力状態が変化します。差動実装(システムの相対的なインダクタンスを決定するためにセンスコイルとリファレンスコイルを使用)とヒステリシスにより、機械的振動、温度変化、湿度の影響を受けない信頼性の高いスイッチングを保証しています。

LDC0851HDSGTの誘導ピックアップコイルは、単一のセンサコンデンサでチューニングされ、3~19MHzの範囲で発振周波数が設定されています。プッシュプル出力は、センスインダクタンスが基準インダクタンスを下回るとLow状態となり、逆の場合はHigh状態に戻ります。

磁気近接センサ

移動する金属部品の位置や速度を測定するために使用する磁気近接検出器には、ホール効果センサのようなアクティブデバイスと、Red Lion ControlsのMP62TA00ネジ式磁気ピックアップのような可変リラクタンス(VR)センサのようなパッシブデバイスがあります(図2、左)。VR近接センサは、電気回路内の電気抵抗に相当する磁気リラクタンスの変化を測定するもので、永久磁石、ポールピース、センシングコイルを円筒形のケースに収めたものです。

Red Lion ControlsのVR磁気ピックアップの画像図2:VR磁気ピックアップ(左)は、ポールピースとセンサハウジング(右)の間の磁界の変化を感知するパッシブセンサです。(画像提供:Art Pini、MP62TA00の画像はRed Lion Controls提供)

ポールピースの近くを強磁性体が通過すると、磁界が変化します。この変化により、信号コイルに信号電圧が発生します。信号電圧の大きさは、対象物の大きさと速度および、ポールピースと対象物の間隔の大きさに依存します。VRSで感知するためには、対象となる物体が動いている必要があります。MP62TA00ネジ式磁気ピックアップは、エポキシ樹脂でカプセル封止された近接VRセンサで、動作温度範囲は-40~+107°Cです。長さは1インチ(25.4mm)で、ボディは1/4 - 40UNSのネジ式です。

VRセンサはパッシブデバイスなので、電源は必要ありません。そのため、一般的に回転機械の計測に応用されています。たとえば、MP62TA00のようなVRピックアップは、鉄製のギアやスプロケット、タイミングベルトホイールなどの歯の通過を検知するために広く使われています。また、ボルトヘッドやキー溝など、動きの速い金属ターゲットの検出にも使用できます(図3)。

VRセンサの用途を示す図(クリックして拡大)図3:VRセンサは、回転機械のギアの歯、カム、キー溝などの検知に広く使われています。(画像提供:Red Lion Controls)

回転速度を測定するタコメータとして採用されているほか、回転軸の偏心を測定するためにペアで使用されています。

2つ目の磁気センサは、ホール効果を利用して磁界の存在を検知するタイプです。ホール効果は、電流を流す導体と、その導体の平面に垂直な磁界との相互作用を表します。通電している導体を磁界の中に入れると、電流と磁界の両方に垂直な電圧(ホール電圧)が発生します。ホール電圧は磁界の磁束密度に比例し、磁化されたターゲットを必要とします。

Littelfuse Inc.の55100-3H-02-Aは、デジタル出力またはプログラム可能なアナログ電圧出力を備えた、フランジ取り付け型ホール効果センサです(図4)。

Littelfuseの55100-3H-02-Aフランジ取り付け型ホール効果近接センサの画像図4:電圧出力付きフランジ取り付け型ホール効果近接センサ55100-3H-02-Aのブロック図と写真です。(画像提供:Littelfuse Inc.)

55100-3H-02-Aの寸法は25.5 x 11 x 3mmで、3線式の電圧出力または2線式の電流出力を備えています。いずれのバージョンも、中感度(130ガウス)、高感度(59ガウス)、プログラム可能な感度を備えています。このデバイスは高感度で、指定された磁石を使用して18mm(0.709インチ)の起動範囲を有します。プルダウン出力は、最大でDC24V、20mAのシンクが可能です。

このセンサは、最大10kHzのスイッチングレートで動作し、動的および静的な磁界を感知することができます。静磁界を検知できると、閉まるドアや固定された物体を検知できるため、ホール効果センサの大きな利点となっています。

光近接センサ

光近接センサは、赤外線や可視光線を用いて物体を感知します。ターゲットが磁気を持つものや金属でなくても、光を遮ったり反射させたりするだけでよいという利点があります。基本的に、光センサは光を発し、対象物からの反射光を監視します(図5、左)。

光線を出すことで対象物の位置を特定する光近接センサの画像図5:光近接センサは光線を出し、ターゲットからの反射を検出することで、対象物の位置を特定します。(画像提供:Art Pini)

光近接センサの好例としては、Omron Electronics Inc.のEE-SY1200が挙げられます(図5、右)。小型のプリント回路基板に搭載された超小型のフォトセンサで、波長850nmの赤外線で動作します。本製品は、LEDエミッタとフォトトランジスタのペアで構成された寸法1.9 x 3.2 x 1.1mm(0.0748 x 0.126 x 0.043インチ)の面実装パッケージで、-25~+85°Cの温度範囲で動作します。推奨されるセンシング距離範囲は、1.0~4.0mm(0.039~0.157インチ)です。

小型のオンボード実装なので、自動包装機における金属化したマイラー素材の位置合わせなどの用途に最適です。

超音波近接センサ

ドライブインの受付における車の検出など、より大きな検出距離が必要な場合は、超音波ベースの近接センサで対応できます。これらは、最大数メートル離れた場所にあるあらゆるタイプの物体を検知するセンサです。測定の基本となるのは、センサトランスミッタから発射された超音波パルスが対象物から反射され、センサレシーバで拾われるまでの経過時間です(図6)。

超音波測定を使用した距離測定の画像(クリックして拡大)図6:超音波による距離測定では、トランスミッタの超音波発射(左)から反射パルスの到着(右)までの時間を測定します。この時間は、センサから対象物までの最初の発射の経過時間の2倍です。(画像提供:Art Pini)

パルスの発射から反射パルスを受信するまでの時間は、センサから対象物までの往復の経過時間を表します。伝播速度と経過時間がわかれば、距離を算出することができます。図の例において、経過時間は3.1ミリ秒です。空気の場合、70°Fでの音速は1128フィート/秒なので、対象物までの往復の総距離は3.96フィートとなります。センサから対象物までの距離は、経過時間の半分、または1.98フィートです。

MaxBotix Inc.のMB1634-000は、測定範囲が5m(16.4フィート)の超音波近接センサです。2.5~5.5Vの電源が必要です。42kHzの周波数で動作し、ターゲットまでの距離をアナログ電圧、パルス幅、またはトランジスタ-トランジスタロジック(TTL)のシリアルデータストリームとして出力します。ターゲットサイズのばらつき、動作電圧、内部温度の補償(外部温度補償はオプション)などの機能を備え、1立方インチ以下のパッケージ(0.875 x 1.498 x 0.58インチまたは22.23 x 38.05 x 14.73mm)に収められています(図7)。

MaxBotixのMB1634-000超音波距離計アセンブリの画像図7:MB1634-000は、送信トランスデューサと受信トランスデューサを備えた超音波距離計アセンブリで、動作範囲は5mです。(画像提供:MaxBotix Inc.)

静電容量式近接センサ

静電容量式近接センサは、粉体、顆粒、液体、固体の金属および非金属ターゲットを検出することができます。その好例が、Carlo GavazziのCD50CNF06NOです(図8)。このデバイスは、誘導センサのセンスコイルが容量性検知プレートに置き換えられていることを除けば、全般的に誘導センサと似ています。貯蔵タンクの液位検知に最もよく使われています。

一般的な静電容量式近接センサとCarlo GavazziのCD50CNF06NOを比較した画像図8:一般的な静電容量式近接センサ(左)では、コンデンサ検知プレートが外部の対象物とコンデンサを形成し、その静電容量の値によって発振器の周波数が決まります。Carlo GavazziのCD50CNF06NO(右)は、液位監視用の静電容量式近接センサです。(画像提供:Art Pini)

センサ内の検知プレートが対象物とコンデンサを形成し、その静電容量は対象物までの距離に応じて変化します。検知対象による静電容量で発振器の周波数が決まり、その周波数を監視することで、閾値の周波数を超えるたびに出力状態を切り替えるようになっています。

CD50CNF06N0は、液位の監視を目的としています。3線式のセンサで、オープンコレクタのNPNトランジスタがノーマリオープンモードで設定されています。DC10~30Vの電源が必要です。パッケージサイズは50 x 30 x 7mm(1.97 x 1.18 x 0.28インチ)で、検出範囲は6mm(0.24インチ)です。通常のレベルセンサの用途では、非金属製タンクの外側にネジや接着剤で固定します。

結論

近接センサには、さまざまな用途に応じて複数の技術が採用されています。センサのタイプによっては、金属と非金属いずれのターゲットも検出することができ、検出距離は数ミリメートルから5メートル以上までとなっています。狭い場所でも動作するようコンパクトに設計されており、厳しい環境下でも動作可能なものが多くあります。このように、さまざまな技術が用意されているため、ユーザーは近接検知の多様な要件を満たすことができます。

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著者について

Art Pini

Arthur(Art)PiniはDigi-Key Electronicsの寄稿者です。ニューヨーク市立大学の電気工学学士号、ニューヨーク市立総合大学の電気工学修士号を取得しています。エレクトロニクス分野で50年以上の経験を持ち、Teledyne LeCroy、Summation、Wavetek、およびNicolet Scientificで重要なエンジニアリングとマーケティングの役割を担当してきました。オシロスコープ、スペクトラムアナライザ、任意波形発生器、デジタイザや、パワーメータなどの測定技術興味があり、豊富な経験を持っています。

出版者について

Digi-Keyの北米担当編集者