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特殊ケーブルでVFDとモータのノイズに対処

著者 Lisa Eitel(リサ・アイテル)氏

Digi-Keyの北米担当編集者 の提供

可変周波数ドライブ(VFD)は、自動機械に搭載されている様々な電動モータを高精度に駆動する装置です。VFDは基本的には電源を供給する電気電子部品ですが、モータの巻線に電圧を供給することで、モータの回転数と(ベクトル制御適応での)トルク出力を精密に制御します。問題は、この供給された電源に関連して、制御不能な電流などの電気的現象が発生することです...そして、これらの現象を放置すると、VFDの周辺にある、オートメーションに関するほとんどの部品とシステムにとって致命傷になる可能性があります。

Omron Automation 3G3MX2-A2015-V1 VFDの画像図1:3G3MX2-A2015-V1のようなVFDは、様々な工程やディスクリートオートメーションの用途に不可欠であり、電気モータ駆動の軸に精密な制御と安全性、最高級の効率を提供する。注意点としては、VFDの運転中には電磁干渉(EMI)が発生し、これを放置すると、周辺のフィードバック制御などの制御装置の通信低下、隣接する機械部品の破損、様々な不要トリップやその他の最適でないシステム動作が行われる可能性がある(画像提供:Omron Automation and Safety)。

VFDの設計を最適化できない理由と、その場合に駆動するモータや周辺機器に問題が発生する可能性がある理由を見極めるため、VFDの機能について考えてみましょう。VFDの機能は、以下のように要約できます。

  • まず、商用交流電源の正弦波電流を入力として受け入れる
  • 次に、ライン電力を直流に整流(変換)する
  • 最後に、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を使用して、直流電流を反転し(つまり、交流に戻し)、正確に変調されたパルストレインに変換する

基本的には、ドライブスイッチで電圧をオフ/オンして裁断電流を流すことで、あたかも滑らかに変調された正弦波の電流を受けた場合のようにモータが回転するように促します。パルス幅変調(PWM)と呼ばれるこの駆動方式では、出力速度は最終的に電流パルスの周波数に依存します。

従来のVFDは、この処理をシリコン制御の整流器(SCR)やバイポーラ接合トランジスタ(BJT)で行っていたため、現在のIGBTを用いたVFDよりも遅い反転を行っていました。IGBTによる反転の頻度が高い方が、素早く正確なモータ制御が可能になりますが、これは同時に伝導性および放射性の電磁干渉(EMI)や高周波干渉(RFI)の問題を引き起こす原因にもなります。

VFDのノイズがモータ、コントロール、ドライブ自体に与える影響

EMIの問題の原因は、ドライブが低速でモータを駆動している場合でも、各電気パルスがバス電圧の振幅を持つ方形波であることから、モータに送られる電力には、かなり短いdV/dt電圧上昇時間(μsecまたはμsecの端数で表される)が含まれるためです。

そのような問題の1つが電圧の反射波です。電動機の固定子の巻線は、始動時にはインダクタとして働き、徐々に磁界を形成して電流を流します。VFDからモータに電力を供給するケーブルの、モータとの接合部分で、インピーダンス不整合が発生します。ここで、前述のオーバーシュートによる反射波により、ケーブルのモータとの高インピーダンス接合部で、電圧波形の前縁の一部がケーブル内(駆動電子機器側)に跳ね返ります。

電圧の反射波はPWMの短いdV/dtによる電圧のオーバーシュートから発生

この現象を悪化させる要因として、ドライブからモータまでのケーブルが長すぎる(不可避の場合もあり)ことが挙げられます。長いケーブルはインダクタンスが大きく、短いケーブルに比べて電圧スパイクと反射波の複合が発生する場合が多くなります。複合波は特に有害です。これらの波(位相が変わった波)が元の電圧波と電流波の合計を持つ新しい波に事実上なるからです。

バス電圧の振幅におけるVFDの電気パルスの方形波形の画像(クリックして拡大)図2:バス電圧振幅におけるVFD電気パルスの方形波形は、短いdV/dt電圧上昇時間を引き起こし、(対処しなければ)ひいては様々な電磁的問題を引き起こす可能性がある(画像提供:Design World)。

また、モータもVFDと同様に反射波や電圧スパイクの影響を受けます。そのため、現代の自動化された設備の多くには、インバータデューティのモータが採用されています。これらのモータは、固定子の巻線に高性能の絶縁材などを使用して、全体の熱容量を高め、ほとんどの場合、電圧スパイクに対する耐性を高めています。定格はサージ電圧の大きさと継続時間に応じて構成されており、電圧上昇時間が長い(短くない)設計ほど高い定格となっています。もちろん、インバータデューティ仕様ではないモータでも、VFDによる駆動は可能です。しかし、このようなあまり堅牢でないモータへの応用は、一般的には、パラメータの難易度が中程度の自動機器に限るべきです。VFDで駆動するモータは、ケーブル長を短くしたり、ラインリアクタなどの保護部品を組み込んだりする必要があります。

VFDのために特別に設計されたケーブル

十分に高い電圧を持つ同相の複合波は、VFDを脅かすだけでなく、不適切に使用された汎用ケーブルを損傷させます。具体的には、VFDの動作に伴う高電圧スパイクは、ケーブル絶縁にストレスを与え、加熱し、さらには穴を開けてしまいます。この問題を防ぐために、VFD用に設計されたケーブルは次のとおりです。

  • 想定されるすべてのピーク電圧に耐えうる太いゲージ(小さいAWG)の導体
  • 特別に設計された架橋ポリエチレンまたは(あまり好ましくない場合もあるが)ポリ塩化ビニルで製造された絶縁体と十分に厚いインターフェース
  • VFDで発生するスパイクやノイズを分散させ、接地するためのシースなどの要素

Alpha WireのVFD用ケーブルの画像図3:Alpha WireのVFD用ケーブルは、架橋ポリエチレンの絶縁体を採用しており、電磁コロナ耐性、低静電容量(ケーブル長が長くても大丈夫)、良好な低温性能を実現している(画像提供:Alpha Wire)。

反射波に対するケーブルの耐性を定量的に示す指標として、コロナ放電開始電圧(一般的な単位はkV)があります。「コロナ(冠のように淡い光を放つことからこう呼ばれる)とは、局所的に高い電圧がかかったときに、その周囲の空気が突然イオン化することだ」と、物理学の基礎で習ったことを思い出してください。このようなイオン化によって、オゾンや様々な亜硝酸化合物が発生するので、不適切に設置されたケーブルはすぐに破壊されてしまいます(ただし、導体の周囲が十分に絶縁されている場合には、化合物は発生しません)。そのため、厚手のVFD用絶縁ケーブルを使用する必要があります。つまり、VFDのサプライヤが提示する製造要件を満たすか上回るケーブル、または汎用熱可塑性高熱ナイロンコーティング(THHN)ワイヤの米国電気規則(NEC)規格をはるかに上回ったケーブルです。VFDを屋外などの湿った場所で運転する場合には、ポリエチレン製の絶縁体を製造して使用することをお勧めします。VFD駆動の設計とそのケーブルに影響を与える突入電流やコモンモード電流などの現象については、Digi-Keyの記事「The Right Cable for an Industrial Application」をご覧ください。

VFDケーブル配線のベストプラクティス

必要なベストプラクティスは、VFDのケーブル長を可能な限り短く(できれば50フィート未満に)することに加えて、制御盤や機械盤を含むモータ駆動機器のすべての部品を適切に接地することです。つまり、共通のグランドブロックまたはマスター電位の配置を使用することで、様々な機械のポイントとグランドの間の電位から生じるグランドループの有害な影響を防ぐことができます。これが特に有効なのは、機械のフィードバックが、(グランドを流れる不注意な電流から保護されていなければ)誤った値を報告する可能性がある電圧リファレンス値を参照している場合です。このテーマの詳細については、Digi-Keyの記事「高電圧の存在下で小信号を測定し、センサグランドループを回避する」をご覧ください。

実際、多くの設計では、EMIに完全に解決するために、フィルタ、ケーブル側のフェライトリング、モータシャフトの接地リング、シールドなどのサブコンポーネントを追加する必要があります。その例を挙げましょう。VFDを設置する際には、簡単な補完部品である「接地用ストラップ」が欠かせません。この部品は、錫メッキされた銅を編み込んだフラットな細片であり、両端にリング端子が付いています。接地用ストラップは、モータ駆動の設計に組み込まれている場合、ドライブの保護アース端子(すべてのVFDに含まれている)をグランドに接続し、丸い接地ワイヤよりもはるかによく高周波電気ノイズをグランドに排出します。その比較的大きい表面積は、導体の表皮つまり表面での交流電力(特に高周波の場合)の送りやすさに対応しています。表皮効果という用語はこの動作のことです。

Falconer Electronicsの錫メッキ銅製接地用ストラップの画像図4:耐腐食性、RoHS準拠の柔軟な錫メッキ銅製接地用ストラップ。このストラップは、導体表面での高周波ノイズの伝わりやすさに対応しているため、VFD設置の接地部分に有効である(画像提供:Falconer Electronics)。

ここでもう1つの注意点は、設計では、伝導性のEMIに対して防御する必要があるだけでなく、高周波で伝送される容量結合ノイズに対しても防御する必要があるということです。このようなノイズとしては、接地用ストラップや、金属製コンジット内のシールドされていないモータケーブルなどを通してVFDモータ回路に侵入するノイズが含まれます。これらのノイズはいずれもEMIを容易に伝導し、グランドループを発生させます。静電容量結合ノイズを軽減しなければならないもう1つのエリアは、VFD駆動モータの巻線と、フレームからグランドまでの間です。

VFDに適した産業用ケーブルの3つの設計の構造図(クリックして拡大)図5:digikey.comからダウンロードできる教育用PDFに掲載されている、VFDに適した3つの産業用ケーブルの構造を比較した図(画像提供:Belden Inc.)。

まとめ

VFDは、HVAC、オイル&ガス、一般的なポンプ、コンプレッサ、ボイラなどのプロセスタイプの用途に多く使用されています。また、VFDは、コンベヤ、ミル、エレベータなど、効率化が求められる機器の可動軸に電気モータを使用した一連の産業用ディスクリートオートメーションシステムにも欠かせません。

VFDをうまく活用するには、接続されている部品や隣接するシステムに対して、電気的・電子的に有害な影響を与える可能性があることを考慮する必要があります。実際、VFDを使用するには、通常、特殊な電気フィルタ、終端、接地システム、VFD専用ケーブルを組み込む必要があります。

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著者について

Lisa Eitel(リサ・アイテル)氏

Lisa Eitel氏は、2001年からモーション制御業界で働いています。彼女が注力する分野には、モータ、ドライブ、モーション制御、動力伝達、リニアモーション、センシングおよびフィードバックテクノロジが含まれます。彼女は機械工学の理学士号を取得しています。Tau Beta Pi工学名誉協会(全米最古の工学名誉協会)の新参会員であるほか、女性エンジニア協会会員、FIRST Robotics Buckeye Regionalsの審査員を務めています。motioncontroltips.comへの寄稿に加え、Lisaは業界誌Design Worldで四半期ごとにモーション制御問題の制作も指揮しています。

出版者について

Digi-Keyの北米担当編集者