3D ToFセンサの進歩を利用した生産中のピーク高さおよび充填レベルの測定

技術の進歩は、線形の明確なプロセスであると一般的に信じられています。半導体業界は、5年先、10年先を見据えたプロセス技術やノード縮小の「ロードマップ」を公表し、過去の発展からすべてが簡単に予測可能であるように見せることで、この考え方を助長しています。

もちろん、進歩の現実は多くの場合、大きく異なっています。1947年に真空管技術を見て、その近未来や中期的な将来を予測した人は、トランジスタの登場のような画期的な出来事を織り込んでいなかったでしょう。1950年代初頭にトランジスタや回路に注目していた人たちは、その10年の終わりに登場した集積回路を考えていなかったでしょう。

技術の進歩は、このような画期的、革命的、そしてしばしば予期せぬ出来事の単なる結果ではありません。多くの場合、ある分野の専門家が関連性のない他の分野の発展を見て、それを活用し、使用してきた結果なのです。たとえば、ソリッドステートプロセス技術の進歩の多くが実現したのは、高度に精製、そして純化された基本元素や化合物の入手と、宇宙望遠鏡の光学的進歩の結果でした。

分野横断的な進歩の活用、つまり1+1が2を超えるもう1つの例としては、高度な機械学習(ML)システムやコンピュータビジョン(CV)システムにますます必要となっている飛行時間型(ToF)システムやセンサに関するものが挙げられます。

ToFシステムは、過去10年間で採用が拡大しています。その基本原理は以前から知られていましたが、実用化は困難で非現実的でした。現在では、高速で強力な計算システムと、光センサや制御可能なレーザーなどの基本的な光学製品の進歩によって、ToFが主流になりつつあります。

ToFとは

すべてのToFセンサは、光信号(光子)がセンサのエミッタからターゲットへと2点間を移動し、センサのレシーバに戻ってくる時間を利用して距離を測定します。これはレーダの原理と同じで、RFエネルギーの送信と戻ってくる反射が使われています。ToF技術とその実用化は、自律自動運転車やインテリジェントな視覚誘導ロボティクスの研究への利用によって加速しています。

ToFには、直接型と間接型の2種類があります(図1)。直接ToFセンサは、わずか数ナノ秒の短いパルス光を照射し、照射された光の一部が戻ってくるまでの時間を測定します。対照的に、間接ToFセンサは変調された連続的な光を送り、反射光の位相を測定して物体までの距離を計算します。どちらを使うかは、用途によって決まります。

図1:直接ToFセンサは、短いパルス光と正確な時間測定を使用します(左)。間接ToFセンサでは、連続変調出力と相対位相測定を使用します(右)。(画像提供:Terabee/スイス)

従来の非ToFカメラは、グリッドにプロットされた個々のピクセルの2次元カラー画像のみをマッピングします。一方、高精度のToFセンサは、ほぼ1:1のピクセル比で従来の写真に第3の次元を追加します。

これは、カメラの視野のX、Y、Z座標で1つのピクセルを視覚的に表現する「ポイントクラウド」を作成して行います。ToFセンサはさらに、最も基本的な意味で画像の集合体である動画に対し、第3の次元を加えることもできます。そうすることで、ダイナミックな3次元ポイントクラウドと、リアルタイムで深度マッピングされたビデオストリームが作成されます。

自動車以外での利用

ToFの有用性は、Banner EngineeringZMXシリーズ 3D ToFセンサが示すように、自律走行車だけにとどまりません(図2)。850nmの赤外(IR)光源を搭載した ZMX-3DE2500HF ユニットは、3Dエリア内の物体を測定および監視ができ、生産ラインで充填アプリケーション用のシングルセンサソリューションを提供します。また、ピークの高さと平均充填レベルの両方を検出できます。

図2:ZMXシリーズ 3D ToFセンサは、生産ラインでピークの高さと平均充填レベルを測定、監視、検出できます。(画像提供:Banner Engineering)

ZMXシリーズは、60° x 45°の広い視野角(FOV)、272 x 208ピクセルの解像度、200~2,500mmの距離範囲を特長としています。また、あらゆる大きさ、形状、向きの物品を検出できるため、決められたエリア内に材料、製品、パッケージが集積される産業用および生産用の自動化アプリケーションに理想的なツールです。もうひとつの興味深い特長は、完全に自己完結型であり、別のコントローラやPCを必要としないことです。定義する設定はほんのわずかで、数分で導入できます。また、物理的な接続も簡単で、電源ケーブル1本とEthernetケーブル1本で済みます。

ZMXシリーズのセンサは、以下の用途に使用できます。

  • 自動化されたシステムにおいて、シュートやコンベアから物品を回収するコンテナの中身を監視する場合。デジタル画像と数千ものレーザー測定点を組み合わせることで、3次元エリア内の物体を検出することができます。
  • たとえば、大型容器を設置して小さな長方形の箱を大量に集める場合、中身が溜まると予測できない形状の山になります。大型容器がいつ満杯になるかを正確に判断するには、センサソリューションによって、大型容器の全領域で内容量の高さの変動を検出できなければなりません。

  • 検知エリア内で最も高い位置がどこにあろうと、内容物の最大高さを認識する場合。これは内容量の計算にも役立ちます。1台の3Dセンサで、容器の安定的な充填、過充填の防止、充填率の追跡、処理速度の微調整を行うことが可能になります。
  • 複数のシングルポイントセンサが必要なアプリケーションを簡素化する場合。1台の3Dセンサで済むため設置や追跡が容易で、より信頼性の高い性能を発揮します。従来のシングルポイントセンサは、異なる形状の集積物を測定する場合、信頼性に欠ける可能性があります。
  • たとえば、単一のレーザーでは、2つの物体の間の隙間を検知した際に低く示されるかもしれませんし、超音波センサの場合は、異なる角度や形状の物体によって信号が反射されるため、まったく読み取れないかもしれません(図3)。対照的に、中央に配置された1台のZMXセンサは、3次元すべてにわたって完全なエリアカバレッジを提供します。

図3:超音波センサは、ターゲットの隙間や異なる角度の反射に惑わされる可能性があります(左)。対照的に、ToFシステムは完全な3Dエリアカバレッジを提供します(右)。(画像提供:Banner Engineering)

セットアップの簡単さ

これらのユニットには2つのコネクタと便利なインジケータLEDがあるだけなので、物理的な相互接続が簡単です。1つはEthernet用のメスM8コネクタで、もう1つは、DC電源(12VDC~30VDC)を供給し、2つのデジタルI/Oチャンネルを提供するオスM8丸型コネクタです(図4)。

図4:ZMXシリーズのセンサユニットは、ユーザーフレンドリーなインジケータLEDを備え、2つのM8丸型コネクタによるシンプルな配線相互接続が可能です。(画像提供:Banner Engineering)

電気的な接続は簡単ですが、位置センサやエリアセンサの課題のひとつは、過不足なく、見るべきものを見るように設定することです。

幸いなことに、ZMXシリーズではこのセットアップを比較的簡単に行えます。Banner 3D Configurationソフトウェアは、センサのパラメータおよびすべての接続とI/Oの設定と微調整に必要な情報を表示します(図5)。

図5:ZMXシリーズのセットアップと構成は、強力で視覚的なBanner 3D Configurationソフトウェアパッケージによって簡素化されています。(画像提供:Banner Engineering)

このソフトウェアでは、ワークスペースが以下のペインに分割されます。

1.画像ペインのパラメータには、ズーム、x、y、z座標、画像の色、ビューの選択が含まれます。

2.画像ペインには、センサが撮影した現在の画像が表示されます。また、トリガモードが外部またはソフトウェアに設定されている場合は、センサを切り離した状態で以前に保存したファイルを表示したり、画像ファイルを保存したり、センサを手動でトリガしたりすることができます。

3.接続ペインでは、センサへの接続を行えます。

4.センサ制御ペインでは、トリガモードと照光出力を制御できます。

5.充填レベルペインには、関心領域とセンサ制御のオプションおよび、ライブ充填とピーク高さのデータが含まれます。

6.通信ペインでは、センサの通信プロトコルとDHCPオプションを設定します。

7.センサメンテナンスペインには、センサ情報および、ファームウェアのアップデート、デフォルト設定や以前の設定の復元、現在のセンサ設定のバックアップに対するオプションが含まれます。

まとめ

実際の生産現場では、3次元エリア内の物体を一貫して正確に検知、測定、監視し、ピーク高さや平均充填レベルを検出することは困難な場合が多くあります。Banner EngineeringのZMXシリーズ 3D ToFセンサは、光学ベースのToFハードウェア技術とソフトウェアアルゴリズムの最新イノベーションを採用することで、これらの問題に対処し、一貫した信頼性の高い結果をより簡単に提供できるようになりました。また、セットアップ、設置、実際の使用を劇的に簡素化するグラフィカルな構成ツールによってサポートされています。

関連コンテンツ

1:ZMXシリーズ 3D ToFセンサ

https://www.bannerengineering.com/jp/ja/company/new-products/zmx-series.html#/

2:ZMXシリーズ 3D ToFセンサのクイックスタートガイド

https://info.bannerengineering.com/cs/groups/public/documents/literature/229164.pdf

3:ZMXシリーズ3D ToFセンサの取扱説明書

https://info.bannerengineering.com/cs/groups/public/documents/literature/230551.pdf

4:コンベヤ滞留の誤報をなくし、ファクトリオートメーションの生産性を高める

https://www.digikey.jp/ja/articles/eliminate-conveyor-jam-false-alarms-to-boost-factory-automation-productivity

著者について

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エレクトロニクスエンジニアであるBill Schweber氏はこれまで電子通信システムに関する3冊の書籍を執筆しており、また、発表した技術記事、コラム、製品機能説明の数は数百におよびます。これまで、EE Timesでは複数のトピック固有のサイトを統括するテクニカルウェブサイトマネージャとして、またEDNではエグゼクティブエディターおよびアナログエディターの業務を経験してきました。

Analog Devices, Inc.(アナログおよびミックスドシグナルICの大手ベンダー)ではマーケティングコミュニケーション(広報)を担当し、その職務を通じて、企業の製品、ストーリー、メッセージをメディアに発信する役割と、自らもそれらを受け取るという技術PR業務の両面を経験することになりました。

広報の業務に携わる以前は、高い評価を得ている同社の技術ジャーナルの編集委員を務め、また、製品マーケティングおよびアプリケーションエンジニアチームの一員でした。それ以前は、Instron Corp.において材料試験装置の制御に関するハンズオンのアナログおよび電源回路設計およびシステム統合に従事していました。

同氏はMSEE(マサチューセッツ大学)およびBSEE(コロンビア大学)を取得した登録高級技術者であり、アマチュア無線の上級クラスライセンスを持っています。同氏はまた、MOSFETの基礎、ADC選定およびLED駆動などのさまざまな技術トピックのオンラインコースを主宰しており、またそれらについての書籍を計画および執筆しています。

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