ネジの基礎知識とネジの種類
電子機器において、ネジは広く使われているにもかかわらず、注目されることが最も少ない部品の一つです。それでも、DigiKeyが1万3,000種類以上のネジを提供しているのには理由があるのです。回路基板の固定や、カバーパネルおよびコネクタの取り付けなどに使用されるからです。電子部品と違ってネジには刻印が押されないので、識別できるようになる必要があります。
中学生の頃、抵抗器のカラーコードを覚えようとしていると、機械工だった父が6-32の機械ネジがどのようなものであるかを教えてくれました。この知識は後年、本当に役立つ技能であることが分かりました。忘れてしまった方や、ネジについて何も知らない方は、この記事で基本的な知識を是非、身に付けてください。
ネジの基礎知識
ネジは、円柱状の棒の外側に切られたネジ山と呼ばれる螺旋状の溝を利用する固定具です。ネジは、固体、またはナットと呼ばれる小さな物体の中の、円筒形の穴の内側に切られた逆螺旋形の溝と嵌合します。相手側のネジ穴に回し込んでいったネジは、嵌合面に進んでいきます。最初に物体にネジを通すには、その物体と取り付け面が密着するまでネジを回すと、物体が取り付け面に装着されます(図1)。
図1:代表的な丸頭機械ネジの主な仕様を示した図面。(画像提供:Art Pini)
ネジの主な仕様は、長径、ネジピッチ(単位長あたりネジ山数の逆数)、長さです。長径とは、ネジ山の外側を測った直径のことです。ネジピッチとは、ネジが1回転する間に進む距離、つまり隣り合うネジ山の山頂間の距離のことです。ネジピッチの逆数が単位長あたりのネジ山数となります。長さの単位は、米国とカナダではインチ(in.)ですが、メートル法によるネジの規格を採用している国ではミリメートル(mm)です。ネジの長さは、ネジの底面から基準面までの距離です。基準面は、ネジが嵌合面に接触する部分です。丸頭などのネジの場合には、基準面は図のようにネジ頭の根元に位置します。皿穴に入る平頭ネジの場合には、基準面はネジ頭の上部になります。
ネジ山の規格
北米で最もよく使われているネジ規格はUTS(Unified Thread Standard:ユニファイ)です。UTSネジは、呼び径とネジ山数で規定されています。たとえば、¼-20は、直径が¼インチで、ネジ山数が1インチあたり20であるネジです。直径が¼インチ未満のネジは、0~16の番号で指定します。直径が0番より小さいネジは、番号00、000、0000として表記されます。たとえば、眼鏡に使われているネジは、一般に00-72です。
UTSは、各ネジ径に対して複数のネジ山数をサポートしています。低番手または粗番手のネジは、ユニファイ並目ネジ(UNC)として規定されています。より細かいピッチのネジは、ユニファイ細目ネジ(UNF)と記載されています(表1)。
表1:UTSネジ規格におけるネジの寸法。(表提供:Art Pini)
表1を参照し、各ネジ径に対して2つのネジ山数があり、10番ネジには1インチあたりのネジ山数が24または32個のバージョンがあることに注意してください。
ゲージ番号を用いてネジの絶対径を算出するには、ゲージ番号に0.013を乗じ、その積を0.060インチに加算します。したがって、6番ネジの直径は、(6 x 0.013) + 0.060 = 0.138インチとなります。
また、メートル法のネジ規格もあります。表記法は、「文字M + ネジの外径(mm) + ネジピッチ(mm)」となります(表2)。
表2:並目ネジ、細目ネジとも、ネジ径とネジピッチはメートル法で記載されています。(表提供:Art Pini)
細目(ピッチ)ネジは、ネジ径の選択肢が並目シリーズよりも多くありますが、表2には並目シリーズと同じ径だけを示しました。UTSネジと同様、メートルネジも直径ごとに2種類のネジピッチが用意されています。ネジピッチは、1mmあたりのネジ山数の逆数と覚えておいてください。
ネジ頭の形状 & 駆動方式
ネジ頭の形状にはさまざまなものがあります。ネジ頭の形状には、それぞれ固有の利点があります。たとえば、平頭ネジは一般に、ネジ頭がネジが捻じ込まれる面より完全に下になるように皿穴に埋められます。これにより、表面に突起物がない状態を保つことができます。電子機器組立に使用される最も代表的なネジ頭タイプを下の図2に示します。
図2:代表的なネジ頭タイプの例。一般に、用途によって、使用するネジ頭タイプが決まります。(画像提供:Art Pini)
ネジは、ネジ頭形状と駆動方式の組み合わせで表現されます。駆動方式によって、どのような工具を使ってネジを回せばよいかが決まります(図3)。
図3:ネジの駆動方式によって、ネジ頭にかけられる最大トルクが決まります。また、ネジを回すための工具の種類も決まります。よく使われる駆動方式をいくつか上に示します。(画像提供:Art Pini)
六角頭を除く上図のどの駆動方式にも、適切なドライバーが必要です。六角ネジには、レンチやナットドライバーを使用します。どの駆動方式を選ぶかは、アプリケーションによって決まります。
ほとんどのネジは、時計回りに回すと進みます。これを右ネジといいます。あまり使われないネジとして、左ネジがあり、このネジは反時計回りに回すと進みます。
電子機器に使用されるネジの種類
電子機器に使用するサブアセンブリ(部品)が多い場合は、それらを組み立てるために必要なネジの種類も増えます(図4)。
図4: 電子アセンブリによく使用されるネジの種類。(画像提供:B&F Fastener Supply、RAF electronic-hardware、Pomona Electronics)
機械ネジは、その名の通り、機械、車両、電子機器、家電製品などの部品を機械的に取り付けるためのネジです。たとえば、回路基板をネジ付きスペーサーに固定するような場合です。図4の左に示すB&F Fastener SupplyのPMS-632-0075-PHは、なべ頭、プラスドライバー駆動、長さ¾インチ、#6-32の機械ネジです。
左から2番目のセルフタッピングシートメタルネジは、B&F Fastener Supplyの6X1/2 HHSMSです。長さ½インチ、#6(6番)の六角ネジです。シートメタルネジは、シャシやエンクロージャなどのシートメタル部品を接合するために使用されます。小さな下穴を開けるだけで、シートメタル部品に挿入することができます。ネジは、捻じ込まれると、自分でメネジを切ります。
左から3番目のパネルネジは、取り外し可能なパネルを固定するためのものです。ショルダネジの一種です。本ネジの上部は、シャンクと呼ばれ、ネジ山がありません。パネルの穴を通過して、ネジ部でパネルをネジ付きの取り付け穴に固定する際に自由に回転させることを目的としているためです。図のネジは、RAF Electronic Hardwareの溝付き頭#4-40パネルネジ0100-SS(長さは21/32インチ)です。
最後の例は、固定ネジです。固定ネジは、ノブ、ギア、カムなどの回転部品を軸に固定するために使用されます。このネジは通常、溝付き駆動やアレン駆動を採用した無頭ネジです。その好例が、Pomona Electronicsの、溝付き頭の#8-32止めネジ4914です(右端)。
まとめ
これらは、存在するネジの種類のほんの一部です。このガイドが、お客様の次期設計プロジェクトに最適の機械ネジを選定するためのガイドとしてお役に立つことを願っております。
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