シングルペアEthernet(SPE)
時折、私たちはテクノロジにおける大きな飛躍を経験します。今、私たちはそうした瞬間の1つを目撃しています。最近、複数のメーカーが協力して、新しいEthernet接続を世に送り出しました。シングルペアEthernet(SPE)は、2本の銅線を使用し、短距離にわたって最大1Gb/sの速度でデータを伝送でき、同時にパワーオーバーデータライン(PoDl)を提供します。これは、ファクトリオートメーション、ビルオートメーション、スマートカーの登場、およびに鉄道おいて、大きな前進となる可能性があります。データ収集および送信の速度は、あらゆる産業にとって不可欠です。製造所や工場におけるセンサネットワークの拡張または自律車両の製造においても、大量のデータが収集されています。現在、そのデータを確実に収集および伝送する機能がますます必要とされています。
SPE Industrial Partner Networkは、IEC 63171-6というEthernet通信の新しいユニバーサル規格を協力して作成しました。HARTINGやWürth Electronicsなどの企業は、新しい技術をサポートする通信プロトコル、ケーブル、コネクタ、およびデバイスのエコシステムを確立しました。
(画像提供:HARTING)
SPEの仕組みについて考えてみましょう。標準的なEthernetは、銅線の複数のペアを使用してデータを伝送します。100Mb/sでデータを伝送するには銅線が2ペア必要で、1Gb/sでデータを伝送するには4ペアが必要です。これは、大規模な接続やデバイスにはより大きなケーブルが必要であることを意味します。製造プロセス全体にわたってセンサの数が増えると、必要なケーブルの量も劇的に増加します。これにより、コストが高くなり、膨大な量の貴重なスペースが必要になります。より小さな経路で大量のデータを伝送することが、今は必要になっています。SPEは最大40メートルの距離にわたって1Gb/sの速度で伝送できるだけでなく、PoDIも提供できます。
SPEをどこで採用するのが道理にかなっていますか?各アプリケーションには、異なるソリューションが必要です。標準EthernetからSPEへの移行が、常に道理にかなっているわけではありません。特に、変更する必要のあるインターフェースやデバイスの数を考慮すると、この移行には法外なコストがかかる場合もあります。たとえば、大規模な工場でSPEを実装するのは困難な場合があります。ただし、大量データの伝送速度に加えて重量が大きな要素となるアプリケーションでSPEを実装するのは道理にかなっています。車載用および鉄道アプリケーションについて考えてみましょう。車載用アプリケーションにおいて、スマートカーはSPEを活用して、自動駐車、レーン変更検知、および自動緊急ブレーキなどを実行することができます。
ビルオートメーションへのSPEの実装は、もう一つの潜在的市場です。多くの企業が「スマート」技術に移行してビルのエネルギー効率を向上させようとしている中で、センサの組み込みが必要になります。ビルオートメーションには、たとえば照明センサ、温度センサ、占有センサ、および湿度センサなどが必要です。これらのセンサの多くはワイヤレスで、小さな帯域幅しか必要としませんが、それでも電力を必要とします。もちろん、4ペアのEthernetはこの負荷を処理することができます。ただし、シングルペアのEthernetを使用すると、必要なケーブルの量を大幅に削減できます。1棟のビルに必要なセンサとIoTコネクテッドデバイスの組み合わせは、数百、さらには数千にも達する場合があります。これにより、小型ケーブルのニーズがいっそう高まります。SPEをビルオートメーションに組み込むことにより、企業は財政投資を大幅に節約できる可能性があります。同時に、大量のデータを迅速に処理できるようになります。
最近、DigiKeyは、T1産業用シングルペアEthernetコネクタおよびWürth Electronics向けのシングルペアEthernet製品を製品ポートフォリオに追加しました。製品の詳細や仕様については、当社の新しいSPE製品記載ページをご覧ください。
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