互換性のある同軸コネクタと「互換性があるように見える」同軸コネクタの違いを理解してコストのかかるミスを回避
計器は3.5mmのコネクタを使用するのに対し、同軸ケーブルは2.92mmのコネクタを使用します。これらは、互換性があるように見えます。それは測定にどのような影響があるのでしょうか?SMAコネクタで計器に接続できますか?あるいは入力コネクタに損傷を与えるでしょうか?コネクタの嵌合は、一歩間違えれば高価な計器の入力コネクタを破壊し、高額な修理が必要になる奇妙な世界です。そんな失敗をしないためには、どうしたらいいでしょうか?
コネクタの互換性を得られるのは、通常、コネクタファミリの設計であらかじめ互換性が考慮されたときです。これは多くの場合、コネクタの帯域幅と電気的性能の向上を意図して、実績がある従来の既存設計をベースに新しいコネクタを設計するという排他的なプロセスです。互換性が意図されている場合でも、不要な損傷を防ぐために注意が必要です。いくつかの簡単な手順に留意することで、高額な修理を回避できるしょう。
コネクタ品質のグレード
一般的に、同軸コネクタは、特定の品質グレードまたはクラス内で動作するように設計・製造されています。コネクタには、メトロロジー、インストルメント、プロダクションの3つのグレードがあります。
メトロロジーグレードコネクタは、最高の精度と品質基準で製造されています。このグレードのコネクタは測定較正標準での使用が想定されているため、最高の精度と精密さが要求され、国家標準のトレーサビリティが可能です。このグレードでは、嵌合インターフェースが厳密に制御され、クリアランス、平坦度、ピンの深さを最高の公差で維持しています。このクラスのコネクタは、最もコストが高くなります。
コネクタの品質レベルの中間に位置するのが、インストルメントグレードコネクタです。このグレードのコネクタは計器での使用が想定されており、再現性を備えた良質の性能と、信号の完全性に優れた正確な測定ができることを特徴としています。実験室での使用を目的とした試験・計測機器によく見られます。一般的に、インストルメントグレードコネクタは、指定された最大数の嵌合作業で最長の寿命を提供します。
最も品質レベルの低いコネクタは、プロダクショングレードまたは商用グレードのコネクタです。このクラスのコネクタは、生産・製造現場でよく使用されます。これらは、組立の簡素化と低コストが主な懸念事項となっている汎用フィールドアプリケーションを対象としています。機械公差は、他の品質グレードよりもはるかに緩くなります。通常、これらのコネクタの嵌合動作の数はより制限されており、一般的に最も低コストです。
交換可能なコネクタタイプ
計器によく見られる一般的な50Ω同軸コネクタを表1に示します。右端のメモ列には、その互換性が記載されています。
表1:計器で一般的に使用されている同軸コネクタの特徴と互換性。(表提供:Art Pini)
互換性には大きく分けて2つの領域があります。1つ目は機械的なもので、コネクタが合うかどうかです。2つ目は電気的なもので、信号の完全性の保証にマッチした帯域幅とインピーダンスをコネクタが備えているかです。
IEEE Std 287で規定されているコネクタは、メトロロジーグレードまたはインストルメントグレードのコネクタです。MlL-STD-348で規定されているSMAコネクタはプロダクショングレードのコネクタですが、メーカーによっては、より厳しい機械公差と拡張帯域幅を備えた「精密」バージョンのコネクタを供給している場合があります。
この表は、異なる品質クラスのコネクタの嵌合には注意が必要であることを強調しています。
2.4mmと1.85mmのコネクタは、どちらもインストルメントグレードなので、嵌合が可能です。この嵌合の帯域幅は、低い方(2.4mmコネクタ)の帯域幅である50GHzに低下することに注意してください。
3.5mmと2.92mmのコネクタを嵌合した場合も同様で、帯域幅は33GHzに低下します。
品質グレード全体にわたるコネクタの嵌合
SMAコネクタはプロダクションクラスのコネクタであり、機械公差はインストルメントクラスのコネクタほど厳しくはありません。一般的な問題として、SMAプラグのセンターピンの直径や長さが3.5mmや2.92mmの仕様と異なる場合、レセプタクルを破損する場合があります。正しく適合しない嵌合素子は、インターフェースの電気的整合性に影響を与え、マッチング不良や反射の原因となります。他にも、仕様に沿わない同心度、表面仕上げの不良といった問題があります。
同心度とは、コネクタ本体のピンのセンタリングのことです。公差外の中心がずれたピンにより、リセプタクルの接点が曲がり、その後の嵌合に使用できなくなる可能性があります。
嵌合素子の表面仕上げは、へこみ、出っ張り、バリ、汚れなどがなく、滑らかである必要があります。表面の欠陥は、電子的なマッチング不良や信号の反射を引き起こす可能性があります。
破損を防ぐための簡単なルール
以下の簡単なルールに従うことで、コストのかかるエラーを回避することができます。
1.コネクタセーバーを使用して、計器コネクタを保護します。コネクタセーバーとは、計器コネクタと外界の間に追加される同軸プラグ/ジャック変換アダプタのことです。コネクタセーバーが破損した場合、比較的安価で簡単に交換することができます。
3.5mmコネクタの場合、Carlisle Interconnect TechnologiesのTMA-5MS-5FS-00 3.5mm(オス)- 3.5mm(メス)同軸アダプタなどの同軸アダプタを使用します(図1)。
図1:TMA-5MS-5FS-00は、計器コネクタを保護するコネクタセーバーとして使用できる3.5mm同軸アダプタです。(画像提供:Carlisle Interconnect Technologies)
2.92mmコネクタの場合、P1dB Inc.のP1AD-29MF 2.9mmプラグ - 2.92mmジャック同軸アダプタなどの同軸アダプタを使用します(図2)。
図2:P1AD-29MFアダプタは、2.92mm同軸接続用のコネクタセーバーとして使用できます。(画像提供:P1dB Inc.)
2.SMAコネクタの汚れ、センターピンの真直度、ピンの同心配置を検査します。
3.アルコールと、糸くずの出ない綿棒を使用して、両方のコネクタを丁寧に掃除します。
4.センターピンとレセプタクルを合わせ、しっかりと固定されるまで静かに嵌合します。
5.コネクタナットを手で回して、コネクタ本体を互いに回転させないように注意しながら、コネクタを嵌合させます。手でナットを締めます。
6.Copper Mountain TechnologiesのCMT TW-S(図3)のようなトルクレンチを使用して、適切なトルク仕様を確認します。コネクタのトルク仕様が異なる場合は、小さい方を使用する必要があります。締め付けの際、コネクタ本体が回転しないようにしてください。
図3:CMT TW-Sなどのトルクレンチを使用すると、正しく接続することができます。コネクタのトルク仕様が異なる場合は、どちらか小さい方を使用します。(画像提供:Copper Mountain Technologies)
まとめ
同軸コネクタは互換性があるように見えますが、複数のグレードがあり、サイズも微妙に異なるので、必ずしも互換性があるとは限りません。上記の簡単なルールに従うことで、計器コネクタを保護し、優れた測定品質を保証することができます。
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