2023年からサプライチェーンはデジタル化へ
新年になったので、私たちは昨年に経験した多くのサプライチェーンの課題を回顧することができます。これらは、一見克服できないように見えますます。今後進むべき道でも、独自の課題も新たに発生させつつ、たえず問題も増加することでしょう。サプライチェーンを改善して問題を解決するためのテクノロジーソリューションは数多く存在するので、2023年はほとんどの企業がアジリティと透明性の向上およびセキュリティの強化に向けた投資を行うことになるでしょう。
同時に、サプライチェーン業界には、卓越したサプライチェーン管理を実現するプラットフォーム、テクノロジー、アプリケーションが満ちあふれています。今後2、3年の間に市場でこれらのソリューションも淘汰され、確かな採用実績のあるソリューションのみが残るでしょう(とは言っても、悲しいかな、最高のテクノロジーが常に勝つわけではないことは周知の事実ですが、それはまた別の機会にお話ししましょう)。
ASCM(Association for Supply Chain Management:サプライチェーン管理協会)は、データ、アドバンスドアナリティクス(Advanced Analytics)、オートメーションをサプライチェーンの重要な柱と位置づけており1、どれを実現するのもどのように最適な支援技術を選択するかにかかっています。前回の記事「2023年:サプライチェーンの知恵とノウハウの活用」でも述べたように、クラウドを使用した戦略は、コラボレーションを可能にしながらも、強力なセキュリティ方針を実現できるため、サプライチェーンにおいて主導権を握ることになるでしょう。しかし、スマートで効果的な方法でテクノロジー採用の優先順位を考えるためにテクノロジーというパイを切り分ける切り口は、他にもいくつかありますので、本稿では、そのような切り口をご紹介します。
図1:ASCMによって抽出された上位トレンドの少なくとも半分はサプライチェーンテクノロジーに関連しているので、今年はサプライチェーンをスマート化する年になるでしょう。(画像提供:ASCM)
ビッグデータとアナリティクス
ビジネスの成功の鍵は、データを所有することではなく使用することにあります。データは、実用的な意思決定に繋げない限り、それ自体ではサプライチェーンにはまったく無益だからです。このような現実から、企業はビッグデータとアナリティクスの使用を採用することで、ソリューションがサポートする可視性・計画同期化・アジリティ・収益性の向上を獲得する方向に進むでしょう。
現在、ほとんどの企業では、サプライチェーンの可視性がややぼやけています。私が目にした年末のInterosのグローバルサプライチェーンレポートでは、4分の1から3分の1の企業が、「ティア1のサプライヤ以外ではサプライチェーンの混乱について知る能力に自信がない」と回答しています。さらに、それらの企業では、「サプライチェーンの混乱とサプライヤの増加が予測されるため、「データを分類し、把握しておくことがこれまで以上に重要になる」と考えています。
ビッグデータとアナリティクスは、サプライチェーンの専門家がデータの過多を解消し、把握、洞察、最適な活用につなげるのに使用できるペア技術です。サプライチェーンの専門家は、自社にあるデータの対象範囲を把握する必要があるとともに、そのデータを収集し評価するための構造を作成するために、技術的な専門知識を得ることに努力することも必要です。必要となるデータとしてはたとえば、リアルタイムデータのインサイト、社内のデータソース(会社全体と各種システムのデータ。および、パートナーシステムから提供されるデータ)、ならびに社外のパブリックデータソース(メディアやエンターテイメントからのデータ、気象データ、センサデータなど)があります。アナリティクスツールを適用することで、企業は生データを基に意思決定を行うことができます。
デジタルサプライチェーン
デジタルサプライチェーンは、その実現のため、ビッグデータと手を携えて歩んできました。従来のサプライチェーンは、線形的(一度に1ステップのみ)で、どこかの時点でミスがあると遅延が生じます。デジタルサプライチェーンでは、OEMとサプライヤは、互いのシステムを統合することで、構造化および非構造化データを取得したり双方向で共有したりすることができます。すべての利害関係者を完全に可視化することで、問題をリアルタイムに把握し、解決することが可能になります。デジタルサプライチェーンを実現するには、データを収集・送信するセンサ、サプライチェーンの仮想モデルを提供するデジタルツイン、関係企業間の共有インターフェースなど、様々な支援技術が必要です。
人工知能(AI)と機械学習(ML)
AI/ML技術を使用することで、コンピュータ&ロボットシステムは人間の知能プロセスを形式的にシミュレートできるため、通常は人間が行う作業を実行することができます(つまり、手作業が自動化できるわけです)。このような事例をサプライチェーンに求めれば、輸送経路や在庫状況を特定する需要予測作業がそれに当たります。ML(AIのサブセット)を使用すると、システムはトレンドに基づいて時間をかけて学習し、異常を発見して、予測などのインサイトを提供することができます。また、MLやAIは、アルゴリズムを使って市場環境の変化や需要の変動に対応できるので、在庫管理やサプライヤ管理などの業務にも役立ちます。
ロボティクス
ロボットはSFの世界を超えて急速に進化しています。実際、協働ロボット(コボット)は、人手不足、需要の急増、供給の混乱など、サプライチェーンの重要な課題に対処するのに役立ちます。Allied Market Researchは、世界の物流ロボット産業を63億ドルとし、2031年までに278億ドルの市場(年間成長率16%以上)になると予測しています3。倉庫では、ロボットがワークフローを改善することで、安全性を高め、コストを削減することができています。多くの場合、ロボットは、退屈な反復作業を引き受けて、注意を必要とする作業に人間が専念できるようにします。
データセキュリティとサイバーセキュリティ
最後に、サプライチェーンはあらゆる企業にとって戦略的な資産であるため、この資産を保護することは今後の重要な課題となります。コラボレーションを行うということは、企業が互いを犯罪者やデータ侵害にさらしてしまう可能性があるということでもあります。企業のIT、サプライチェーン、調達の各機能が連携して、サプライチェーンの脆弱性を特定し、対処する必要性がますます高まっているというわけです。ファイアウォール、ハッキング防止技術、冗長性など、様々なセキュリティプロトコルに投資することが重要です。サイバー攻撃については、企業はITセキュリティ、サプライチェーン、および調達管理者が緊密に協力して、システムやネットワークにアクセスするサプライヤの脆弱性を特定し、それを塞ぐ必要があります。
今後数年間はあらゆるサプライチェーン技術が爆発的に普及することが予想されますが、OEMが、サプライチェーンのニーズを長期にわたって満たせる技術やベンダーと連携するに当たっては、綿密な計画を立てることが必要でしょう。
リファレンス:
1:https://www.ascm.org/making-an-impact/research/top-supply-chain-trends-in-2023/
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