2026年メモリ課題:AIが引き起こすメモリ不足と価格高騰

世界のエレクトロニクス業界は、人工知能(AI)によって引き起こされる深刻なサプライチェーン崩壊の瀬戸際に立たされており、2026年はメモリにとって重大な年となる見込みです。前例のない品不足と価格高騰が顕著になると予測されています1。AIブームに端を発する膨大な需要と構造的な供給制限が相まって、世界中のメーカーと消費者に影響を与えることが確実視されています。

相手先ブランド製造(OEM)メーカーは、コスト変動やメモリ不足の影響を軽減するため、早急な対策を講じる必要があります。

メモリ不足の現状理解

この混乱は主に、AIインフラ向け特殊メモリに対する世界的需要が圧倒的に高まっていることに起因しています。これには従来のDRAMやNANDフラッシュストレージに加え、DDR5 64GB RDIMMなどの先進メモリも含まれています2

2026年の予測は厳しく、DDR5 64GB RDIMMの価格は2025年第1四半期から2026年にかけて倍増する見込みです(図1)。この急速な価格上昇は机上の空論ではありません。従来のDRAM価格が2026年を通じて四半期ごとに二桁のパーセンテージで上昇する可能性があるとの警告もあります3

図1:DDR5 64GB RDIMMなどのメモリ価格は2026年に急激に上昇する見込みです。(画像提供:Counterpoint Research)

このような高騰により、各社は高収益、高需要の部品へ資源と生産ラインを転換せざるを得ない状況です。さらに、メーカーが収益性の低い製品の製造から撤退するにつれ、それらの製品の供給も厳しくなる可能性があります。

技術に関係なく、メモリサプライヤの収益は増加傾向にあります。Yole Groupによれば、世界のメモリ収益は2024年に1,700億ドルに達し、2030年には3,020億ドルに達する見込みです(図2)4。DRAMは規模と成長可能性の両面で引き続き主導的立場にあり、高帯域幅メモリ(HBM)が中核となるでしょう。

図2:世界のメモリ売上高は2024年に1,700億ドルに達し、2030年には3,020億ドルに達する見込みです。(画像提供:Yole Group)

メモリおよびストレージの供給不足が懸念される中、チップメーカー各社はすでに価格調整を始めています。最初の危機は2025年に起こりましたが、不足が長期化する性質上、市場環境は2026年にかけてさらに厳しさが増すと予想されています5

2026年:サプライチェーンの激戦区

予測されるメモリの急増と不足は、2026年に世界のエレクトロニクスサプライチェーンを根本的に再構築することになるでしょう。この状況は、民生用電子機器からハイエンドのサーバに至るまで、あらゆる電子機器に必ず搭載されている部品であるメモリとストレージに影響を及ぼすという点で非常に稀なことです。

メモリ部品の原材料コストが倍増する中、増加した投入コストは吸収されるか、サプライチェーン全体に転嫁される必要があります。これにより、ほぼすべてのOEMメーカーにとって部品原価(BOM)が上昇し、利益率が圧迫されるほか、エンドユーザー向け製品価格の上昇につながる可能性があります。

この問題はコスト増加にとどまらず、深刻な供給課題も伴います。メモリおよびストレージ部品の世界的な不足が深刻化する中、必要な量を確保することはますます困難になるでしょう。チップメーカーはおそらく、大手のAIインテグレータやハイパースケーラなど、大口・高価値顧客を優先する見込みであり、中小企業は残りの在庫をめぐって競うことになるでしょう。こうした中小企業は、知名度の低い新たな供給ルートを探すという誘惑に駆られ、低品質品や偽造品を調達するリスクが高まります。

現在の製造インフラ自体が課題であり、市場サイクルの問題ではないため、こうした市場動向と供給不足は、見通し可能な将来にわたって継続する可能性が高いと考えられます。現在の生産能力では、従来のエレクトロニクス市場と、急成長中の資源集約型AI分野の需要を同時に満たすことはできません。さらに、中国が大規模なAIの展開を支援する方向へ技術的転換を図っていることも市場の重要な推進力となっており、この制約が真にグローバルなものになることを保証しています6

結局のところ、予想される供給不足と資源をめぐる激しい競争が、不安定な調達環境を生み出すことになるでしょう。生産スケジュールは信頼性を失い、リードタイムは長期化し、急激な市場変化による部品の陳腐化のリスクが高まるため、調達チームや設計チームにとって大きな運用上の問題となる可能性があります。メモリ市場の高い変動性は、長期固定価格契約を結んでいる企業や厳しい予算制約下で経営している企業にとって、重大な財務リスクをもたらすでしょう。

中小OEMメーカーのリスク軽減策

中小OEMメーカーにとって、予測される市場環境は、緊急かつ戦略的な計画策定を必要とします。これらの企業は、部品を保有するために必要となる資本コストの劇的な増加を考慮し、財務予測と緩衝在庫戦略を再評価しなければなりません。

さらに、既存の戦略的サプライヤとの積極的な連携が極めて重要となります。DRAM不足は拡大しており、来年も供給不足が続くと予測されているため、中小OEMメーカーは契約満了や供給不足が顕在化するまで待つことはできません。市場がさらに厳しくなることを認識し、今すぐ供給確保の取り組みを進める必要があります。

加えて、新製品導入(NPI)においては、調達部門がエンジニアリングや設計部門と緊密に連携し、設計の柔軟性を最適化するとともに、部品表(BOM)を積極的に管理すべきです。製品またはシステム設計者の観点からは、再認定を必要とせずに複数のメモリ密度、速度、サプライヤに対応可能なアーキテクチャを採用することが賢明でしょう。

最後に、設計者は18~36か月後の供給状況と価格動向を慎重に予測し、それに応じて設計を調整すべきです。特定の部品やメモリ技術が予想以上に逼迫した場合に備え、迅速な設計変更に対応できる体制を整えておく必要があります。要するに、緩和策は前例のない価格変動に対する耐性を構築し、2026年に予測される危機のピークよりはるか以前に供給を確保することに重点を置く必要があります。

この傾向は明らかです。AIブームが深刻な、場合によっては致命的なメモリ不足と価格高騰を引き起こしており、これが2026年のエレクトロニクスサプライチェーンを決定づけるでしょう。中小OEMメーカーにおいては、世界的なサプライチェーン危機の到来に備え、財務面での再評価と早期の供給確保を中核とした、即時かつ断固たる対応が求められます。

参考

1:https://www.reuters.com/world/china/ai-frenzy-is-driving-new-global-supply-chain-crisis-2025-12-03/

2:https://counterpointresearch.com/en/insights/advanced-memory-prices-likely-to-double-as-dram-crunch-spreads-on-nvidia-pivot-structural-factors

3:https://finance.yahoo.com/news/looks-memory-prices-set-keep-152000968.html

4:https://www.yolegroup.com/strategy-insights/memory-industry-at-a-crossroads-why-2025-marks-a-defining-year/

5:https://www.thefpsreview.com/2025/12/07/industry-wide-price-hikes-expected-in-2026-as-manufacturers-begin-implementing-price-adjustments-due-to-memory-and-storage-supply-shortages/

6:https://www.morganstanley.com/insights/articles/china-ai-becoming-global-leader

著者について

Image of Hailey Lynne McKeefry

ヘイリー・リン・マッキーフリーは、特に電子部品業界のサプライチェーンを中心に執筆活動を行っているフリーランスライターです。「サプライチェーン専門家が集う第一級のオンラインコミュニティ」である「EBN」の元編集長であるヘイリーは、キャリアを通じて様々な編集上の貢献を行うとともにリーダーとしての役割を担ってきました。彼女は、教会の助祭という聖職への取り組みと死別カウンセリングへの取り組み、それに仕事への取り組みとの間でバランスをとる生活を送っています。

More posts by ヘイリー・リン・マッキーフリー
 TechForum

Have questions or comments? Continue the conversation on TechForum, Digi-Key's online community and technical resource.

Visit TechForum