産業用アプリケーション向けフレキシブルケーブルの選び方
最近、地元のメーカースペースで開催されたロボティクスの展示会に行ってきました。展示されていた機器の独創性と多様性には目を見張るものがありました。Boston Dynamicsの犬のようなロボット、スポットには特に感心しましたが、その犬らしからぬ動きには正直言って不安を感じました。
この経験は、動く機械の中で電源とデータを振り分けることの難しさを思い起こさせました。ピックアンドプレースシステムのような確立されたアプリケーションから協働ロボットのような新しい分野まで、ケーブルは定期的に曲げたりねじったりする必要があります。これは、動きのないアプリケーション用に設計された、一般的なケーブルの敷設にとっては問題です。繰り返し曲げると、これらのケーブルはさまざまな要因で劣化する可能性があります。以下にその例を挙げます。
- ケーブルの外被は、ケーブルマネジメントシステムやその他の環境要素による摩耗によって損傷する可能性があります。
- 絶縁材や外被材は、繰り返されるひずみによってひびが入ったり、壊れたりすることがあります。
- 導線やシールドは、特に連続的なケーブルの屈曲が必要な複雑な動作を伴うアプリケーションでは、破損する可能性があります。
過酷な環境では、研磨材や腐食性物質、極端な温度環境によって、この劣化状況がさらに悪化する可能性があります。このような環境ハザードにより、外被や絶縁体がもろくなり、故障しやすくなります。
このような用途で長持ちさせるためには、アウトサイドインの設計思想を取り入れることが有効です。以下にその例を挙げます。
- ケーブル外被が外部環境の危険に耐えられることを確認することから始めます。
- 遮蔽システムが必要かどうかを判断し、予想されるひずみに耐えられることを確認します。
- ケーブルが、繰り返し曲げられることを想定した導線など、適切な内部構造を持っていることを確認します。
それぞれの要因について詳しく見ていきます。
耐久性のあるケーブル外被材の選択
産業環境用のフレキシブルケーブルでは、通常、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、または熱可塑性エラストマ(TPE)で構成された外被を使用しています。それぞれの材料には利点がありますが、TPEはほとんどの環境ハザードに対して優れた耐性を発揮します(図1)。TPEはまた、その優れた柔軟性でも際立っており、繰り返し曲げたり、撓んだりしても、ひびが入ったり割れたりすることはありません。
図1:TPEはほとんどの環境ハザードに対して優れた耐性を発揮します。(画像提供:Alpha Wire)
これらの利点は、 Alpha Wireの Xtra-Guard Flex TPEケーブル に見ることができます。100万回の屈曲サイクルに対応し、Oil Res I/II およびFT4 の難燃性を誇るこれらのケーブルは、製造用ロボットやモーションコントロールなどの用途で高い信頼性と性能を発揮するよう設計されています。
これらのケーブルには、電力制限トレイケーブル(PLTC)またはトレイケーブル(TC)のバリエーションがあります。PLTCおよびTC定格は、ケーブルが屋外環境でも追加保護なしでケーブルトレイやレースウェイに直接敷設できることを意味し、敷設を簡素化し、コストを削減します。
Alpha Wireは、ガントリシステムなどのローリングフレックス用途向けに Xtra-Guard Continuous Flex TPE制御ケーブル提供しています。これらのケーブルは、極度のストレスに耐えるため、さらに堅牢な構造を採用しています。
シールド材の柔軟性と効果のバランス
電磁妨害(EMI)シールドにおける選択肢は、圧倒的に多いです。技術者は、銅やアルミニウムといった幅広い材料や、ホイルや編組といった数多くの製法から選択しなければなりません。各オプションには、シールド効果、機械的耐性、コスト、重量に関するトレードオフがあります。
これらのトレードオフを最小限に抑える1つの方法は、シールドを組み合わせて使うことです。たとえば、Alpha Wire独自のSupra-Shieldは、アルミニウム/ポリエステル/アルミニウムホイルと錫メッキ銅編組シールドを使用し、75%の高いシールド適用範囲を実現しています。図2に示すように、ホイルシールドと編組シールドの組み合わせは、優れた柔軟性を保ちながら、優れたEMI性能を提供します。
図2:Supra-Shieldは、ホイルシールドと編組シールドを組み合わせ、優れた性能を実現しています。(画像提供:Alpha Wire)
耐久性を考慮した導線設計
フレキシブルケーブルの導線は、長寿命を確保するために撚り線設計を使用する必要があります(図3)。この設計により、屈曲による応力が1点に集中することなく分散され、金属疲労と破損のリスクが軽減されます。Xtra-Guard Flex TPEケーブルはすべて撚り線設計で、サイズは10~20AWG、導線数は2~12です。
図3:ここに示すような撚り線は、金属疲労を軽減するためにひずみを分散させます。(画像提供:Alpha Wire)
まとめ
動く機械は、ケーブル配線に関して固有の課題をもたらします。ケーブルがこれらの用途や使用環境の厳しさに耐えられることを保証することは、システムの寿命と信頼性にとって極めて重要です。このように、TPEのような素材は優れた耐性と柔軟性を提供し、Alpha WireのSupra-Shieldのような革新的なシールドシステムは耐久性を犠牲にすることなく最適なEMI性能を提供します。さらに、ケーブルに撚り線を使用することで、ケーブルは用途に応じたストレスに耐えることができます。
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