インダストリ4.0機器に産業用Ethernetを迅速・経済的に追加する方法

インダストリ4.0や産業用モノのインターネット(IIoT)に対応するスマートファクトリの設計者は、コンパクトで堅牢、低レイテンシ、低電力のオートメーション & 制御ネットワークインターフェースを迅速に導入できる必要があります。スマートファクトリの性能要件は、産業用Ethernet(IE)によって満たされつつあります。IEは、Ethernetプロトコル内にカプセル化されたPROFINET、EtherNet/IP、EtherCATなどのプロトコルと、変更したメディアアクセス制御(MAC)層を使用して、インダストリ4.0の機器に求められる低レイテンシ/リアルタイムの性能を提供するものです。

しかし、柔軟なIE実装に必要な部品をすべて集めると同時に、IEソフトウェアにおける信頼性の高い動作と相互運用性を確認することは、困難な場合があります。

また、電力効率や環境面での課題もあります。たとえば、IEネットワークでは、スター型ネットワークに比べ配線長が短くなるライン型やリング型のネットワーク構造が一般的です。しかし、ライン型やリング型のネットワークでは、機器1台ごとに2つのEthernetポートが必要となるため、物理層(PHY)の消費電力が設計上の重要な検討項目となります。

産業環境における高温とコンパクトなソリューションの必要性から、設計者はIE実装の電力消費/バジェットを慎重に設定することが重要です。

電力消費/バジェットが2.5ワットのIEポートにおいて、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ダブルデータレート(DDR)メモリ、およびEthernetスイッチが1.8ワットを消費する場合を考えてみましょう。この場合、2つのPHYで700ミリワット(mW)が利用可能となりました(図1)。

図1:Ethernetのライン(中央)またはリング(右)アーキテクチャの各機器は、2つのPHY(左)を必要とします。(画像提供:Analog Devices)

産業用機器は、厳しい電力消費/バジェットを満たすだけでなく、国際電気標準会議(IEC)および欧州規格(EN)が策定した以下の電磁両立性/静電気放電(EMC/ESD)規格を満たす必要があります。

  • IEC 61000-4-2:ESD
  • IEC61000-4-4:電気的高速過渡現象(EFT)
  • IEC 61000-4-5:サージ
  • IEC 61000-4-6:伝導イミュニティ
  • EN 55032:放射および伝導エミッション

これらの規格をすべて満たすまでテストするには、大きなコストと長い時間がかかります。また、テストや動作確認の際に何か問題が発生すれば、市場投入までの時間が延び、コストが増大します。

リファレンス設計で簡単にIEを実装

Analog Devicesは、IEの実装に関連する数々の課題に対応するため、組み込み用リファレンス設計Chronous RapID Platform Generation 2を開発しました。Chronousは、一般的なIEプロトコルに対応した動作確認済みの実績あるハードウェアとソフトウェアを網羅したIE開発環境です。

2つのEthernet PHYを搭載しているため、ライン型またはリング型トポロジでネットワーク接続された機器群での使用に適しています。EtherCAT、EtherNet/IP、PROFINET用に、動作確認済みソフトウェアを搭載した3つのボード、EV-RPG2-ECZEV-RPG2-ENZEV-RPG2-PNZをそれぞれご用意しております。EV-RPG2評価キット(図2)は、以下を網羅した開発環境を提供します。

  • 動作確認済みプロトコルソフトウェアが含まれるADIN2299 RapID Generation 2モジュールを搭載したベースボード
  • ウォールマウント型交流(AC)アダプタ(ユニバーサルプラグアダプタ付き)
  • USB Aオス対USBマイクロBオスケーブル
  • Ethernetケーブル

図2:EV-RPG2評価キットには、IEネットワーク機器を迅速に導入するために必要なものが網羅されています。(画像提供:Analog Devices)

EV-RPG2 開発キットにより、設計者はプログラム可能論理コントローラ(PLC) などのスマートファクトリ機器をホストプロセッサに統合する前に、それらの間の通信路を迅速にテストすることができます。EV-RPG2の特長としては、事前にテストされたソフトウェアが搭載されていることをはじめ、消費電力が低いこと、関連するIECおよびEN規格への準拠がテスト済みであること、多様なユースケースに対応したカスタマイズをサポート可能なことなどがあります。

ADIN2299モジュールは、組み込みアプリケーションに適した小型のフォームファクタと、低消費電力、低レイテンシを特長としています。このモジュールは、アプリケーションプロセッサ向けに産業用プロトコル & ネットワークを使用するトラフィックを管理できることと、フィールドデバイスへのIEの統合を加速できることが検証済みのソリューションです。このモジュールには、通信コントローラ、プロトコルスタック、フラッシュメモリ、RAM、フォロワコントローラ、2つのPHYインターフェースが搭載されているほか、EtherCAT、PROFINETリアルタイム(RT)またはアイソクロナスリアルタイム(IRT)、EtherNet/IPネットワーキングに必要な専用ソフトウェアも搭載されています(図3)。

図3:ADIN2299モジュールは、組み込みアプリケーション向けの小型フォームファクタに収納されていて、2つのEthernet PHYを備えています(右)。(画像提供:Analog Devices)

組み込みIEモジュールADIN2299のPHYは、2つのADIN1200、低消費電力、シングルポートの10メガビット/秒(Mビット/秒) & 100Mビット/秒のEthernetトランシーバを使用します。ADIN1200は、エネルギー効率の高いEthernet PHYコア、アナログ回路、入出力クロックバッファリング、管理インターフェース & サブシステムレジスタ、MACインターフェース、および制御ロジックを搭載しています。ADIN1200には、以下の特長または機能もあります。

  • 10BASE-Te/100BASE-TX IEEE 802.3準拠
  • Media Independent Interface(MII)、Reduced MMI(RMII)、Reduced Gigabit MMI(RGMII)MACインターフェース
    • 100BASE-TX RGMIIのレイテンシ:送信 <124ナノ秒(ns)、受信 <250ns
    • 100BASE-TX MIIのレイテンシ:送信 <52ns、受信 <248ns
  • 以下の基準を満たします。
    • IEC 61000-4-4:電気的高速過渡現象(EFT)(±4キロボルト(kV))
    • IEC 61000-4-5:サージ(±4 kV)
    • IEC 61000-4-6:伝導イミュニティ
    • EN55032放射 & 伝導エミッション(クラスA)
  • 周囲動作範囲:-40~+105 °C
  • 消費電力:139mW(100BASE-TXで1.8ボルト時)
  • 5 × 5 ミリメートル(mm)、32ピンリードフレームチップスケールパッケージ(LFCSP)(図4)

図4:ADIN1200 Ethernetトランシーバは頑丈で、5mm2のLFCSPパッケージによりコンパクトなソリューションを実現しています。(画像提供:Analog Devices)

まとめ

PROFINET、EtherNet/IP、EtherCATなどのIEプロトコルは、インダストリ4.0で求められる低レイテンシのオートメーション & 制御ネットワークインターフェースをサポートすることが可能です。相互運用性を確保しながらIEの導入を加速し、コストを削減するために、Analog Devicesは、効率的なPHYと豊富な動作確認済みソフトウェアスイートを搭載したリファレンス設計を提供しています。

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著者について

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ジェフ氏は、パワーエレクトロニクス、電子部品、その他の技術トピックについて30年以上にわたり執筆活動を続けています。彼は当初、EETimes誌のシニアエディターとしてパワーエレクトロニクスについて執筆を始めました。その後、パワーエレクトロニクスの設計雑誌であるPowertechniquesを立ち上げ、その後、世界的なパワーエレクトロニクスの研究グループ兼出版社であるDarnell Groupを設立しました。Darnell Groupは、数々の活動のひとつとしてPowerPulse.netを立ち上げましたが、これはパワーエレクトロニクスを専門とするグローバルなエンジニアリングコミュニティで、毎日のニュースを提供しました。また彼は、教育出版社Prentice HallのReston部門から発行されたスイッチモード電源の教科書『Power Supplies』の著者でもあります。

ジェフはまた、後にComputer Products社に買収された高ワット数のスイッチング電源のメーカーであるJeta Power Systems社を共同創設しました。ジェフは発明家でもあり、熱環境発電と光学メタマテリアルの分野で17の米国特許を取得しています。このように彼は、パワーエレクトロニクスの世界的トレンドに関する業界の情報源であり、あちこちで頻繁に講演を行っています。彼は、定量的研究と数学でカリフォルニア大学から修士号を取得しています。

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