オシロスコープ入力を過電圧から保護するためのガイド
設計部門やテスト部門を歩いていると、「NG」、「一時中止」、「故障中」などが書かれた小さな紐付きタグが入力接続部からぶら下がっている計器を見かけることがあります。このような計器のほとんどは、最も広く使用されている電子計測器の1つであるオシロスコープです。オシロスコープは最も広く使われていながら、通常、帯域幅1GHzあたり約10,000~12,000ドルという高いコストがかかります。この計器のコストを考えると、設計者や生産技術者は、これらの計器の入力を保護することで小さな紐付きタグを付けずに済むようにする最善の方法を知っておく必要があります。
50Ωと1MΩの両方の入力を備えた標準的な1GHzのオシロスコープについて考えてみましょう。50Ω入力の電圧感度は、1mV/div~1V/divです。1MΩ入力の感度は、1mV/div~10V/divとなります。
50Ω入力の保護
50Ω入力の最大電圧入力は5Vrmsで、内部終端の電力定格によって設定されます。50Ωの抵抗に5Vrmsを印加すると、0.5Wが消費されます(電流(I)=V/R=5V/50Ω=0.1A、電力=V×I=5×0.1=0.5W)。
5Vより高い電圧を測定する必要がある場合は、どうすればいいのでしょうか?Crystek CorporationのCATTEN-03R0-BNCのようなインラインアッテネータを使用すればよいのです(図1)。
図1:インラインアッテネータは、オシロスコープやスペクトラムアナライザの50Ω入力の電力処理能力を向上させます。(画像提供: Crystek Corporation)
アッテネータは、信号を歪ませることなく、信号の電力レベルを低減させます。同軸インラインバージョンは固定減衰を提供し、多数のコネクタタイプで利用可能で、プラグやジャックのさまざまな構成に対応します。
CATTEN-03R0-BNCは、3dB、50ΩのBNCアッテネータで、0~1GHzの帯域幅と2Wの定格電力を備えています。これは、Crystekの製品ラインで入手可能なモデルの1つで、減衰量は1~20dBです。アッテネータへの最大入力電圧は、その電力定格によって制限されるため、3dBのアッテネータを使用すると、オシロスコープの最大入力電圧は7Vに増加します。
1GHzを超える帯域幅のオシロスコープでは、Amphenol SV MicrowaveのSF0915-6200-03のような2.92mmインラインアッテネータ(3dB、50Ω、帯域幅0~40GHz)を使用できます。
オシロスコープの較正は、ほとんどのオシロスコープにある入力スケーリング機能を使用して維持できます。3dBのアッテネータでは、入力が0.707の倍数でスケーリングされます。これらのアッテネータの精度は、一般的に1dBよりも優れています。
1MΩ入力の保護
入力周波数が10kHz以下の場合、1MΩ入力の標準的な最大電圧定格は400V(DC + ピークAC)となります。かなり堅牢な仕様となっていますが、それでも雷や他の電磁妨害(EMI)現象による高振幅の電圧過渡で損傷する可能性があります。
1MΩ入力は、スパークギャップ、ガス放電管、ダイオードなどのサージプロテクタを使用して保護することができます。これらは、損傷を引き起こす前に壊れて、電気サージをグランドに放電させます。
Amphenol Times Microwave SystemsのLP-GTR-NFFは、交換可能なガス放電管を使用するN型コネクタのインラインサージプロテクタです。この放電管は、±90V/20Aを超えるDC電圧で破壊され、最大50Wのサージに対応できます。これはインラインで挿入され、DC~3GHzの帯域幅を備えています。挿入損失は、1GHzまでが0.1dB、3GHzまでが0.2dBです(図2)。
図2:LP-GTR-NFFサージプロテクタは、交換可能なガス放電管を使用して、最大50Wの過渡サージから同軸ラインを保護します。(画像提供:Amphenol Times Microwave Systems)
一般的に、サージプロテクタは計器の入力と直列に配置され、大きな過渡電圧が発生する可能性のある長いデータ通信回線または電力線に接続された計器に必要とされます。
DCバイアス電圧の除去
DC電源バスのリップル測定など、測定用途によっては、より高感度な垂直スケールを使用できるようにDCバイアスを除去するDCブロックが必要となります。DCブロックは、高周波信号を通過させるために直列コンデンサを使用した同軸アダプタです。
また、特定の特性インピーダンスに指定されており、通常は50Ωまたは75Ωです。Crystek CorporationのCBLK-300-3は、50Ωの内部導体DCブロックで、最大16VのDCレベルを遮断しながら、300kHz~3GHzの周波数の信号を通過させます(図3)。このDCブロックは、その動作周波数範囲において低挿入損失と低リターンロスを特長としています。
図3:CrystekのCBLK-300-3は、最大16ボルトのDCを遮断し、300kHz~3GHzの周波数の信号を通過させます。(画像提供:Crystek Corporation、筆者修正)
まとめ
オシロスコープは設計者にとって最良の友のようなものであり、少し大事にすれば、廃棄するような結果にはなりません。前述の各ツールは、計器の入力にかかる最大電圧を低減することで、このようなことが起こらないようにします。つまり、あの小さな紐付きタグを計器にぶら下げず、引き出しの中にしまっておくことができるのです。
Have questions or comments? Continue the conversation on TechForum, Digi-Key's online community and technical resource.
Visit TechForum