セーフティレーザースキャナを使用し、危険の多い産業の作業エリアにおいて作業員の安全を確保

著者 Bill Giovino

DigiKeyの北米担当編集者の提供

産業用オートメーション施設は大抵の場合、危険の多い作業環境です。こうしたエリアでは、自動化または半自動化された装置が稼働しており、多くの場合、装置の使用中にこうしたエリアに人が立ち入ることは極めて危険です。危険なエリアの例としては、高電圧発生器、産業用の溶接機械、ヘビーデューティのピックアンドプレースマシン、ロボット、その他の露出した状態の機械など、無許可での接近が重傷を招く可能性がある装置が考えられます。こうしたエリアには、機械が稼働していないときに素早く簡単に立ち入ることができるようにする必要もあるため、フェンスやゲートの設置が面倒だったり、実現不可能だったりします。フロアに色付きの反射ストリップを貼って危険なエリアを示すこともできますが、さらに効果的な手段として、人が危険な場所に立ち入ると作動するアクティブ検出システムをフロアに設置することができます。

この記事では、レーザービームを使用して対象エリアをスキャンするセーフティレーザースキャナを利用して、危険の多い産業の作業エリアを監視する方法について説明します。混み合っている産業設備におけるセーフティレーザースキャナの利点と、危険な装置に近づく作業員の安全確保について検討し、Banner EngineeringおよびIDECの産業用レーザースキャナがフロアの特定のエリアを簡単に監視して作業員を検知し、アラーム音、機械の低速化、装置の停止などの安全策を講じる方法について紹介します。

危険の多い作業エリアでの安全確保

産業設備は、作業員が過失による重傷を負う原因となり得る高電圧の装置を備えている場合があります。こうした装置は絶縁したり、ケージに密閉したりできますが、装置を操作する役割を担う作業員を保護する必要があります。製造設備では産業ロボット装置が使用されていることもありますが、こうした装置が何の前触れもなく作業員に接触することがあります。自動組立ラインに配置されたロボットであれば、通常はフェンスで囲むことができますが、資材の取り扱いや処理を担当する作業員がいるワークステーションにロボットが設置されている場合、混み合っている工場現場でロボットが誰かに接触するかもしれません。ピックアンドプレースマシンも通常は通行人に接触しやすいものですが、好奇心のある見学者が不適切な場所で手や脚を出したりしないように安全を確保しておく必要があります。

フロアでこうした産業装置が使用されている場合は、産業設備を計画する際に作業員の安全を確保することが重要です。装置のフロア計画のレイアウトが完成してからこうした安全についての決定を行うのではなく、設備の初期計画段階で安全についての準備を行うのが最適です。これは、セーフティレーザースキャナを使用する場合に特に当てはまります。セーフティレーザースキャナは、選択されたエリアに対して照準を合わせた複数のレーザーを照射し、レーザー光線がスキャナのレシーバに再反射されます。こうしたスキャナは反射された光を使用して、スキャナの検出領域で2次元の見通し線マップを作成します。スキャン対象のエリアでレーザー光線が途切れる場合は、セーフティレーザースキャナがイベントを検出し、警告のライトおよびアラームを作動させるか、自動化装置を停止するようにプログラムすることができます。これにより、作業員の安全を確保すると同時に機械の稼働時間を増やし、設備の生産性を向上させることができます。

スキャン対象のエリア全体で、セーフティレーザースキャナに対して障害物のない見通し線が確保されている必要があります(図1)。作業エリアで最初からセーフティレーザースキャナの使用が計画されていない場合、スキャン対象のエリアにはビームの経路に障害物が存在しており、スキャナのビームにブラインドスポットができてしまうことがあります。さらには、スキャン対象のエリアに耐力支柱のような、大型で動かすことのできない障害物が存在する場合もあります。産業設備が最初からセーフティレーザースキャナを念頭に設計されている場合は、こうした障害物を回避できます。

一般的なセーフティレーザースキャナの設定の図図1:一般的なセーフティレーザースキャナの設定は、侵入時にアラートを出す2つの警告ゾーン、そして侵入時に装置を安全かつ非稼働状態にする1つの保護ゾーンで構成されます。(画像提供:IDEC)

作業エリアは、最初からセーフティレーザースキャナを念頭に置いて設定する必要があります。技術者は、スキャナに付属しているビジュアル計画ソフトウェアを使用して、スキャナに対してスキャンゾーンをプログラムします。図1に示すように、エリアは通常、1つ以上の警告ゾーンと1つの最終保護ゾーンでプログラムされます。それぞれの警告ゾーンは、構成ソフトウェアを使用して、アラームまたは警告を出すように設定できます。保護ゾーンへの侵入により、装置がシャットダウンされるように設定できます。

セーフティレーザースキャナの動作

セーフティレーザースキャナは検出アルゴリズムを内蔵しています。このアルゴリズムは、プログラム可能なレーザーサンプリングレートを使用して侵入を検証します。大半のスキャナは、デフォルトの2倍のサンプリングレート設定で対象物を検証します。つまり、アクションがトリガされるには、対象物が2回連続で検出されなければなりません。複数回のサンプリングにより、金属の破片や昆虫などの異物が原因で誤検出がトリガされるのを防止できます。サンプリング回数を増やすことにより、誤検出は減りますが、検出時間は長くなります。検出時間が長くなった場合は、検出距離を長くして、アラートを出すための時間をかけることができるようにすることにより、安全を維持することができます。

Banner EngineeringのSX5-Bセーフティレーザースキャナは、大規模な産業環境用に設計された、堅牢なスキャナです(図2)。SX5-Bの安全ゾーンと警告ゾーンは、最大範囲がそれぞれ5.5mおよび40mです。また、このスキャナはM12コネクタを使用して、施設の有線Ethernetに接続されます。SX5-BはIP65定格であり、粉塵や水噴霧の影響を受けません。レーザーレセプタは可視光線を除去するため、周囲光による干渉を防ぐことができます。SX5-Bは、5つの警告ゾーンと1つの保護ゾーンのように、最大6つのゾーンセットに対して構成できます。

Banner EngineeringのSX5-Bセーフティレーザースキャナの画像図2:Banner EngineeringのSX5-Bセーフティレーザースキャナでは、最大範囲がそれぞれ5.5mと40mの安全ゾーンおよび警告ゾーンを利用できます。このスキャナの対応範囲は275度であり、周囲光および粉塵の影響を受けません。(画像提供:Banner Engineering)

SX5-Bは、このセーフティレーザースキャナの状態を示すカラーLCDディスプレイを備えています。このディスプレイは、警告または保護違反、レーザー検知器の清掃の必要性など、最大で27種類の状態、診断、そしてエラー状況を示すことができます。

SX5-Bの保護フィールドは275度であり、SX5-Bは監視対象エリアにおける侵入について、保護エリアを継続的にスキャンすることができます。このスキャナは、粉塵、汚れ、または小さな破片などによる誤検出を回避できます。スキャナの高さは152mmであり、混み合ったエリアにも工場の稼働を妨げずに配置することができます。構成ソフトウェアは使い方が簡単で、長方形、円形、または不規則な形など、検出エリアを柔軟な形で設定できます。この柔軟性により、SX5-Bは対象のエリアのみを安全に監視すると同時に、侵入アラートが不要である安全なエリアを除外することができます。

複数のセーフティレーザースキャナを接続

大規模な検出エリア向けに、IDECはSE2L-H05LPCセーフティレーザースキャナを提供しています(図3)。このスキャナはSX5-Bと同じ機能を多数備えていることに加えて、同時に動作する4台のSE2Lスキャナを接続できるという利点があります。

IDECのSE2L-H05LPCセーフティレーザースキャナの画像図3:IDECのSE2L-H05LPCセーフティレーザースキャナは、最大5mまでの270度の保護フィールドに対応しています。RS-485を使用して4台のSE2Lスキャナを簡単に接続し、同時に稼働させることができます。(画像提供:IDEC)

SE2L-H05LPCは、防水の100Base-T Ethernetコネクタを使用してローカルネットワークに接続し、USB 2.0接続を使用してホストPCから構成することができます。または、マイクロSDメモリカードを使用して、構成データをSE2Lに転送することもできます。この方法により、新しい構成を別のSE2Lユニットに極めて高速かつ効率的に転送することができます。SE2LユニットをPCに接続する必要はありません。

SE2Lの高さは95mmであるため、小規模なエリアへの設置に適しています。検出角度は270度であり、最大検出範囲は5mです。この製品は周囲光を除去することができ、定格はIP65です。これにより、粉塵の侵入を回避し、誤検出イベントの回避能力が向上されています。

大規模なフロアエリアを監視する場合は、最大4台のSE2Lスキャナを接続することができます。1台のホストSE2Lを、装置やスキャナに対応するメイン制御ボードまたはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)に接続します。さらに、最大3台のSE2Lを追加でホストスキャナのRS-485ポートに接続します。これら3台のSE2Lのいずれかによるアラームまたはイベント通知が、RS-485接続経由でホストスキャナに伝達されます。すると、ホストがPLCまたはアラームインジケータのいずれかに、適切なアクションを伝達します。これにより、4台すべてのスキャナが、それぞれの検出エリアについて共通のアラームまたはアラートインジケータを共有することができます。その結果、構成が大幅に簡素化され、配線を減らすことができるのです。

まとめ

産業用オートメーション設備において、作業員の安全を確保することが最優先事項です。エリアの中には、装置の稼働中に人が近づくことが非常に危険ですが、それと同時に、装置が稼働していないときには作業員が簡単に接近できるようにしなければならない箇所があります。セーフティレーザースキャナを使用することで、危険な装置周辺のフロアエリアを簡単かつ効率的に監視することができます。これにより、生産性を向上すると同時に作業員の安全を確保し、装置の通常の稼働時に必要に応じて簡単に接近できるようになります。

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著者について

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Bill Giovino

Bill Giovino氏は、シラキュース大学のBSEEを持つエレクトロニクスエンジニアであり、設計エンジニアからフィールドアプリケーションエンジニア、そしてテクノロジマーケティングへの飛躍に成功した数少ない人の1人です。

Billは25年以上にわたり、STMicroelectronics、Intel、Maxim Integratedなどの多くの企業のために技術的および非技術的な聴衆の前で新技術の普及を楽しんできました。STMicroelectronicsでは、マイクロコントローラ業界での初期の成功を支えました。InfineonでBillは、同社初のマイクロコントローラ設計が米国の自動車業界で勝利するように周到に準備しました。Billは、CPU Technologiesのマーケティングコンサルタントとして、多くの企業が成果の低い製品を成功事例に変えるのを手助けしてきました。

Billは、最初のフルTCP/IPスタックをマイクロコントローラに搭載するなど、モノのインターネットの早期採用者でした。Billは「教育を通じての販売」というメッセージと、オンラインで製品を宣伝するための明確でよく書かれたコミュニケーションの重要性の高まりに専心しています。彼は人気のあるLinkedIn Semiconductorのセールスアンドマーケティンググループのモデレータであり、B2Eに対する知識が豊富です。

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