MEMS RFスイッチを使用して高度なワイヤレス設計および統合の問題を解決する

著者 Bill Schweber氏

DigiKeyの北米担当編集者の提供

高周波数および広帯域幅のワイヤレス通信の普及は、複数の無線周波数(RF)インターフェースおよびアンテナの統合と相まって、従来のRFスイッチングアプローチの限界を押し広げています。マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術に基づくRFスイッチは、高度なワイヤレスシステムの設計者が直面するスペース、スイッチング速度、フロントエンドフィルタリング、および柔軟性の問題に対処するための実用可能な使いやすいソリューションとして登場しました。

この記事では、まずRFスイッチに対する従来のアプローチについて考察します。これには、従来のエレクトロメカニカルスイッチや、さまざまなソリッドステートアナログおよびPINダイオードが含まれます。次に、Analog Devicesの例を使用して、MEMSベースのRFスイッチの主な属性について考察します。また、設計者がMEMS RFスイッチを適用したり、より長寿命で信頼性の高い動作を実現したりする方法を理解するのに役立つ、性能特性や利用可能な開発サポートについて説明します。

RFスイッチアプリケーションおよびオプション

単一アンテナを使用して複数の無線の統合をサポートすることに加え、RFスイッチは複数入力/出力(MIMO)構成で複数のアンテナをサポートし、適切な内部パスに沿って信号を方向付け、スイッチングマトリクスに関連した自動テスト機器(ATE)を管理する必要があります。RFスイッチングは、多くの入力信号の中から単一の出力パスに方向付ける入力信号を1つ選択することもあれば、逆に、単一の信号を指定された数ある出力パスの1つにルーティングするために使用される場合もあります。

最近まで、RFスイッチングは主に次のものを使用して実装されてきました。

従来のエレクトロメカニカルRFスイッチ:手動またはモータで制御され、シンプルな12/24ボルトラインまたはUSBポートを介したリモート操作をサポートします。使いやすく(同軸コネクタを含む)、数十ギガヘルツに対応する優れた性能を備えていますが、小型、軽量、または高速のスイッチングを必要とするアプリケーションにとっては当然実用的ではありません。登場から時間が経っていますが、現在でも幅広く入手可能で、多くの状況で使用できる唯一のソリューションになっています。

•PINダイオードに基づくスイッチ:優れたRF性能と高いスイッチング速度を提供します。ただし、その可能性を最大限に発揮するには専門知識が必要です。個別のオン/オフ制御ラインを持たない2端子デバイスであるため、DC制御とRFパスを入力として統合してから、それを出力として分離するという複雑な関連回路を必要とします。そのため、多くの場合、PINベースのRFスイッチの完成モジュールにはサポート回路が含まれています。

•電界効果トランジスタ(FET)およびハイブリッドソリッドステートスイッチ:ソリッドステートスイッチの一形態であり、高度な半導体材料およびプロセスを使用して、基本的な低周波数トランジスタスイッチに相当するRFを提供します。電子スイッチとして、オン/オフ遷移を迅速(数マイクロ秒以内)に実行でき、デザインインも簡単です。ただし、絶縁および他の性能属性においては制約があります。

最近では、MEMSベースのRFスイッチは実用可能なオプションとなり、標準製品として入手できるようになりました。これらのデバイスで使用するスイッチメカニズムは、一部のMEMS加速度センサで使用されている素子と似たカンチレバーMEMS素子をベースにしていますが、RF信号パスでメタルオンメタル接点を提供する電子制御スイッチに必要な機能や特長が追加されています。

たとえば、Analog DevicesのADGM1004という0Hz(DC)~13GHzの単極4投(SP4T)スイッチ、および同様のADGM1304というDC~14GHzのSP4Tスイッチについて考えてみましょう(図1)。

Analog DevicesのADGM1004 MEMSスイッチのブロック図図1:ADGM1004 MEMSスイッチのブロック図は、基本的なSP4Tアーキテクチャのほか、静電気放電(ESD)保護ダイオードなどの他の重要な機能を示しています。ADGM1304も同様ですが、ダイオードを搭載しておらず、一部の仕様詳細においても違いがあります。(画像提供:Analog Devices)

ADGM1004およびADGM1304は、従来の機械式オン/オフ、接点閉鎖機能を実装し、小型RFに対応する24ピンリードフレームチップスケールパッケージ(LFCSP)(5 x 4 x 1.45mm)内でそれを実行します。また、30マイクロ秒(µs)で切り替えることができ、それぞれDC~13または14GHzの帯域幅があります。仕様は全体的に類似していますが、オン抵抗(Ron)、3次インターセプトポイント(IIP3)、およびRF電源(最大)に関して、わずかではありますが重要となりがちな違いがあります(表1)。

パラメータ ADGM1004 ADGM1304
帯域幅 0~13GHz 0~14GHz
Ron 1.8Ω 1.6Ω
オフリーク 0.5nA 0.5nA
挿入損失 2.5GHzで0.45dB 2.5GHzで0.26dB
絶縁 2.5GHzで24dB 2.5GHzで24dB
IIP3 67dBm 69dBm
RF電源(最大) 32dBm 36dBm
スイッチング時間 30μsec 30μsec

表1:Analog Devicesが提供するADGM1004およびADGM1304 MEMSベースRFスイッチでもっとも優れた仕様を見ると、それぞれの性能の類似点とわずかな相違点が分かります。(画像提供:DigiKey)

機械式の金属間接点閉鎖デバイスとして、これらのスイッチはいずれの方向にも信号エネルギーが流れるようにします。つまり、4極のうちの1極にある信号を共通極へと通過させることができるというわけです。逆に、共通極にある信号は4つの交換極のどの極にも流れます。

MEMS RFスイッチの原理と実装

多くの技術的進歩というのは、概念はシンプルですが、実行するのは簡単ではありません。これは、MEMS RFスイッチにも当てはまります。MEMS RFスイッチは、金属化された先端をスイッチング素子とする微細加工カンチレバービームを使用します。設計上で課題となるのが、このカンチレバーを「アクティブ化」し、スイッチオン時に対応する金属化面を動かして接触させ、スイッチオフ時に切断する方法です。MEMS RFスイッチでは、この動きは静電アクチュエーションによって開始されます(図2)。スイッチ端子は「ソース」、「ゲート」、「ドレイン」と呼ばれていますが、実際には機械式の接点閉鎖であり、スイッチングFETデバイスではありません。

金属接点のペアを使用するMEMS RFスイッチの図図2:MEMS RFスイッチの原理では、カンチレバービーム(ゲート)に可動コンタクトを備えた金属接点(ソースおよびドレインと呼ばれる)のペアを使用します。これは、静電力により駆動します。(画像提供:Analog Devices)

MEMS RFスイッチは機械式リレーと多くの点でよく似ていますが、接点を装着した接極子を備えたマイクロメータレベルスケール上に構築されています。カンチレバーは、磁界ではなく静電力により駆動します。スイッチ全体は、MEMS特有のシリコンICプロセスを使用して製造されます。これにより、このプロセスに関連した設計および製造に関する幅広い専門知識を活用し、生産力を高め、コストを低減できます(図3)。

MEMS RFスイッチの設計および実装の図図3:MEMS RFスイッチの実際の設計と実装には、一連の複雑なシリコンのレイヤやコーティングなどの材料、さらにエッチングされた領域が関係しています。(画像提供:Analog Devices)

性能を向上させ、DC接点抵抗およびRFインピーダンスを低減させるため、各接点極は実際は並列極のセットとして製造されます。これは、MEMS技術のおかげで実用可能となりました(図4)。

複数の並列接点として製造されたMEMSスイッチの接点極の図図4:接点のDC抵抗およびRFインピーダンスを低減させるため、MEMSスイッチの接点極は複数の並列接点として製造されます。(画像提供:Analog Devices)

各電子部品にも、その性能を特徴付けるのに使用される1つ以上の性能指数(FOM)があります。スイッチの場合、最も重要なFOM値の1つは、Ronをオフ静電容量(Coff)で乗算したものです。通常、これはRonCoff積と呼ばれ、フェムト秒(fs)単位で表されます。RonCoffの低い値は、低いオンモード挿入損失と高いオフモード絶縁を示しており、両方とも望ましい属性です。もちろん、DC、ACパワーライン、および低周波数スイッチにとって、Ronが支配的要因であり、Coffはほとんど無関係です。Analog Devices MEMSスイッチのRonCoff積は8fs未満であり、非常に優れたオン/オフモードRF性能を示しています。

駆動およびESDにより設計が複雑になるものの、実際の使用はそうではない

特定のコンポーネントクラスに関して設計者が抱く懸念の1つは、そのコンポーネントクラスを駆動および制御し、関連する困難に対処する方法です。理論的にいえば、制御はシンプルな標準ロジックレベルの信号になれるでしょう。(PINダイオードRFスイッチとインターフェース接続し、それを駆動するのが難しいことが弱点の1つであることを思い出してください。)

Analog DevicesのMEMS RFスイッチの静電動作の場合、電界はスイッチングカンチレバーを駆動するのに約89VDCを必要とするため、制御ドライブおよびインターフェースは一見デザインインの課題のように見えます。ところが、それは全く問題ではありません。なぜなら、これらの3.1~3.3ボルトMEMSスイッチには別個のダイにDC/DCブースト回路が備わっており、外部の高電圧ドライバまたは供給源が必要ないからです(図5)。

Analog Devices ADGM1004ドライブIC(左)およびMEMSスイッチダイ(右)の図図5:上部にRFポートESD保護ダイを搭載し、ワイヤボンドで金属リードフレームに接続したADGM1004ドライブIC(左)およびMEMSスイッチダイ(右)を示しています(ADGM1304にはESDダイが搭載されません)。(画像提供:Analog Devices)

ほとんどのソリッドステートデバイスで生じる懸念の1つは、ESDに対する感度です。これは、もともとESDへの耐性が高い従来の機械式RFスイッチでは問題になりません。このESD感度の問題に対処するため、Analog DevicesではESD保護素子を搭載しました。ADGM1004パッケージ内のこの第3の素子は、MEMSダイ上に搭載されており、ユーザーには見えません。この素子は、極ピン(RF1~RF4)および共通ピン(RFC)に対しては5kVのESD人体モデル(HBM)定格を提供し、他のすべてのピンに対しては2.5kVを提供します。ESD保護を必要としない一部のアプリケーションの場合、ADGM1304はこの保護機能素子を省くため、パッケージが薄くなり、帯域幅も広くなります。

パッケージ内には2個のアクティブダイがあるものの、前述のようにスイッチは小型であり、ギガヘルツRFにとっては常にプラスになります。制御信号はCMOS/LVTTLに対応しており、使いやすくなっています。

動作、性能、および信頼性

10MHzほどまでの周波数にしか対応できないアナログスイッチまたはPINダイオード技術を使用するソリッドステートRFスイッチとは異なり、エレクトロメカニカルスイッチおよびそのMEMS対応品はDCまでの信号に対応できます。関係する信号の範囲は数百メガヘルツから数ギガヘルツであるため、これは必要以上の性能拡張のように見えます。

しかし、高周波数機能に加えて、DCに近いまたは真のDCスイッチングを必要とするRFアプリケーションは数多くあります。これには、455kHzのような低中間周波数(IF)や、RFスペクトラムの非常に幅広いスライスに対応する必要のあるソフトウェア定義の無線(SDR)を備えたシステムが含まれます。さらに、非常に小型の開口部端子(VSAT)ディッシュおよび衛星TV/インターネットアクセスのローノイズブロック(LNB)で、RFパスがアンテナフロントエンドプリアンプにDCパワーパスも提供する設計があります。このようなアプリケーションにおいて、単一の小型コンポーネントを介し、RF信号に加えてDCパワーを切り替えたり、ルーティングしたりする機能は設計上の大きな利点です。

すべての機械式およびエレクトロメカニカルデバイスと同様に、コアメカニズムの寿命には限界があります。金属エレクトロメカニカルRFスイッチの場合、通常の動作寿命定格は500万~1000万サイクルです。スイッチング時間が約数十ミリ秒であれば、この定格は一般的に受け入れられてきました。しかしながら、MEMSベースのRFスイッチのオン/オフ時間ははるかに高速です(ADGM1004およびADGM1304の場合は30µs)。ダイナミックMIMOシステム構成などの対象アプリケーションの多くでは、1000万サイクルというのは寿命の限界を引き起こしています。ところが、MEMSスイッチの定格は10億サイクルであり、定義された信号レベルおよび電力エンベロープ内で使用されることを想定しています。これは、従来の機械式およびエレクトロメカニカルスイッチと比較して2桁大きい寿命定格です。

電子部品およびエレクトロメカニカル部品と関連した温度サイクル応力に加えて、MEMSおよび従来のエレクトロメカニカルRFスイッチの寿命に影響を与える要素は他にもあります。たとえば、「ホット」スイッチング対「コールド」スイッチングです。

ホットスイッチングは、スイッチの閉鎖時に信号ソースとドレイン間に電圧差動が存在する場合、またはスイッチの開放時に電流が流れている場合に発生します。スイッチングの時点で信号パワーが存在しないコールドスイッチングと異なり、ホットスイッチングは接触面でのスイッチ寿命の短縮につながります。これは、ソースとドレイン間のオープン回路電圧の大きさに依存します。MEMSスイッチデータシートには、ホットスイッチングが寿命やサイクルに与える影響を示す表やチャートがあります。

オン/オフサイクルスペクトラムのもう一方には、継続的オン寿命(COL)と呼ばれるパラメータがあります。これは、スイッチが長期間にわたってオン状態に設定されるという計測器で頻繁に発生する状況を指しています。これにより、スイッチ接点の寿命も低下する可能性があります。設計と迅速な寿命テストのおかげで、Analog DevicesのMEMSスイッチのCOL平均故障間隔(MTBF)定格は50°Cで7年、85°Cで10年になっています。

これらのMEMSベースのRFスイッチは比較的新しい技術であるため、電気的/機械的応力、温度、および衝撃/振動に起因する短期的および長期的信頼性の様々な面について懸念する潜在的ユーザーからは慎重な見方をされるかもしれません。これは、ミッションクリティカルな軍事/航空宇宙および車載用システムのMEMS RFスイッチングアプリケーションの場合に特に当てはまります。これらの懸念を軽減するために、Analog Devicesでは業界およびMIL定義のテストを数多く実行しました(表2)。

テスト名 仕様
HTOL 1kHz、10億サイクル、1000時間 JESD22-A108
HTOL IIスイッチを+85°Cで継続的にオン、1000時間 JESD22-A108
ELF 5kHzバーストモードサイクル、+85°C、48時間 MIL-STD-883、M1015
HAST +130°C、85% RH、バイアス、96時間 JESD22-A110
SHR MSL 3前提条件 J-STD-20
ランダムドロップ AEC-Q100テストG 5、0.6m
振動テスト条件B、20Hz~2000Hz(50g MIL-STD-883、M2007 3
機械的衝撃1500g Sineスイープ20Hz~2000Hzの加速(30,000g グループDサブ4 MIL-STD-883、M5005
温度サイクル時間当たり1サイクル-40°C~+125°C、1000サイクル JESD22-A104
高温ストレージ+150°C、1000時間 JESD22-A103
オートクレーブ+121°C、100% RH、96時間 JESD22-A102

表2:このMEMSスイッチ技術適性試験の一部のリストは、これらのデバイスの信頼性認定が広範囲にわたることを示しています。(画像提供:Analog Devices)

MEMSスイッチの回路内設計

MEMSベースのRFスイッチは適用は簡単ですが、標準的なエレクトロメカニカルデバイスよりも少し複雑で、データシートには設計上の注意事項が複数記載されています。その1つとして挙げられるのが、すべてのスイッチパス端子をDC電圧リファレンスに接続する必要があるということです。このリファレンスは、内部電圧リファレンスまたはグランドへのインピーダンスを備えた別のアクティブコンポーネントとなることができます(CMOSゲート入力または出力を「浮動」のままにしないことに類似)。これが実行されない場合、電荷が端子上に蓄積され、電圧が未知のレベルへ浮動する可能性があり、ひいては、スイッチを損傷する信頼性の低いアクチュエーション動作につながる場合があります。

データシートでは、これらの浮動ノードを発生させるいくつかの不用意な状況について説明し、その回避方法を示しています。たとえば、2台のADGM1304デバイスが一般的なカスケード配列で使用されている場合、シンプルなシャント抵抗により潜在的問題を最小化することができます(図6)。

潜在的問題を最小化するシンプルなシャント抵抗の図図6:スイッチ端子とグランド間にシャント抵抗を取り付けることにより、不安定な動作やスイッチの損傷につながりかねない電荷および電圧の蓄積の可能性を回避することができます。(画像提供:Analog Devices)

MEMS RFスイッチが応用される機会は多くありますが、その一部はますます明白かつ重要になっています。移動無線やスマートフォンを含むワイヤレス通信の場合、単一ユニットで対応する必要のあるバンド数やモード数が増える傾向があります。5G標準規格はこのシナリオをさらに加速化しています。動的に再構成可能なRFフィルタは、より多くのバンド/モードをカバーし、小型化や高速化の要件を満たすことにより、これに対処できます。

これは、再構成可能なバンドパスフィルタでADGM1304デバイスのペアを使用して実現できます。ここでは、超高周波数(UHF)バンドの名目上400MHzを中心とする2つのセクションで、誘導的に結合されたシングルエンドトポロジとして示されています(図7)。MEMSスイッチは、各シャントインダクタと直列接続され、低/フラット挿入損失、RF広帯域幅、低寄生、低静電容量、および高直線性に関する要件を満たします。

MEMSデバイスを使用したスイッチドインダクタフィルタの図図7:ワイヤレスハンドセットにますます求められているのは、単一の信号パスで複数のRFバンドおよびモードに対応する機能です。MEMSデバイスを使用するスイッチドインダクタフィルタは、高性能の小型フットプリントでこの機能を提供します。(画像提供:Analog Devices)

スイッチは、フィルタ周波数を設定する集中したインダクタ素子(15ナノヘンリー(nH)~30nH)を接続/切断するとともに、低Ronにより、直列抵抗がシャントインダクタのQ値に与えるマイナスの影響を軽減します。また、この設計では、すべてのスイッチ設定の入力および出力ポートでクリティカルな50Ωの整合が維持されます。

ギガヘルツプラス地域でRFを使用して設計する場合、シミュレーション用のモデルやSパラメータに加えて、適切な評価ボードが設計ツールとして必要になります。モデルは決して完全ではないため、実際の設計のすべての詳細をとらえることができないからです。市場投入までの時間を短縮して、ユーザーの不満を最小化し、完全で公平な設計評価を実現するため、Analog DevicesはEVAL-ADGM1304を提供しています(図8)。

Analog DevicesのADGM1304用評価ボードの図図8:ADGM1304用評価ボードは、単に便利であるだけではなく、一貫した条件でコンポーネントの性能評価を確実に実行するためのツールです。また、較正やアプリケーション性能テストも可能になります。(画像提供:Analog Devices)

評価ボードには、RF信号用のSMAコネクタ、スイッチ制御信号用のSMBコネクタ、アナライザ較正用のオンボード「較正スルー」送信ライン、および詳細なユーザーガイド(UG-644)が同梱されます。

まとめ

ワイヤレスアプリケーションが急速に普及し、サイズ、コスト、および性能要件がより厳しくなっているため、高速スイッチング速度、小型サイズ、長期信頼性などの魅力的な属性を備えたMEMSベースのRFスイッチを設計者のツールキットに加えれば役に立つことでしょう。

Analog DevicesのADGM1004およびADGM1304などのMEMS RFスイッチは従来の設計を簡素化し、回路密度を高めた高周波数製品の新しい設計の要求を設計者が満たせるようにします。デバイスの機能を最大限に活用できるようにするため、評価ボード、モデル、およびドキュメントによる広範なサポートが提供されています。

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著者について

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Bill Schweber氏

エレクトロニクスエンジニアであるBill Schweber氏はこれまで電子通信システムに関する3冊の書籍を執筆しており、また、発表した技術記事、コラム、製品機能説明の数は数百におよびます。これまで、EE Timesでは複数のトピック固有のサイトを統括するテクニカルウェブサイトマネージャとして、またEDNではエグゼクティブエディターおよびアナログエディターの業務を経験してきました。

Analog Devices, Inc.(アナログおよびミックスドシグナルICの大手ベンダー)ではマーケティングコミュニケーション(広報)を担当し、その職務を通じて、企業の製品、ストーリー、メッセージをメディアに発信する役割と、自らもそれらを受け取るという技術PR業務の両面を経験することになりました。

広報の業務に携わる以前は、高い評価を得ている同社の技術ジャーナルの編集委員を務め、また、製品マーケティングおよびアプリケーションエンジニアチームの一員でした。それ以前は、Instron Corp.において材料試験装置の制御に関するハンズオンのアナログおよび電源回路設計およびシステム統合に従事していました。

同氏はMSEE(マサチューセッツ大学)およびBSEE(コロンビア大学)を取得した登録高級技術者であり、アマチュア無線の上級クラスライセンスを持っています。同氏はまた、MOSFETの基礎、ADC選定およびLED駆動などのさまざまな技術トピックのオンラインコースを主宰しており、またそれらについての書籍を計画および執筆しています。

出版者について

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