ロボティクスおよび産業用アプリケーション向け高精度空気圧モニタリングシステム

著者 Jeff Shepard(ジェフ・シェパード)氏

DigiKeyの北米担当編集者の提供

空気圧センサを用いた精密圧力モニタリングは、さまざまなロボティクスや産業制御アプリケーションにおいて極めて重要です。信頼性の高い動作を保証するために、圧力モニタは優れた過圧および真空耐性を備えなければならず、液体や堆積物の影響を受けにくい測定セルを備えている必要があります。

正確かつ堅牢な操作性に加え、アプリケーションの柔軟性も重要な特長であり、初期取り付けの迅速化、構成変更の容易性、およびインダストリ4.0におけるマスカスタマイゼーションを可能にします。

モニタには、状態確認を容易にする視認性の高い表示部、警報用のプログラム可能な出力、統合された押ボタンによる現地での設定および操作機能が備えられているべきです。リモートプロセスモニタリングおよび設定用のデジタルデータ転送には、IO-Linkが必須となります。取り付け環境によっては、アナログ出力の搭載が有益な場合もあります。

多様な取り付け構成の対応により、幅広いシステム設計との互換性を確保することができます。

本記事では、ifm Efector (ifm)の高精度圧力モニタリングPQシリーズを紹介し、幅広い産業用およびロボットアプリケーションにおける空気圧および圧縮空気システムの多様なニーズにどのように対応しているかを詳しく説明します。

ユーザーインターフェース

視覚的インターフェースはPQシリーズの重要な特長です。1インチカラーTFTディスプレイ、スイッチポイントLED、表示やパラメータの設定変更用スイッチを備えています。主要なプロセス測定値は圧力であり、bar、psi、kPaなどさまざまな単位で表示できます。真空レベルも測定値に対するパーセンテージで表示できます。

ディスプレイには、デジタル出力用の設定値(SP)とリセット値(rP)を表示できます。スイッチポイントはLEDで表示されます。アナログ出力モデルでは、ディスプレイを使用して、信号のスケーリング用にアナログ出力の開始点(例:4mA)および終了点(例:20mA)の設定および表示することができます。ユーザーインターフェースでは以下の内容が表示されます(図1)。

  1. 出力1がアクティブの場合、スイッチング状態LEDが点灯
  2. 出力2がアクティブの場合、スイッチング状態LEDが点灯
  3. TFTディスプレイ素子で表示する内容:
    1. デバイス状態
    2. プロセス値。ディスプレイは標準色(緑)から代替色(赤)に切り替わり、プロセス値が許容範囲に入った場合、または許容範囲から外れた場合に視覚的に明確に表示します。
    3. スイッチングサイクル数や記録された最低または最高圧力などの診断および性能情報を表示します。図2において、Hi.Pは圧力測定の最高値を示しています。
  4. 表示設定およびパラメータ設定用キー

ifm PQシリーズのユーザーインターフェースのレイアウトの画像図1:PQシリーズのユーザーインターフェースのレイアウト。(画像提供:ifm)

PQシリーズでは、設定可能なアナログ出力およびアナログ出力なしのモデルを用意しています。PQS812などのPQSモデルは2つのデジタル出力を備え、PQC812などのPQCモデルは2つのデジタル出力に加えて設定可能なアナログ出力を備えています。PQCモデルのアナログ出力は、比例信号の送信に使用することができます。

機械およびオートメーションの設計者は、特定の測定範囲を持つデバイスを選択できます。PQS812およびPQC812の測定範囲は-1bar~10bar(-100kPa~1,000kPa、-14.5psi~145psi)です。モデルPQS816およびPQC816は低圧および真空アプリケーション用に設計されており、測定範囲は-1~1bar(-100~100kPa、-14.5~14.5psi)です。真空測定のみを必要とするアプリケーションには、測定範囲が-1bar~0bar(-100kPa~0kPa、-14.5psi~0psi)のPQS819およびPQC819を利用できます。

圧縮空気の処理は、空気圧システムにおいて一般的な操作です。これは、空気圧機器を保護し、システムの信頼性を確保し、製品の品質を維持するために、圧縮空気から水分、油分、汚れなどの汚染物質を除去するプロセスです。

PQシリーズは、コーティングおよび密封されたシリコン測定セルが、水分、粉塵、油分を含む空気中でも性能を維持するため、圧縮空気処理システムに特に適しています。

真空把持アプリケーションは、PQシリーズ圧力センサの一般的な用途です。これらのアプリケーションには、複数のピックアップエフェクタが含まれる場合があります。ディスプレイの赤/緑の色変化により、作業者は各ピックアップのプロセス値を一目で視覚的に把握できます(図2)。

ifm PQシリーズ圧力モニタリングの画像図2:真空把持アプリケーションで使用されるPQシリーズ圧力モニタの図。(画像提供:ifm)

多様なアプリケーションへの適用性

PQ Cube圧力センサは、食品および飲料包装、産業用パレタイジングマシン、民生向け白物家電製造など、さまざまな空気圧アプリケーションに適しています。

食品および飲料業務においては、真空グリッパを用いて包装のシール位置を調整します。これらの包装機械において、IP65等級の耐環境性は重要な特長です。これは、センサがあらゆる方向からの低圧噴流水に対して保護されていることを示しています。

最適な性能を発揮させるため、食品および飲料包装機のセンサは、短いホース長を活用し、真空グリッパのできるだけ近くに配置する必要があります。これによりセンサは機械の洗浄エリア内に取り付けられ、水や洗浄剤の噴霧にさらされますが、PQ Cubeは性能や信頼性を損なうことなく容易にこれらに対応できます。

真空グリッパ技術もロボットパレタイジングマシンにおいても重要な要素です。PQ Cube空気圧センサは、箱をグリップするのに十分な真空度が確保されているかどうかを正確かつ迅速に判定します。箱が正しくグリップされた場合にのみ、機械は箱をパレタイザ上で所定の位置に移動させます(図 3)。

PQ Cubeセンサの位置を示すパレタイジングマシンの画像図3:PQ Cubeセンサの位置を示すパレタイジングマシン(中枠)。左側のセンサには規格外を示す赤い表示があります。(画像提供:ifm)

食器洗い機などの白物家電は、サイズ、形状、色、技術的特徴の面で、数十から数千ものモデルバリエーションがあります。これほど多様な部品を扱う場合、効率的でスムーズな生産を確保するためには真空グリッパの使用が不可欠です。

グリッパは、デリケートな部品を損傷することなく確実に保持し、組み立て工程において迅速に配置、解放するため、特定のプロセス圧力で作動させる必要があります。PQ Cubeセンサの6msという応答時間と高精度は、このようなロボットアプリケーションにおいて重要な特長です。

これらの機械では、多くの場合PQ Cubeを2台使用します。1台は部品の配置用、もう1台はメンテナンスユニット用であり、全体の空気圧システムの圧力をモニタし、2つのロボット組み立てステーションに供給します。

機械のカスタム構築

PQセンサへのアプリケーションの柔軟性は、機械構造にも及んでいます。このデバイスは、E30574取付けキットを使用してパネルへの取付けが可能です。E30576壁面取り付けアダプタもオプションの1つであり、E30575DINレール取り付けキットもあります。

また、取り付けキットを使用せず、2本の円筒ネジを用いて、センサをパネルに取り付けることも可能です。この場合、まず円筒ネジをパネルにねじ込み、その上にデバイスを載せて下から固定します。

それだけではありません。両方のプロセス接続部を配管に接続することで、PQセンサは追加アダプタなしで空気圧分配器として使用することができます。その他のアプリケーションでは、センサの2つの接続部のうち1つを使用することで、配管への柔軟な取り付けが可能となり、未使用の接続部をシーリングプラグで閉じた状態で精密な圧力モニタリングを実現します。

PQセンサを搭載した機械を設置する際、技術者は設置ウィザードを利用することで作業を迅速に進めることができます。ウィザードは、デバイスに組み込まれたボタンを使用して操作することができます。9か国語に対応しており、一連の質問を通じて設定および取り付け工程を段階的に進めていきます。設定はIO-Link を使用して行うこともできます。

IO-Linkによる生産性の向上

IO-Linkは、機械を越えた上位のフィールドバスへのデジタル接続を可能にし、新しい機械や交換用のPQセンサの取り付けや試運転を迅速化します。さらに、既存の機械の設定変更や、集中的な性能モニタリングや診断をサポートします。

IO-Link 接続には、標準的な3線式センサ/アクチュエータケーブルを使用します。PQ CubeはIO-Linkマスタと接続し、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)やフラットパネルモニタを含むヒューマンマシンインタフェース(HMI)などのデバイスへ、通常は産業用Ethernetプロトコルを介した上位接続を提供します。

IO-Linkは、堅牢なデジタル通信を可能にし、高分解能データを提供し、より高度な診断をサポートすることで、PQシリーズデバイスの性能を向上させます。従来のアナログ信号や標準I/O(SIO)インターフェースに依存する代わりに、IO-Linkはより高い精度と信頼性を提供します(図4)。SIOは、バイナリスイッチングセンサとして動作する基本的な機能です。

4番ピンにおけるSIOおよびIO-Link通信の画像(クリックして拡大)図4:4番ピンのSIOおよびIO-Link通信の例(画像提供:ifm)

これらのセンサに搭載されたオンボードメモリは、稼働時間や、ユーザー定義の閾値を超える圧力スパイクなど、最大20件の事象を保存できます。さらに、圧力やプロセス値とともにシステム温度も送信できるため、予知保全が可能となります。

ifmのmoneoソフトウェアを使用することで、センサ設定のリモート設定および調整をサポートします。万が一デバイスが故障した場合でも、moneoソフトウェアが自動的に必要な設定を交換用のセンサに転送できるため、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。

まとめ

ifmのPQ Cubeセンサは、堅牢な構造、ユーザーフレンドリーな操作性、多彩な通信オプション、柔軟な設置性を特長としており、さまざまな空気圧アプリケーションに最適です。高速応答時間、高精度、インダストリ4.0オートメーションやロボットシステムに必要な先進機能を備えています。

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著者について

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Jeff Shepard(ジェフ・シェパード)氏

ジェフ氏は、パワーエレクトロニクス、電子部品、その他の技術トピックについて30年以上にわたり執筆活動を続けています。彼は当初、EETimes誌のシニアエディターとしてパワーエレクトロニクスについて執筆を始めました。その後、パワーエレクトロニクスの設計雑誌であるPowertechniquesを立ち上げ、その後、世界的なパワーエレクトロニクスの研究グループ兼出版社であるDarnell Groupを設立しました。Darnell Groupは、数々の活動のひとつとしてPowerPulse.netを立ち上げましたが、これはパワーエレクトロニクスを専門とするグローバルなエンジニアリングコミュニティで、毎日のニュースを提供しました。また彼は、教育出版社Prentice HallのReston部門から発行されたスイッチモード電源の教科書『Power Supplies』の著者でもあります。

ジェフはまた、後にComputer Products社に買収された高ワット数のスイッチング電源のメーカーであるJeta Power Systems社を共同創設しました。ジェフは発明家でもあり、熱環境発電と光学メタマテリアルの分野で17の米国特許を取得しています。このように彼は、パワーエレクトロニクスの世界的トレンドに関する業界の情報源であり、あちこちで頻繁に講演を行っています。彼は、定量的研究と数学でカリフォルニア大学から修士号を取得しています。

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